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このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【媚薬の効果で泣いた不感症の人妻】石川県在住O・Uさん(74歳)
恵美さんは、当時32歳。わたしが40年前に勤めていたスーパーのパートだった。わたしは一応、店長の職にあり、同世代の恵美さんからは何かと相談を持ちかけられていた。
恵美さんはなかなかの美人で人妻。年相応の色気があり、その点もわたしが特に気にかけていた理由だった。色は白く、目尻のつりあがった大きなひとみは常に潤んでいて、唇も肉厚がある。そして胸元を大きく盛りあげる乳房のふくらみ。
そんな恵美さんがある日、改まってわたしに相談を持ちかけてきた。
「あのう、じつは……」
「なんですか?」
「じつはですね」
いいにくそうにはにかみながら、うつむく恵美さん。わたしは事務所の椅子に座って彼女の言葉をじっと待つ。
「わたし、じつは不感症じゃないかって思うんです」
突然の告白にわたしは面食らってしまった。
恵美さんには息子さんもいる。けれどわたしは、30歳を超えて、まだ独身。童貞ではなかったが、回数では恵美さんのほうが勝っているに違いない。
そのことを正直に告げると、恵美さんは真剣な眼差しでいった。
「回数なんて関係ないと思います。いいえ、回数が多いから不感症だってわかるのかも……」
いわれてみれば、そのとおりかもしれない。何度もセックスをこなしながら気持ちよくならない。だから自分は不感症だと認識できる。
けれど、どうしろというのか。わたしはとりあえず、媚薬というものがあるらしいとだけ答えた。
「どこで売ってるんですか?」
「そうですねぇ……、普通の薬局では、たぶん売っていないと思います。それ専門のところかアダルトグッズの店か」
「わたし、恥ずかしくていけません……」
「なんなら、わたしが買ってきてあげましょうか」
その言葉に恵美さんはうれしそうにほほ笑み、わたしを見つめた。
「本当ですか。ありがとうございます」
数日後、わたしは小さな軟膏を買って恵美さんに手わたした。
「これが……」
「中国製らしいです。効き目はわかりませんが、お店の説明ではそれなりに……」
「どうするんですか?」
「あの……」
陰部に塗り込んでしばらくすると身体がほてってくる、と店員は説明してくれた。わたしは、そのまま恵美さんに伝える。
「ありがとうございます。おいくらでしたか?」
「いいですよ。効くかどうかもわからないし、そんなに高いものでもなかったから」
「でも、それじゃあ」
「いいです、いいです」
たしかに高価なものでもなかったし、すすめてみて効き目がないということになれば、わたしの責任にもなる。
「じゃあ、店長が塗ってください」
「え!」
「わたしのアソコに塗ってください。それで効果があれば夫と試してみます」
わたしは驚いて恵美さんの顔を見た。恵美さんは、うっとりとした目でわたしを見つめる。その表情には艶笑が浮かび、光沢が浮かぶ唇から舌の先が見え隠れしている。
誘われているということはわかった。相手が他人の夫人だというのが少し気にはかかったが、女性のほうから誘いをかけているのに断るのは無粋というものだし、以前から懇意な関係になれればいいな、つまり肉体関係を持てればいいなとも思っていた。
「わ、わかりました」
その日の仕事は終わり、恵美さんと待ち合わせて早速ホテルへおもむいた。
制服姿と違い、私服の恵美さんは見違えるように艶やかだった。
「先にシャワー、浴びてきます」
そういって恵美さんは浴室へ。わたしはベッドに腰かけ、ドキドキしながら彼女が戻るのを待った。
備えつけのバスローブを使わず、恵美さんはバスタオル1枚だけの姿であらわれた。肌が桜色に染まり、長い髪の毛が濡れ、ぬぐいきれなかった水滴が玉になって肌からこぼれ落ちている。タオルでおおった胸元にはくっきりと深い谷間が見え、ムッチリとした太ももがあらわになっている。
「店長も浴びてきて」
いわれてわたしもバスルームに向かった。
わたしがふたたび部屋に戻ると、恵美さんはすでにベッドにもぐっていた。わたしはドキドキしながら横にすべり込む。するといきなり恵美さんはわたしに抱きつき、唇を重ねてきた。
ネットリとやわらかい感触が絡みつき、唾液が行き来する。恵美さんはバスタオルを脱いでいて、布団の隙間から豊満な乳房が見え隠れしていた。
「店長さん」
「は、はい……」
「塗って」
ベッドの枕元には、わたしが買ってきた軟膏が置かれていた。わたしは手に取り、人差し指で救って彼女の秘部へ。
「あん……」
彼女の部分は早くも熱く潤っていて、充血した肉ビラがヒクヒクと息づいていた。
「ど、どうですか?」
「まだ、わかんない」
「そうですか」
「店長……」
「はい」
「身体が早く熱くなるようにかわいがって」
わたしは思い切って布団をはがした。あらわれたのは、上質の脂肪におおわれたダイナミックな肉体。恵美さんは身体をねじって胸をかかえ、太ももを交差させる。
「ヤン、恥ずかしい」
しかし、その表情には笑みが浮かび、酔ったようなひとみでわたしを見つめる。情欲で頭がいっぱいになったわたしは、恵美さんの乳房にむしゃぶりついた。
「やあん、あん……」
切ない声をあげ、恵美さんはわたしの頭をかかえる。わたしは乳首を吸い、舌で転がしながら、やわらかい肉塊をわしづかみにする。
「あああん、感じる……」
「気持ちいいんですか」
「うんうん、身体が、身体が……」
「身体が?」
「熱いの」
薬が効いてきたのか。わたしは乳房に愛撫を加えながら、もう一度部分に媚薬を塗り込んだ。
「やああん、すごい、あああん、どんどん出てくる、オツユがオツユが、やああん、こんなの初めて!」
恵美さんのヴァギナは洪水のように濡れそぼり、抱きしめれば発熱したように体温が上昇していた。艶やかな肌は光沢を増し、朱を帯び、濃い芳香が立ちのぼる。
「もう、あああん、もう、ダメ、はやく、はやくちょうだい、はやくぅう!」
わたしの一物も大きく勃起していた。それを恵美さんのクレパスにあてがうと、少し力を加えただけですんなり内部へ埋没してしまった。
そのまま、わたしたちは時間の許す限り、お互いをむさぼり続けた。恵美さんは不感症が治ったとよろこび、わたしも久しぶりに官能的な時間が過ごせたことに満足していた。
その後も恵美さんには相談を持ちかけられ、わたしは答えた。そのほとんどがセックスに関することで、二人は人目を忍んでホテルに通った。
わたしは、恵美さんが不感症だったということが信じられなくなっていた。薬がきっかけでそうでなくなったのか、もしくはわたしを誘惑するための口実だったのか。けれど、そんなことは関係ない。わたしは恵美さんと甘美な関係をいつまでも続けたい、そう考えた。
しかし、恵美さんは夫の転勤を理由にパートを辞めた。携帯電話もなかった時代、連絡を取り合うこともなく、わたしたちの関係は終わりを告げたのだった。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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