NHKの朝ドラ『エール』の後、どのようなドラマを選ぶのか注目されていた二階堂ふみが、民放のラブコメに挑戦したのが『プロミス・シンデレラ』（TBS系）。これが、想像を上回る面白さだった。二階堂が演じるのはアラサー女子の桂木早梅（かつらぎ・はやめ）。ある日、夫から「他に幸せにしたい人ができた」と突然離婚を切り出され、自宅から追い出される形に。

　着のみ着のまま、途方に暮れているうちになけなしのお金をスリとられ、無一文。あえなく、公園の段ボールで暮らし始めることになる。このあたりは、米倉涼子の映画初主演作『ダンボールハウスガール』（01年）に似ていなくもないが、ホームレス生活を一種のユートピアとして描いた同作とこのドラマは決定的に違っている。

　ここで登場するのが性格の悪い金持ちのイケメン高校生・片岡壱成（眞栄田郷敦）。早梅のホームレス生活に興味を持ち、自宅に連れて帰って、ただで泊めてやる代わりにサイコロを振って「リアル人生ゲーム」に挑戦しろと持ちかける。反発しながらも、結局、壱成のゲームに付き合う早梅。

　最初のミッションは「セレブパーティーで主役に恥をかかせたら20万円」というもの。ドレスアップして、会場に出かける二人。パーティーの主役、恵（柳美稀）と壱成は「売れない三流モデル」「落ちこぼれのくせに」などと罵倒し合うが、二人にクリスマスケーキをぶつけて「やりすぎ。もう少し人の気持ちってものを考えなさいよアンタは」「他人が勝手に落ちこぼれ呼ばわりなんかしていい権利なんてないの。22歳にもなって、そんなことも分わかんないの」と正論を吐きまくる早梅がカッコいい。

　そして、壱成の祖母である旅館「かたおか」のオーナー片岡悦子（三田佳子）が登場。早梅を「かたおか」の仲居として採用を決める（ただし「リアル人生ゲーム」はそのまま継続）。

　実は、「かたおか」には、店の実権を握る副社長・片岡成吾（岩田剛典）がいて、これが壱成の兄でもあり、壱成はこの兄にコンプレックスを抱いているという設定。しかも、どうやら成吾は、早梅の「初恋の相手」ではないかということが示唆される。いやはや、この後、どっちに転がるか分からない設定が目白押しで、こんなドラマは面白くならないはずがない。

　私が二階堂ふみという役者をはっきり意識したのは意外と遅く、2018年の大河ドラマ『西郷どん』。西郷隆盛の2番目の妻、愛加那を情熱的に演じて、「この子はすごい」と再認識させられた。

　早梅というはっきりしたキャラは、二階堂という個性にぴったり。今後の展開が楽しみすぎるドラマだ。

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/