『緊急取調室』は2014年からテレビ朝日系列で放映されている人気シリーズ。1stシーズンが2014年、2ndシーズンが2017年、3rdシーズンが2019年。そして、現在放映中のシリーズが4thシーズン（2021年）というわけだ。

　主演は天海祐希。密室である取調室内部で起きる、容疑者と警察の丁々発止のやりとりを詳しく追うことによって、毎回起きる事件の真相に迫ろうという趣向のドラマだ。

　このドラマで面白いのは、警察があらかじめ設定した「事件」のあらましが、正しい真実であることが少ないということ。ドラマの進行につれて、次々と隠れた真実が暴かれ、最後は、警察側も犯人側も納得する形で、エンディングを迎える。

　例えば、第三話。元不良少年でボクサーの石倉衆二が、川に転落死したジャーナリストを殴ったのではないかという疑惑が持ち上がり、任意で取調べをはじめる。ところが、石倉は捜査に非協力的で、ジャーナリストと会っていたことすら認めようとしない。心証は最悪だが、取り調べを進めるうちに意外な事実が分かってくる。対戦相手のチャンピオンがジャーナリストに裏金を振り込んでいたことが明らかになり、ジャーナリストを殴った「真犯人」も別のところから明らかになってくるのだ。結局、「ボクサーは人を殴ったりしない」ということが結論となり、最初に警視庁刑事部部長の北斗偉（池田成志）が描いた図は、完全に否定される。

　どうやら、この北斗は緊急取調室の「内部の敵」で、ドラマをミスリードする役割を負っているらしい。

　第四話でも、同じような展開。画期的な食品廃棄物リサイクルシステム「SY21」を開発した『スリー食品』の工場で事故が発生。同社専務の三上聡（内村遥）と20歳の若者の二名が死亡。防犯カメラを確認すると「SY21」の開発にも関わった同社専属のエンジニア・橘頼子（高橋メアリージュン）が装置を故障させ、ガスを発生させる姿が写っていた。なぜ、彼女はこんなことをしたのか。事情聴取しようとするキントリだが、本人は事故で重症を負い、事情聴取には「そんなことはさせない」と主治医が立ちはだかる。果たして、痴情のもつれか、システム開発をめぐるトラブルか、といった展開。

　このドラマで興味深いのは、主演の天海祐希だけでなく、味のあるチームが出来上がっていること。冷徹な判断力をもつ田中哲司、頭脳派で事件を追う小日向文世、チームのムードメーカーでんでん、解析のエキスパートでチームを支える塚地武雅など、この手のドラマに欠かせない一癖も二癖もある俳優たちが、天海祐希をメインにガッチリ固まっていること。

　このチームに任せれば、どんな難事件も解決してくれる。そういった安心感があるのだ。

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/