Catch Up
キャッチアップ

このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【わたしをケダモノにした母の不倫現場】広島県在住I・Jさん(60歳)
息子のわたしがいうのもなんだが、母は美しい人だった。もうかれこれ40年以上顔を合わしてはいないが、記憶の中に美しい母の姿は残っている。
色が白く豊満な身体つき。早くに夫を亡くしたせいか、どことなく憂いを帯びた表情をしていた。それが、いっそう彼女の妖麗さを際立たせていたように思う。
母はわたしを早くに産んだので、高校生のときはまだ30代だった。
いまになって思えば、母は寂しかったのだろう。それは精神的にも、そして肉体的にも。だからあのような行為を行い、あのような行為を引き受けたのだと思う。
じつの息子であるわたしに対してでさえ。
その日は試験の前日ということもあって、わたしは早くに帰宅した。中間期末の定期試験ではなく実力試験なので、母はまさか、そんな時間にわたしが帰ってくるなどと思ってもいなかったのだろう。
魔が差したというのか、それともわたしがいない間に何度も同じ行いをくり返していたのか。わたしは母親の淫らで愚かしい行為を、目の当たりにしてしまうのである。
わたしたちが住んでいたのは市営住宅だった。立ち並ぶ団地内は、意外と近所に対して無関心。だからこそ母は、白昼堂々とわたしの知らない男を引き込むことができたのだろう。
わたしがいつものようにドアを開け、部屋の中に入ると、まさに痴戯の真っ最中だった。あまりにも没頭しすぎていて、母はわたしの帰宅に気づかなかった。
窓から差し込む陽光の中で、全裸の母は汗を流しながら男に抱きつき、腰を振る。乳房が揺れ、歓喜の表情からよがり声がこぼれ落ちている。
男も母を抱きしめながら腰を突きあげ、母の蜜で照り輝く一物を貫き通していた。
わたしは、なぜか二人を制することができなかった。学生カバンを持ち、制服を着たままぼんやりと二人の痴態をながめてしまう。
「あああん、ダメダメ、いく、いくぅう!」
「わ、わしもじゃ、出る、出すぜえ!」
二人は同時に達していた。そして折り重なるように床に伏せ、荒い息を吐いて唇を重ね合う。
先にわたしの存在に気づいたのは、男のほうだった。彼は驚愕の表情で身をはねのけ、あわてて服を身につけだした。男の様子が変わったので、ようやく母もわたしに気づいた。
わたしとは母は、見つめあいながらも無言だった。男だけが半裸の状態で部屋から出て行った。
「早かったのね」
「ああ」
「なして?」
「明日、試験じゃけぇ」
「あら、こがいな時に?」
「実力試験じゃけぇ」
母は冷静だった。冷静を装っていたのかもしれないが、淡々と受け答えをすると服を拾って身につけはじめた。
空気が重たかった。母はブラジャーをはめ、ショーツをつけるとブラウスを着てスカートをはいた。
わたしは、その様子を黙って見つめていた。怒りとも羞恥ともつかない感情が身体の中に渦巻き、それと同時に、今まで知らない母の姿を見てしまったことで、男としての欲情がふつふつと湧き出しはじめる。
母は服を身につけると、何事もなかったかのように立ちあがった。そのとき、わたしは初めて母に非難めいた言葉を吐いた。
「だれじゃ、あいつ」
「あんたの知らん人」
「知らん人間を勝手に家にあげるのかよ」
「あら、だれかをあげるのに、わざわざ許しを得にゃあいけんの?」
「そうはいわんけど」
「子どもにゃあわからん、大人の事情ってものがあるんよ」
「なんじゃ、それ。事情っていうなぁ、息子がおらんあいだに乳くることかよ」
母のわたしを見る目が険悪なものに変わった。その瞬間、わたしは母を母親ではなく、一人の女として認めてしまったのだった。
「あんただって、毎晩、だれかを思うてオナニーしとるじゃない。同じことや」
「思うのと実際にするなぁ、わけが違うじゃろ」
「うちにゃあ、あんたと違うて相手をしてくれる男の人がおるの。悔しかったら、あんたも相手を見つけて、この部屋に連れてくりゃあええじゃない。うちは独身なんよ。だれと何をしても非難される理由はないわ」
「だれと何をしてもええのか」
「そうよ。あんたに迷惑はかけとらんはずよ」
「そうか、だれとしてもええんじゃのぉ」
わたしはカバンを投げ捨て、母ににじり寄った。母は、そんなわたしの姿を見て、動揺をあらわにする。
「な、なによ、どしたん」
「だれとしてもええんじゃろ。もちろん……」
「バ、バカなこといわんで。わかっとるの? あんたが、いま何しようとしよるのか」
「バカじゃ、わしはバカじゃ。あんたに似たんじゃ!」
わたしは、いきなり母親に襲いかかった。母は床に倒れ、うつ伏せになって逃げ惑う。
「や、やめて!」
「あがいな男よりわしのほうがええじゃろ。オレのほうがええんじゃ」
「バカいわんで! お願い、落ち着いて!」
「わしをこがいにさせたなぁ、アンタじゃろ! 母さんじゃろ!」
背後からおおいかぶさり、乱暴にブラウスをはがす。母は胸に手を置き、わたしを見ておののいた視線を向ける。
「お願い、母さんが悪かった。謝るけぇ」
脅えた母の目。わたしはそんな母にいっそう欲情をおぼえた。
白い素肌があからさまとなった母のブラジャーのホックをはずした。母は両手で胸を押さえつけながら逃げ出そうとする。
母のスカートの裾をつかむと簡単にずり落ち、ショーツにおおわれた尻の形がむき出しになる。わたしはむっちりと実った太ももにしゃぶりつき、下着に手を伸ばした。
「や、やめて、お願い、許して」
あらがう母の声。しかし、わたしの感情はピークに達していた。
いま自分が襲いかかっている相手は、母ではなく一人の女だ、さっきまで男に弄ばれていた、いやらしい女だ。そう認識していた。
そのとき、わたしはまだ童貞だった。だから妄想力は人一倍ある。
毎夜、夢に描いていた女体が、いま手に届くところにある。そして想像していた以上に、女性の肌はなめらかで温かくてやわらかい。
わたしは母の下着をおろした。丸い臀部があらわになる。股間には黒々とした陰が落ち、メスの匂いが立ちのぼっている。
「だめぇ、許してぇ、こ、こがいなん、だめ!」
母は身をひるがえした。そしてわたしの後頭部をたたく。わたしは、そんな母の股間に顔をうずめる。
「い、いや、そこ……」
男の汁がまだ残っていた。わたしは顔をあげ、母を見つめる。脅えた眼差しの母は、手を振りあげてわたしのほほをぶつ。
「わかっとるの。これ以上してしまうと、あんたとうちは親子でのうなるんよ」
「ええよ、そがいなの」
「ええの? げにええの?」
「ああ」
わたしは母の唇にわたしの唇を押しつけた。この時点になって母も観念したのか、わたしの行為に対して抵抗を示さなくなった。
わたしは母のブラジャーを取った。白い乳肉が昼間の光を受けて艶を放つ。小さいころ吸いついていた乳首にむしゃぶりつくと、母は小さく切ない吐息を漏らす。
「うん、もう、なんでもええ」
乳房を揉みながら、母の陰部に指をはわせる。ぎこちない動きに、母はそっと手を添え導いてくれた。
「ココに挿れるんよ。わかる?」
「ああ」
「どうせ初めてなんじゃろ。うちが教えちゃる」
ズボンを脱いで、下着も脱いだわたしの一物は大きくふくれあがっていた。母は大きく両脚をひろげ、わたしの身体をはさむ。
「先が当たっとる。そのまま、力を入れて」
「こ、こう?」
「違う、そこじゃない。ここ、そう、こ……、く、あくぅう、は、入った……」
粘り気のあるぬめりにおおわれ、母の膣肉の締めつけを感じ取る。わたしは興奮のままに抜き差しをくり返す。
「そ、そうよ、そう、ううん、もっと早う、そう、もっと」
「あ、ああ、母さん……」
「ダメ、母さんじゃない、もう、母さんじゃない」
「あああ、ええ、気持ちええよ」
「やああん、もっとよ、そう、もっと!」
わたしは我慢に我慢を重ね、射精をこらえた。母も欲情にしたがい、腰を打ちつけてくる。
やがてわたしは、初めての到達を母の中で味わった。母は全部受け止め、軽く痙攣をくり返しながら艶美な笑みを浮かべてくれた。
「これで最後にしてね」
その言いつけどおり、わたしは二度と母を求めなかった。そして数日後、わたしを残して母は忽然と姿を消した。
その後の母の行方は知らない。わたしは伯父の家で暮らすようになり、高校を出て大学に進み、就職した。
母とのことはもちろんだれにも話していない。母も、たぶん秘密にしていることだろう。
母とわたしだけの秘密。
そう考えるとどこかくすぐったいような感慨もおぼえてしまう。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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