このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。

編集長

【花枝招展「マスクでオシャレ！」の巻】

コロナ禍になってすっかり定着したマスク着用。不織布、ウレタン、布……。街を歩くと、すれ違う人ほぼ全員が顔半分隠れている。夏は暑いので帽子まで被っていることも多いので人相が分からない！

この間、こんな事件があった。私が帽子＆マスク姿で駅に向かって歩いていると、横断歩道の向こうから７０歳くらいのマダムが

「あらあ！　ひーさしーぶりー」

全力で手を振ってくる。

しかし私はその方に覚えがない。というか、顔がマスクで隠れているので、表情を認識しづらい！　以前ご挨拶したことのある、母のお友達かな？

えーとえーとえーと……。

脳内に駆けめぐる知り合いの顔。必死で思い出そうとしている間も、マダムはとても嬉しそうに手を振ってくれる。そこで私も腹を決め、大きく手を振り返した。

そうこうしているうちに信号が青に変わり、マダムが嬉しそうに駆け寄ってきた。

が、私の顔を見るなり笑顔が消え、一言。

「……どなた様？」

オイオイオイ―――ッ！　こっちのセリフや！！

背丈と雰囲気で判断したはいいが、お知り合いと間違えたそうだ。なんと私たちは知らないもの同士、延々と手を振り合っていた……。

いや、マダムを責めるまい。今、知り合いの顔を見分けるのが本当に難しい。

また、私の観察によると、オシャレなマスクをしているのは若者よりシニアに多い。花柄、和柄、多分お手製である。私の顔見知りのシニアなど、服装は地味なのに、星条旗柄のマスクを着用していて驚いた。

マスクは暑苦しいが、新時代のニューノーマル。どうせなら、彼女たちを見習って楽しんで着用したい！

ちなみに大阪の街を活性化させる活動の一環として「大阪マスク」という大阪製のマスクが販売されている。箱が大阪風な柄、マスク自体はシンプルな白のマスクなのだが、紹介コピー文が濃い！

「たこやきの匂いも防げる？ノーズワイヤー」「串カツのコロモよりふわっとした耳ひも」「お好み焼きみたいな？３層構造」「豚まんよりもふんわりやわらか？」。

大阪名物の食べ物を例えに出し、マスクの上質さをプッシュするという強引過ぎる手法。時々入る「？」は「知らんけど」を表現しているのだろう。　

ここまで書くなら、いっそタコヤキや串カツのイラストがダイレクトにプリントしたらどうだろう、と一瞬思ったが、アカン。想像したけどムチャクチャ使いにくそう。却下！

【法善寺灯子さんのプロフィール】

関西在住ライター。性別：女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。