好評のうちに終了した『イチケイのカラス』の後を受けて、「月９」でスタートしたのが『ナイト・ドクター』（フジテレビ系）。ある病院で、当直制度を廃止して試験的に導入された夜間専門の医療チームの活躍を描く物語で、主演は波瑠。これに田中圭、岸優太、北村匠海、岡崎紗絵を加えた５人がチームを組む。５人を指導するのは、沢村一樹。

　第一回は、それぞれのチームメンバーとナイト・ドクターという仕事の紹介的な内容だった。中心に描かれたのは波瑠演じる朝倉美月と岸優太演じる深澤新の対比。

　深澤は、持病を抱える妹を世話しつつ、内科医として４年目を迎える新米ドクター。意に反して、ナイト・ドクターのメンバーに選出されてしまい、戸惑いを隠さない。

　次々と運び込まれる患者たちの前で、なにもできずに、ただオロオロするばかりの深澤。テキパキと働く美月らに気後れする深澤は、自信をなくし「ナイト・ドクターを辞めさせてくれ」と訴える。挙げ句の果ては、一人留守番しているときに救急車からかかってきた電話を「無理です。受け入れられません」と断ってしまう始末。この救急車に乗っていた救急患者というのが実は彼の妹で、深澤は危ういところで妹の命を危機に追いやってしまうところだったというオチまでつく。そんな深澤もラストには「もう少しだけここで働かせてください。お願いします。このままここから逃げたくないんです」と心を改める。

　一方、朝倉は深澤とは違い、自ら「ナイト・ドクター」を選択。救急患者を積極的に受け入れ、できる限りの医療を施そうと努力する。

　しかし、このドラマのすごいところは、そんな朝倉の努力が、結局は報われずに患者を死に追いやってしまうケースが多いことを包み隠さず描いていくところ。生と死の狭間に苦しむ患者が、足を切断しなければ命が助からないと判断すれば、躊躇なく足を切断。それでも、運び込まれた時間が遅すぎたため、患者を死に追いやってしまう。ことが終わった後、「死者の近親者」になじられる朝倉。「なぜ、緊急搬送が遅かったことを言い訳にしないのか」と問われた朝倉は「そんなことを言って、なんの意味があるのか」と問い直す。朝倉美月は「強い意思を持ったお医者さん」として描かれるのだ。

　そんな美月には「恋人」がいる。この恋人は彼女の「ナイト・ドクターとしての使命感」には理解を示さない。「そんな仕事を引き受けたら、僕と会う時間が減ってしまうじゃないか」というわけだ。挙句の果ては、たまたま出会った昔の「彼女」と抱き合っているところを美月に見つかって修羅場を演じてしまう。ひどい男ではあるが、ナイト・ドクターの恋人としては「普通」すぎるということだろう。

　美月は、このショックからいかに立ち直るのか。深澤は、ナイト・ドクターとしてちゃんとやっていけるのか。はたまた、田中圭演じる成瀬暁人、北村匠海演じる桜庭瞬、岡崎紗絵演じる高岡幸保はそれぞれどんなドラマを抱えているのか。続きを見るのが楽しみなドラマがまた増えて、嬉しい限りだ。

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/