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このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。
編集長
【心機一転「シニアは“なんとなく”がお嫌い?」の巻】
突然だが髪を切った。なんとなく切りたくなったのである。けっこうなロングヘアを、ツンツンのショートにしたが、男性に間違えられることも増え、正直後悔している。
特にシニアの反応が興味深かったというか、容赦ないというか。
前々から思っていたが、高度成長期、集団に揉まれ切磋琢磨してきた世代のシニアは「なんとなく」で行動するということに対して理解が薄い。今回も「なんとなく髪を切った」と言っても信じてくれない。勝手に理由を深読みし、決めつけてくるのである。
私の母など「失恋?」と本気で言ってくる。母は娘がもう50過ぎのオバハンであることを忘れているようだ。失恋したら自分の毛を切らず相手の毛をむしるわ!
さらに同じマンションに住む仲良しシニア、Tさんの反応は凄まじかった。エレベーターでお会いしたのだが、私の変貌に「ひぃッ」と仰天。
「なんでそんなに切ったの!」
と聞かれてしまった。特に理由はないので
「いやー、なんとなくです」
と笑いながら答えたが、Tさんも母と同じく「なんとなく」では納得がいかないらしい。私の顔を覗きこみ
「ねえ、もしかして人生、心機一転って感じ?」
と言ってくる。笑顔で「あはは、いや本当になんとなくで」と返すと、なぜかTさん、
「ねえ、心機一転?」
ともう一度言ってくる。私はなぜ2回も言うのかと戸惑い、またもや「あはは」とふんわり返すと、Tさん、壊れたレコードのように
「ねえ、心機一転?」
「心機一転?」
と怒涛の如く繰り返してきたのである!
どどどどうしたのTさん怖いよ! このまま永遠に心機一転心機一転と言われ続けられるのではとビビった私は、背筋を伸ばし
「はいッその通りです。心機一転です!」
と返した。するとやっとTさんは晴れやかな顔をして
「大丈夫、髪の毛ってすぐ伸びるから!」
と言い、去っていったのだった。エレベーターが11階から1階まで降りる、わずか数秒の出来事である。
「心機一転」問答はケリがついたが、なんだろうこの敗北感。
「なんとなく」じゃ、だめなんですか……。蓮舫チックな私の叫びは虚しく、夏の日差しの中に消えて溶けていった。
しかも気になる、去り際Tさんの放った「髪の毛ってすぐ伸びるから」という言葉。
ショート似合ってないということですか、Tさんーッ!!
【法善寺灯子さんのプロフィール】
関西在住ライター。性別:女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。
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