NHKが連日の五輪放送を続ける中、視聴者の多様なニーズに応えようと「深夜のイッキ見！　まつり」という再放送シリーズを展開している。すでに朝ドラの人気作『エール』や20年前の名作『六番目の小夜子』などが放送されているが、特に嬉しかったのが2019年のドラマ10で放送された『トクサツガガガ』の再放送。深夜に一気に放送されたので、眠い目をこすって、再見してみた。すると、初見では分からなかった「新しい発見」があった。

　主人公の仲村叶を演じたのは、この作品が初主演作となった小芝風花。特撮オタクのOLを生き生きと演じていたのだが、改めて見ると「芸が細かい」。特撮オタクの心情がダイレクトに伝わってくる台詞回しや、表情の作り方が絶妙なのだ。特撮オタクの先輩、吉田さんを演じる倉科カナもハマリ役。「年齢も上になったので、オタクを卒業しようか」と考えていたタイミングで叶に出会い、オタクを継続することを決意し、叶の盟友となるのだが、私にとって、カメラを持ったオタクという役柄は、倉科カナという女優さんの新しい魅力を発見する機会となった気がする。

　この他、木南晴夏が演じるアイドルグループオタクの北代、叶が「ダミアン」と呼ぶ少年・寺田心、任侠さんというコワモテのグッズショップ店員を演じる「カミナリ」の竹内まなぶなど、魅力的なキャラクターが次々出てきて見る者を飽きさせない。

　ドラマ的には、オタク的なものにまったく理解がない母親（松下由樹）との対決にヒリヒリさせられたりするシーンには心を乱された。

　しかし、１回目にみた時も、今回も、最も心を動かされたのはカラオケシーン。

　アイドルオタクも特撮オタクもみんな一体となって、「エマージェイソン」（番組内に登場する特撮ヒーロー）のテーマソングを歌うシーンは何度見ても胸熱になってしまうのだ。

　この後、小芝風花はさまざまな役柄を演じているが、『トクサツガガガ』の叶が一番彼女自身のキャラに合ってるような気がしてしまう。

　なに？　眠い目をこすって深夜に頑張って見なくとも、『NHKプラス』だと期間中は何回でも見られるって？　しかも、今回の「深夜のイッキ見！　まつり」自体がNHKプラスを普及させるためのNHKの作戦だって？　知らなかった。

　よし、NHKプラスでもう一回見てみるか！

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/