Catch Up
キャッチアップ

このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【姪の風俗勤務を確認に】東京都在住E・Kさん(40歳)
今年、40歳になる。いまだ独身だ。20代半ばから30代半ばの10年は、寂しさも手伝って結婚願望が大きかった。だが、今となっては慣れも手伝って面倒くさいと思うようになってきた。
高校を出てからずっと同じところで働くサラリーマンなので、それなりの収入はある。酒も飲まないし、タバコも吸わない。
免許はあるが車にも興味がないし、必要であれば会社の営業車を借りることができる。部屋は6帖のワンルーム。だから収入に不足はない。
カネさえあれば、コンビニや持ち帰りの弁当でも生きていけるし、風俗にいけば性欲の処理もできる。一度、女性とつき合ったこともあるが、セックスに持ち込むまで、やれデートだ、プレゼントだ、食事だと費用がかかってうんざりした。
シたいときにぶらっと出向いて、簡単に、しかも気持ちよく射精ができる。そのうえ気分によってタイプの違う女の子を楽しめるんだから、風俗のほうが申し分ない。
こんな考えを持つわたしを、もはや両親もあきらめている。というのも、わたしは3人兄弟の末っ子で、兄2人には嫁さんも子どももいる。つまり、わたし一人がどうなろうと関係ない、といったところだろう。
1番上の兄貴には娘がいる。たしか22歳で名前は美樹。最後に会ったのは2年前、祖母が90歳で大往生した時だ。喪服に身を包んだ美樹は照れくさいのか、わたしと目が合っても軽く会釈を返すだけだった。
そんな美樹だが、幼いころはなぜかわたしに懐いてくれた。男兄弟のいない長女だったので、幼稚園、小学生のころは「お兄ちゃん、お兄ちゃん」といってしたってくれた。わたしは、そんな美樹と過ごす時間が楽しく、うれしかった。
幼い女の子に興味を持つということのないわたしだが、いっしょに風呂に入ったこともある。いまでも目を閉じれば、かすかにふくらんだ乳房や、ツルンツルンの恥丘、そしてへその横に3つならんだホクロを思い浮かべることができる。
そんな、ある日。いつものように風俗に出かけようと思い、たまには行き着け以外の店もいいだろう、とネットで店を選んでいたとき1枚の写真に目がとまった。
顔出しOK、ヌードOKの女の子が、ニッコリとほほ笑んで写っている。
「美樹?」
紹介の画面には、名前を「アリサ」と記している。わたしは写真をじっくりと見つめた。
その面立ちは記憶にある姪の美樹に違いない。そして、何よりもへその横にならぶ3つのホクロ。
「これはたしかめる必要がある」
たしかめてどうするのか。店を辞めさせるのか。では、辞めさせてどうする。そこまで考えはまわらない。
「とにかく」
わたしは決心した。しかし、美樹らしき女の子が働く店は、ヘルスでも抜きキャバでもなくソープランド。しかも、そこそこの高級店だ。当然、値段も高く、1回の料金でヘルスなら4軒はハシゴできてしまう。
迷いながらも美樹の幼いころの笑顔がよみがえり、コンビニでカネをおろすと、ネットで紹介された店へ出向いたのであった。
「お待たせしました」
少しのあいだ待たされ、やがて案内されて店の奥へ。
「本日はご指名をありがとうございます」
3つ指突いて出迎えてくれる「アリサ」。彼女が顔をあげたとき、わたしは驚きの声をあげてしまった。
「や、やっぱり」
それはアリサ、いや美樹も同じだった。
「お、お兄ちゃん……」
そういってから美樹は、従業員に気を使ったのか、普段どおりであろう接客態度に変わり、わたしと腕を組んで個室に導いてくれた。
「ビックリした。どうして美樹がここで働いてるってわかったの?」
「ネットで見たんだ」
「そう、まさかパパにいいつけたりしないよね」
「さあ、どうしようかな」
わたしは、いたずらにいう。
「お願い、内緒なの。その代わりたっぷりサービスするから」
そういわれてはみても叔父と姪。多少なりとも血はつながっている。そして3親等以内だから結婚はできない間柄だ。
「近親相姦」という言葉が頭の中を駆け巡る。
兄は普通のサラリーマンのはずだ。だから、美樹がこんな仕事をしなくても、十分生活はできる。
ということは、彼女自身に何かがあって風俗に足を踏み入れたのだろう。
原因をたずねようとしてタイミングを見計らっていたわたしの前で、美樹はひざまずき、ズボンと下着を脱がしにかかった。
「ちょ、ちょっと待って」
「失礼します」
美樹は、いまだうなだれたわたしをつまみ、にゅるりと口の中に吸い込む。
「あ……」
「どう? 気持ちいい?」
上目づかいでわたしを見る美樹。小さな唇に一物が納まるさまがイヤらしい。絡まりつく舌の感触と内頬の粘膜のぬめり感で、わたしはグングン肥大していく。
口いっぱいにほお張った美樹は、頭を揺らしながら抜き差しを続ける。チロチロと先端を舐め、カリやサオを探る。そして玉袋をさすりながら、もう一度奥まで呑み込んでいく。
「ああ、ああ……!」
「出そうなの? 出してもいいよ」
美樹の動きが激しくなる。わたしは最初の1発目を、姪の口の中で吐き出したのだった。
少し興奮の冷めたわたしはようやく、美樹に状況をたずねてみた。
「いったい、なにがあって」
「おカネがね、ほしいの」
「カネなら兄貴に言えば」
「ハマっちゃったんだ、ホスト。で、借金まみれ」
「なるほど」
美樹の表情に少し陰が走る。
「いくらなんだ」
「聞いてどうするの? お兄ちゃん、払ってくれるの」
「金額によりけりだな」
「ふうん、じゃあ」
美樹は額をいう。とてもじゃないが手に負える金額ではない。
「無理でしょ。だからこんな仕事してんの」
「なるほど」
「で、どうする?」
「え?」
「お兄ちゃん、美樹を抱ける?」
美樹は真剣な目でわたしを見た。そこに幼いときの美樹は存在しない。
「オレは……、美樹は平気か」
「平気だよ。お兄ちゃんはお客さんだし、それに」
「それに」
「むかしから、お兄ちゃんのことは好きだったし」
美樹はそういって衣装を脱いだ。
真っ白でキメ細やかな肌は、照明を受けて照り輝いている。幼いころは胸板に豆粒を乗せただけだった乳房が、いまは豊満に盛りあがり、身動きするたびにタプタプと揺れ動いている。
「美樹とデキる? 美樹とシたい?」
たずねてくる美樹。わたしは迷ったすえにうなずいてしまう。
「そう」
美樹はそういって、わたしの服を脱がしてくれた。
それから湯船につかり、スケベ椅子に座って身体を洗ってもらう。次にマットに移ると、ローションでヌルヌルになった美樹がわたしの上で泳ぎはじめる。
「お兄ちゃん、美樹の中に挿れるよ」
妖しい表情の美樹はいう。その瞬間、わたしは美樹のむかしの笑顔を思い出した。
「み、美樹」
「なあに?」
「ホクロ、むかしのままだね」
「え?」
「ホクロで美樹ってわかったんだ」
美樹は自分のへそを見て、そしてほほ笑んだ。
「お兄ちゃん」
「うん」
「ほ、ほら……」
美樹の中にわたしが埋没する。ゴムは装着していない。生温かい湿潤でおおいつくされ、膣襞が圧力を加えながらぜん動する。
「あああん、お兄ちゃん、お兄ちゃん」
「み、美樹」
「いいのよ、いつでもいいのよ、美樹の中に出して」
「い、いいのか」
「いいの、ああんあん、お兄ちゃん」
わたしは美樹の中に吐き出した。ドクドクト濃厚なザーメンが、美樹の胎内にそそぎ込まれていった。
最後になってベッドに移り、わたしは美樹をむさぼった。
よがり悶える美樹の表情。馬乗りになった美樹の乳房が揺れ、腰が前後左右に回転する。美樹の内部をかくはんしながらも、姪という意識をぬぐい去ることができない。
「ねえどうしたの?」
気分の乗らないわたしを知ったのか、美樹はたずねてくる。わたしは集中するためにも、美樹を横たえ正常位でつらぬいた。
「ああん、すごい、お兄ちゃん、ステキ!」
抽送を繰り返し、やがて再度中に吐き出す。そのとき、なぜかうら悲しい気分におちいったのだった。
「また指名してください」
美樹は名刺をわたしてくれた。わたしは店を出てから「アリサ」と書かれた紙切れを破って捨てた。美樹のいる店に、2度と行くことはないだろうと思いながら。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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