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このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。
編集長
【簡単命名「ハエにもゴキブリにも名前を付ける」の巻】
うちの母は、なぜかすべてに「子」をつけて擬人化しがちである。
もちろん悪いことではない。育てているサボテンに「サボ子ちゃん」、使い慣れたペンに「ペン子ちゃん」。つける名前のバリエーションが「子」しかない、というワンパターンも、昭和っぽくて微笑ましい。
しかし謎なのは、迷惑な目に遭っているハトや害虫にも「子」を付けてしまうことである。
布団にムカデがくっついていたときも
「このムカ子が! シッシッ!」
食事中ハエが入ってきても
「このハエ子が! シッシッ!」。
ムカ子。ハエ子。その命名、いる? どうして瞬間的に名前をつけたくなるのか?
こちらとしては害虫に「子」をつけてもらうと困るのである。名前がつくと愛着がわいてしまうではないか。普段なら殺虫剤でシュッと殺していたはずが、「ハエ子、さあお逃げよ……」など窓を開けてしまいたくなるから不思議である。
最近ベランダに住み着いた大迷惑な鳩に対しても、母は鬼のような形相で
「このハト子が! シッシッ!」
と言っていた。それだけ嫌いながらも、やっぱりつけるんですね、「子」を……。
同じマンションに住んでいる叔父は
「ハト助なあ。どうにかならんかなあ」
とこちらは「助」を付けて呼んでいた。江戸っ子風味である。
このクセ、うちの親・親戚だけなのだろうと思っていたが、事務所でGの刺客(ゴキ)が出たとき、社長も
「ゴキ子腹立つ……」
と言っていた。ごごごゴキ子!!
名前、それは燃える命。ゴダイゴも歌っていた。
お願いだから簡単に名前を付けないで。殺虫剤を噴くとき、罪悪感ハンパないんです!
【法善寺灯子さんのプロフィール】
関西在住ライター。性別:女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。
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