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このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【男にしてもらった近所の未亡人】熊本県在住S・Sさん(60歳)
高校生のとき、一人の女性が近所の借家に越してきた。年齢は30代半ばくらい。色白で、いつも和装の清楚な面立ちの女性だった。
そのころのわたしはやりたい盛りで、毎夜のごとく、淫猥な妄想をはたらかせては自分を慰める毎日だった。
ある日、町の大人たちがあらぬうわさを立てているのを耳にした。その内容は、「今度、越してきた女は未亡人で淫乱。ダンナはヤリ殺された」「ダンナだけでのう、だれにでも身体ば許す淫売で、越してきてまだ日も浅かちゅうとに、町ん男ば連れ込んどるところば見た」というものだ。
真偽のほどは定かではないが、わたしは学校の行き帰りなどで彼女を見ると、そういった目で見てしまう。それから、わたしの夜のおかずは、あの未亡人になった。
切れ長の目を潤ませ、柳のような眉をひそめながら、舌なめずりをしてわたしをさそってくる。華奢な身体つきだが乳房のふくらみは大きく、わしづかみにすると指が食い込み吸いついてくる。彼女はわたしの上に馬乗りになり、自分で中へと導いてくれる。
しかし、妄想だけでは飽き足らなくなったわたしは、とうとう意を決し、未亡人の家を訪ねることにしたのだった。
次の日、わたしは自分の部屋にカバンを放り投げると、急いで彼女の家に出向いた。
きょうでわずらわしい童貞ともおさらばできる、自分は男になるんだ、と考えると気分は高揚し、早くも興奮で股間が熱くなる。しかし、いざ彼女の家の前に立つと、今度は不安が襲ってきた。
はたして、その未亡人はわたしの申し入れを承諾してくれのか。口さがない大人たちのいうとおり、彼女はだれにでも身体を許すふしだらな女なのか。たとえそうであったとしても、わたしのような経験もテクニックもない若造を受け入れてくれるのか。
緊張で身体が震え、いやな汗が流れはじめる。このまま家に戻ったほうがいいかもしれない、とも思ってしまう。
門の前で立ちつくし、あれこれ考えを巡らせていると、突然、玄関が開いた。
わたしはとっさに逃げ出そうとした。だが、足がいうことをきいてくれない。
「なにか御用ですか?」
逡巡しているわたしに、彼女のほうから声をかけてくれた。わたしは狼狽しながら、何かを口走ろうとする。
「あの、その、実は……」
小首をかしげて不思議そうな表情を浮かべる未亡人。わたしのほほを脂汗が伝う。
「す、すいません!」
こらえ切れなくなったわたしは、その場から立ち去ろうとした。それより早く、彼女はいう。
「こんなところではなんですから、中にお入りになれば?」
わたしは面食らってしまう。驚きのあまり痴呆のように口を空け、彼女をまじまじと見つめてしまった。
家にあがって居間に通され、向かい合う。
「近所の方ですよね。学生さん?」
「は、はい」
いつものように品のいい着物に身を包み、たおやかな表情を浮かべている。目尻のあがったひとみは、それでも冷たさがうかがえない。卵形の輪郭の中に、すっきりと通った鼻筋と小さな唇がこじんまりと納まっている。
わたしは、後襟からのぞくうなじと着物のすき間からかいま見える素肌の白さに大人の色香を感じながら、何をどう伝えていいものか考えあぐねていた。
「あ、あ、あ、あのう」
「はい?」
「あの、じつは、その」
「なんでしょう」
うわずった声でなかなか真意を伝えることのできないわたしに、それでも彼女はやさしげな笑みを浮かべて待ち続けてくれた。
「あの、じつは、その、お願いが」
「お願い? なに?」
ええい、ままよ。そう決心したわたしは、その場にひれ伏し、決心を告げる。
「ボクば男にしてください!」
しばらく沈黙が流れた。叱責か罵声を浴びせられるんじゃないか、と覚悟を決める。けれど次の瞬間、わたしの耳に届いたのは彼女の笑い声だった。
「ほほほほ、なにを突然。ほほほ、おかしい」
わたしは少し安堵して顔をあげる。彼女は口に手の甲を当て、身をよじりながら笑い続ける。
「男にしてっていわれても、なに? なにをどうすればよくて?」
「だから、その、あの、ボクと……」
「あなたと? わたしがなにを?」
「あの、だから……」
彼女は散々笑い転げたあと、今度は真剣な眼ざしでわたしを見つめる。
「どうしてわたしなの? あなたなら若いお嬢さんがお似合いだと思うんだけど」
「いや、ばってん、うわさが……」
「うわさ? わたしの?」
「はい……」
「町の人は、どんなうわさをしているのかしら」
「それは、その……」
いえるはずがない。
「そうなの、いえないようなことなのね。そうねぇ、三十路の女が一人で暮らしていれば、あらぬうわさもひろまるものよねぇ」
この人は、そんな人じゃない。わたしは直感した。たぶん、彼女の美しさに惹かれ、声をかけたものの断られた男が、落としいれようとしてひろめたのだろう。
「すいません。失礼しました」
わたしは、自分のバカげた行動を恥じながら立ちあがった。
「どうして帰るの? 男になりたいんでしょ」
その言葉に振り返り、わたしは半信半疑でたずねる。
「よ、よかと?」
「わたしなんかでよかったら、あなたの初めてになってあげる」
わたしは立ちつくしたまま彼女を見おろした。彼女はひざを崩して横座りになる。着物の裾が割れ、ひざから下やふくらはぎがあらわになり、表情が艶かしいものに変わっていた。
「さ、遠慮しないで。こっちへいらっしゃい」
わたしは誘われるまま彼女のそばに近づき、正座する。
「緊張してるの?」
「はい」
「心配しないで。わたしが立派な男にしてあげるから」
そのまま唇が重ねられ、彼女はわたしの手を胸元に導いた。手のひらに伝わる乳房の感触は、想像以上にやわらかで質感がある。
「さ、ここもさわって」
もう片方の手が裾の中に引き寄せられる。部分は早くも潤みをたたえ、うねうねと蠢いていた。
「どう? ここに入るのよ」
「は、はい」
「指、入れてもいいのよ」
わたしは人差し指を忍ばせてみる。すると彼女は表情をゆがめ、唇を噛んだ。
「うん、もっと、そうよ、もっと乱暴にしていいの」
身体をくねらすたびに帯がゆるみ、襟元が開いて乳房がこぼれ落ちた。わたしは、そんな胸乳にしゃぶりつきながら乳首を吸う。彼女はわたしの頭を抱き、押しつける。
「転がして。舌で転がすの。そう、じょうずよ。あん、かんじゃダメ。やさしく」
わたしの一物は破裂しそうなほど勃起していた。それを知った彼女は立ち上がり、帯を解いて襦袢姿になる。そして床の上に衣装を落とした。
あらわれたのは、目を疑うほどに美麗で肉感的で妖艶な裸体だった。
わたしは呆然と見とれ、自分のひざの上に手を置いたまま身動きができなかった。そんなわたしを見つめながら、彼女は腰をおろし、両脚をひろげる。
「見える?」
「はい」
「どう?」
「きれいです」
「本当?」
「本当です」
「じゃあ、きて」
わたしは急いで服を脱ぎ捨てると、彼女におおいかぶさった。そして誘われるまま秘裂の中に挿入をはたし、無事、一人前の男になることができたのだった。
その後、彼女はまた、どこかへ越してしまった。うわさに我慢できなくなったのか、それともほかの理由なのかはわからない。けれど、わたしに甘い思い出を残してくれたのは事実だ。
いまでもわたしは、感謝の念を忘れることはできない。この世で接したなかで、もっとも麗しくしとやかな女性だったと、この歳になっても信じている。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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