Catch Up
キャッチアップ

このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【家庭教師の課外授業】神奈川県在住N・Kさん(56歳)
高校生3年のときだった。大学受験を控えたわたしに、家庭教師があてがわれた。
どんなやつがくるのか、と不安半分、期待半分で待っていると、あらわれたのは女子大生。すでに卒業間近な4年生で、就職も決まり、持てあました時間を利用して小づかい稼ぎをしているという。
名前は有里としておく。そこそこ有名な私立大学に席を置いていた。
わたしの父親は医者だった。そして、二人いる兄貴も国立大学の医学部にかよっていた。けれど、わたしはデキが悪く、大学進学どころか高校卒業も危ない成績だった。
それではあまりにも世間体が悪い、ということで、医学部とはいわないまでも二流の私立大ぐらいは合格して欲しい、と両親は考えていたらしい。
しかし、わたしにその気はなかった。卒業できないのは困りものだが、大学に進むつもりはなく、どちらかといえば早く社会に出てカネもうけがしたかった。
だから、家庭教師がきたところで、成績があがるとか、やる気が出るとかいった可能性はゼロに等しかった。
そんなわたしだから、有里に対しておとなしくいうことをきくわけがない。彼女がくる日といっても、悪友と繁華街をうろついていたり、バイクに乗って遠出をしていたりした。
母親は、そんなわたしに説教をしたが、聞く耳を持たない。父親はとっくにわたしを見放していたのか、顔を合わせても、文句の一つもいうことがなかった。
そんなある日、わたしは散々遊びまわったあと、ほろ酔い加減で家に戻った。
高校生といえども酒の味は知っていたし、タバコも吸っていた。決まった相手はいなかったものの、何人かの女とのセックス経験もあった。
そんなわたしが部屋のドアを開けると、有里が床に座って待っていた。
時間は午後10時。家族は全員、外出していた。
「なんだよ、なにしてんだよ」
わたしはつっけんどんな態度でいう。
「待ってたの」
「時間は8時までだろ。とっくに過ぎてんじゃねえか」
「でも、お金もらってるんだから、ちゃんと教えないと」
これまで何度も有里をすっぽかした。それでも時間の拘束があるわけだから、給料は支払われる。そのことを、まじめな有里は負担に思っていたらしい。
だからその日は、わたしが帰ってくるのをじっと待っていたというわけだ。
「待ってても同じだぜ。オレ、勉強なんてする気ねえし」
「それ、困る」
「なんで? なににもしないでカネがもらえるんだぜ。いいじゃん」
「そんなもんじゃない、おカネをもらうって、そんなもんじゃないって思う」
有里は真剣な表情でいう。
髪の毛を長く伸ばし、小さな輪郭の中には、つつましやかに目鼻、唇がならんでいる。派手さはないが、清楚感の漂う面立ちだ。
背は高くもなく、低くもなく。身体の線は細く、肌は色白。乳房のふくらみは大きくないものの、情欲をわき起こすには十分な盛り上がりを見せていた。
その日は薄手のセーターにマキシスカートをはいていた。挑発的ではないものの、彼女の雰囲気には合っている。
「ふ~ん」
わたしは真剣な目つきで見あげる有里を見る。
「で?」
「はい?」
「どうするの?」
「どうするって……」
「オレはさ、もう外に出る予定ないけど、勉強する気なんて、もっとないし」
「それは、困る……」
「困るっていわれてもさ」
わたしは改めて有里を見る。彼女はいまにも泣き出しそうな表情をしている。そんな有里を前にして、わたしの嗜虐心がむくむくと頭をもたげはじめる。
「先生もさ、カネもらってるんだったら、生徒にやる気を起こさせる方法、考えてみなよ」
「やる気の出る方法?」
「そう、よくいうじゃない、やる気を起こさせるにはアメとムチって。ムチは無理そうだからアメを考えなよ」
「そんなこと、急にいわれても」
困惑の表情を浮かべる有里。わたしは、そんな彼女の姿に、劣情のにじみ出る感覚をおぼえたのであった。
少し酔っていた。それも原因だったのかもしれない。
わたしは彼女の前に座り、顔を近づける。彼女は眼前にわたしの顔が迫るのに臆し、少し身体をしりぞける。
「先生、よく見ると美人だね」
「あ、ありがとう……」
「お願いがあるんだけどさ、それをきいてもらえれば勉強してもいいよ」
「お願い? なに?」
「キスしていい?」
突然の言葉に彼女は動揺を見せる。
「キスだけでいいからさ」
「で、でも……」
「初めてじゃないだろ」
彼女はうなずく。それを見たわたしは、いきなりおおいかぶさっていった。
「キャ!」
有里は小さく悲鳴をあげ、あお向けに寝転ぶ。わたしは無理やり唇を重ね、乳房に手を伸ばす。
「だ、ダメ、キスだけって……」
「ちょっと触るだけだよ、ちょっとだけ」
あらがう彼女を無視し、わたしはセーターをまくりあげる。
「ダメ、これ以上はダメ」
「ちょっとだけだからさ、ちょっとだけ」
思っていたよりも大きな乳房を、ブラジャーの上から揉む。有里は何かを口にしようとしたが、わたしは唇でそれをふさぐ。言葉をさえぎったわたしは、有里のブラジャーをはずし、じかに触った。
「ううううん、ううん」
有里は首をねじって抵抗をあらわにした。それでもわたしは有里の乳房を舐り、乳首を吸った。
「ダメェ、もう、やめて」
「ちょっと吸うだけだから、十分味わったらやめるから」
その言葉に有里は観念したようだった。
わたしは散々舐りながらスカートの中に手を伸ばす。そして、パンティの中にグイッと手を忍ばせる。
「やん!」
指が閉じた割れ目に到達したとき、有里は大きく声をあげた。
「いや、お願い、これ以上は」
「触るだけだよ、触るくらいいいだろ」
「ダメダメ、もう、やめて、お願い」
「触ったらさ、勉強するから。きょうだけじゃなくて、先生のくる日はまじめになるから」
クレパスをなぞり、指を埋没させる。その感触に有里は背中を反らす。
「あああん、いやん」
「先生、濡れてるよ」
「いや、そんなの……」
有里は唇をかみ締め、喘ぎ声を我慢している。わたしも一物は、ズボンの中でぐんぐんふくれあがり、いまにもチャックを壊さんばかりとなる。
「先生、挿れていいだろ」
わたしはたずねた。
「それだけは、ダメ」
「どうして」
「だってぇ」
有里は眉根に皺を寄せ、困った表情を浮かべる。
「ちょっとだけ、先だけ、でないと、ホラ」
わたしはズボンと下着を脱ぎ、屹立した一物を握らせた。
「こんなんになってんだぜ。なんとかしてよ」
「なんとかって……」
「先だけ挿れたらすぐに抜くからさ。それだけで満足するから」
脈打つ肉棒を握り、有里は納得したようだった。
処女ではないにせよ、経験は少なそうだ。男はいったん入れれば、射精するまで満足しないということを知らないらしい。
「先だけよ」
「うん」
スカートをまくり、パンティをおろす。そして、脚をひろげさせると、わたしは濡れた膣口の中にそそり立った業物をめり込ませた。
「あ、く……」
有里は唇をかみ、つらぬきを受け止める。わたしはぬるぬるの膣襞を味わいながら、抜き差しをはじめる。
「あ、あ、やん、先だけっていったじゃん。ちょっとだけっていったじゃん」
「ちょっとだけだよ、ちょっとだけ」
「で、でも」
「先生も気持ちいいだろ、ほら、ぐちゅぐちゅ、ぐちゅぐちゅ、音立ててるぜ」
わたしが腰を振るたびに、有里の部分からは卑猥な音がひびく。わたしは彼女の乳房を揉み、激しく腰を揺らす。
「ああああん、ダメェ、そんなの、いや、お願い、お願い!」
拒絶の言葉を吐きながらも、彼女は歓喜を示していた。わたしも彼女のぬるみと締めつけを感じ取りながら、ほどなくして達してしまったのであった。
その後、彼女は家庭教師を辞めたかというと、その逆で、時間を延ばし、日数を増やし、ときには有里の住むアパートへ招いてくれることもあった。
「そうそう、はい、よくできました」
「じゃあ、先生、ごほうび」
「もう、しかたないわね」
問題集の決められたページを全問正解するたびに、彼女は身体を提供してくれた。そのおかげでわたしの成績もあがり、考えていた以上の大学に合格できた。
しかし、わたしが進学し、彼女も社会に出ると、関係は終わった。
どのような形であれ、わたしに勉強とセックスの歓びを教えてくれた有里先生。この年になっても、その面影を忘れることはできない。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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