Catch Up
キャッチアップ
このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【スケベだった胸の大きい女の子】東京都在住Y・Sさん(62歳)
高校時代の話だから45年ほど前、とあるうわさがまことしやかにささやかれていた。それは「胸の大きな女性は頭が悪く、そのうえ淫乱である」というものだ。今の時代なら「女性蔑視だ!」などと非難を浴びそうだが、当時はいい歳をした大人たちも平気で、そんな話をしていた。
そこでわたしはうわさをたしかめるべく、また、一時も早く童貞を捨てたいという思いもあって、クラスで一番ボインの女の子に猛烈なアタックを仕かけたのだった。
彼女の名は由紀子といった。たしかに胸は大きいが、その代わり身体全体もふくよか、つまり少し肥満体型のぽっちゃりとした子ブタちゃんタイプ。成績も悪く、動きもしゃべりもスローモーで、女の子同士の中でも仲間はずれにされていた記憶がある。
けれど、何が楽しいのか、いつもニコニコ笑っていて、からかわれたりバカにされても、常に笑顔を返していた。
目は一重で小さく、鼻や唇もこじんまりとし、けっして美人ではない。ただ、幼さを残した面立ちは親しみが持てた。そして、なんといってもセーラー服の胸元を大きく盛りあげる乳房。
そんな由紀子をわたしは映画に誘った。彼女は迷いを見せたけれど、わたしが強引にチケットをわたすと、困った表情を浮かべながらも受け取ってくれた。
日曜日、由紀子は花柄のワンピースを身につけてあらわれた。初めて見る制服とは違う装いに、わたしは見とれてしまったのをおぼえている。
そのまま映画館に入り、二人ならんでスクリーンに見入った。けれど、わたしはその後の計画に気がとられ、映画の内容などまったく記憶に残していない。
まっすぐに前を向く由紀子。その姿を、時折となりからながめ、これからこの子の胸を揉み、吸い、そのあとに、という考えばかりが頭の中を支配し、身体が興奮と緊張で震えるほどだった。
映画館を出て、早速わたしは自分の家へ遊びにこないかと由紀子にいった。
「きょうオヤジもお袋も留守でさ、家にはだれもいないんだ」
いくら頭の悪い由紀子でも、その言葉が何を意味するかくらいわかったのだろう。彼女はちゅうちょを示した。
しかし、わたしは強引に彼女を誘う。断るというのが苦手なのか、彼女は不安そうな笑みを浮かべて応じてくれた。
家に入り、自分の部屋に行き、わたしはベッドの上に腰かける。由紀子は、もじもじと立ちすくんでいる。わたしはとなりに座るよううながす。彼女は小さくうなずき、ベッドに座る。
ここまでは予定どおりだ。スムーズに行き過ぎているといってもいい。けれど、肝心なのはこれから。
わたしは由紀子を横目でながめ、その豊満な乳房をかいま見てつばを飲み込んでしまう。そんなわたしの気持ちがわかったのか、それとも突き刺さる視線に恐れをなしたのか、由紀子はわたしを見てあとずさりする。
「ね、ねえ、お願いがあるんだけど」
わたしは思い切っていった。
「なあに?」
「その、あの、その……」
この期におよんで、わたしは興奮と緊張ではっきりと自分の思いを告げることができない。
「あのさ、その……、ちょ、ちょっとでいいからさ、その……」
「なあに?」
由紀子は小首をかしげてわたしを見つめる。
「その、オッパイ、さわらせてくれないかなぁ」
わたしは勇気を振りしぼっていった。
「え?」
「だから、その、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけでいいからさ」
由紀子は胸に手を当て、驚きの表情を浮かべた。言ってしまったわたしは、ベッドから床におり、両手をついて頭をさげる。
「お願い、一生のお願い。さわるだけで何もしないから!」
由紀子は困惑の表情を浮かべていた。けれど、真剣に頼むわたしを哀れに思ったのか、それとも、やはり断るということを知らない性格なのか、迷いながらも許してくれた。
「さわるだけよ」
わたしはよろこび勇んでベッドに戻り、由紀子に迫る。由紀子はおびえた目でわたしを見ながら、両手を背中のうしろにおいた。
胸板が反った状態になり、よけいに乳房の盛りあがりが大きくなる。わたしは恐る恐る手を伸ばし、ワンピースの上から触れる。
その瞬間、電流が走ったようなしびれが全身に伝わり、興奮で身体が震え、体温の上昇するのを知った。
服の上からでもじゅうぶん感じられる、やわらかさとボリューム。わたしは触れるだけでなく、思わず手のひらに力をこめてしまう。
「い、いや、さわるだけって……」
由紀子はいう。
「だから、さわってるだけ」
「やだ、揉んでる」
いつの間にか、指が胸乳に食い込んでいる。
「こ、こんなの、揉んでるって……、それに」
「それに?」
「もっと、もっと、ダメかなぁ……」
わたしの目は血走っていただろう。由紀子はいっそうおびえをあらわにした。
「もっと、て……」
「直接、さわっちゃダメ?」
「え?」
「だから、直接」
わたしの吐く息が荒くなる。股間はギンギンにふくれあがり、ズボンの中に納めておくのが窮屈になってくる。
「本当にさわるだけ? 変なことしない?」
「約束する」
「じゃあ」
由紀子は、座ったままでワンピースのファスナーを背中でおろし、恥じらいながら脱ぎはじめた。
そでから手を抜き、衣裳を腰までずらす。シミーズの肩ひもをおろし、ブラジャーだけを残す。
その仕草と次第にあらわとなる素肌を見て、わたしの理性は簡単に飛び散ってしまったのであった。
「さわるだけよ、約束守ってね」
はにかみながら由紀子はいう。けれど、わたしの欲情をおさえるにはなんの効果もない。わたしはいきなり、ブラジャーのすき間から手をねじ込み、やわらかな乳肉をわしづかみにした。
「やん、痛い」
由紀子は驚いて訴える。けれど、興奮で我を忘れたわたしは、乳房を揉みながらじりじりと身を寄せていく。
「さわるだけ、ね、さわるだけ」
「ああ、さわるだけ」
「やん、顔が近づいてくる」
「さわってるだけ」
「やだ、痛い、力、弱くして」
そんな由紀子の唇を、わたしは自分の唇でふさいだ。そして、全体重をかけておおいかぶさり、あお向けになった由紀子のブラジャーをはずし、実った乳房にむしゃぶりつく。
「いやん」
乳首を吸われ、乳塊を揉まれる由紀子は甘い声を吐いた。わたしは無我夢中となって舌で乳首を転がし、張りつめた乳房を揉む。
由紀子の乳房は、想像していた以上の形を見せつけてくれた。
こんもりとした隆起。色は透き通るように白く、遅い午後の光を受けて艶やかな光沢を放つ。
かすかに立ちのぼる甘酸っぱい匂い。輪郭は腋からこぼれ出る円を描き、谷間は深く切れ込んでいる。
その間に顔をうずめ、左右に振ると、なめらかな感触がほほをさすってくれる。
「やん、そんなの、いやん、あん……」
乳房を弄ばれ、由紀子も興奮をおぼえたのか、身をよじって小さく喘ぎ声を漏らす。
わたしは我慢の限界に達していた。一物はズボンを張り裂くばかりに勃起し、ビクンビクンと脈動をくり返している。
わたしは由紀子の股間を探り、パンティの中へ手を差し入れる。
「だめぇ、オッパイだけ、オッパイだけ」
「もう、もう、我慢できない」
「いやん、お願い」
「ほら、ちゃんとつけるから、ちゃんとするから」
わたしは、この日のために用意しておいたコンドームを枕元から取り出す。それを見て、由紀子も観念したようだった。
「じゃあ、ちょっとだけ……」
許しを得たわたしは、猛然といどんでいった。大あわてで裸になり、由紀子の衣裳もはがす。
恥じらいを見せ、胸と股間を隠す由紀子。その上に伸しかかり、乳首をふくみながら股間もまさぐった。
「やああん、ダメん、感じる」
最初は抵抗を見せていた由紀子も、わたしが執拗に愛撫を加えると身をよじって歓びを口にする。部分はじゅうぶんに濡れそぼり、指を入れると窮屈な締めつけで反応を示す。
「いいだろ、な、いいだろ」
挿入の意志を伝えると、由紀子は閉じていた目を開け、微笑を浮かべてうなずいてくれた。
わたしは由紀子の両脚を大きくひろげ、その間に腰を納めた。そして怒張した一物にコンドームをつけ、由紀子の股間にあてがう。
とはいうものの、なんといっても初めてのこと、どこに納めていいのかがわからない。アッチコッチを探りながらなんとか挿入をはたそうと試みるが、思う場所に先がなかなか到達しない。
興奮とあせりでうろたえているわたしを見て、由紀子は笑みを浮かべる。その表情は、いままで見せていたものと違って妖しく淫靡だった。
由紀子はわたしに手をそえた。そのまま自分の部分に導いてくれる。
「ここよ」
小さくつぶやく由紀子。わたしは驚きをおぼえながらも、彼女の誘うままに深い貫きを成功させたのであった。
それからは、あっという間だった。ぬるりとした感触を味わい、温かい締めつけを甘受した途端、勢いづいたザーメンがほとばしった。
わたしは虚脱をおぼえ、由紀子の上におおいかぶさる。そんなわたしを由紀子は抱きしめ、耳もとでそっとささやいてくれた。
「初めてだもんね。今度はもっと、ネ」
由紀子が初めてでなかったことは意外だった。そして、優柔不断で決断力が鈍く、学校では目立たない存在の彼女が、セックスのときには男をリードする大胆さにも驚いた。
その後、彼女は2回目を許してくれ、一度射精を済ませたわたしは余裕を持って彼女にいどんだ。
このときも由紀子はわたしをリードし、そのうえ人が変わったように声をあげ、存分に快感を堪能させてくれたのであった。
由紀子との行為に味を占めたわたしは、何度もデートに誘ってはセックスを楽しんだ。けれど、つき合うとか恋人同士になるとかいう関係にはならなかった。というのも、由紀子はわたしだけではなく、数多くの男と関係を持っているのを知ったからだ。
つまり、彼女はオサセだったわけだ。
断ることができないという性格が災いしたのか、それとも彼女自身がスケベの淫乱だったからか。
理由はどうあれ、わたしはこのうえない快感と幸福な体験をすることができた。そのことは、いまでも感謝している。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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