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中高年の性告白

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【中高年の性告白】第142回「誘われて行ったスワップパーティー」神奈川県在住T・Uさん(54歳)

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【中高年の性告白】第142回「誘われて行ったスワップパーティー」神奈川県在住T・Uさん(54歳)

このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長

【誘われて行ったスワップパーティー】神奈川県在住T・Uさん(54歳)建築業/独身

 ついこの前までかよい続けていた店がある。目的は、そこに勤めるホステスの明日香だ。小柄な身体はプリプリしていて、目もパッチリと色白。歳は26だといっていたが、もっと若く見える。

 わたしは7年前に離婚してから、ずっと独り身だ。だから、だれに遠慮することなくプロポーズも可能なのだが、気の弱さが災いしてどうしてもいい出せない。

けれど、その日、わたしは一大決心をして、とりあえずデートに誘ってみることにした。

「あ、あのさ、映画の券があまってるんだけど、一緒に行かない?」

 ありきたりな誘い文句だが、それ以外、思い浮かばない。

「え~、でも、奥さんに悪いし」

「オレ、独身だよ。バツイチだけど」

「え! ホント! 知らなかった」

 出会った最初にいったつもりでいたのだが、それとも忘れられているのか。

「じゃあ、チケット見せて。あ、ごめ~ん。この映画、もう観ちゃったの」

 明日香はそのまま、ほかの客の相手をし、わたしは失意のうちに店を出たのだった。

 次の日、突然携帯電話が鳴った。明日香からだった。

「もしもし、昨日はゴメンね。でね、もし良かったら映画よりもっといいトコ、行かない?」

「もっといいトコ? どこ、そこ」

「ふふふ、内緒。きょうの夜、空いてる? OKならネクタイとスーツでお願いね」

 空いてようがなかろうが、明日香直々の誘いだ。それこそ、親が死んでも駆けつけるだろう。

わたしは早々に仕事を終え、着慣れないスーツを身にまとって待ち合わせ場所に出かけた。

「へ~、なかなか似合うじゃん」

 明日香はいう。彼女も華麗な白いドレスを身につけていた。狭くて暗い店の中とは違い、外で見る明日香はまばゆいばかりにきれいだと思った。

「で、どこに行くの」

 わたしはワクワクしながらたずねる。

「あのね、スワッピングパーティー」

「え?」

「夫婦交換っていうか、恋人交換っていうか。つまり、パートナーをとっかえひっかえして楽しむパーティー」

「ということは……」

 明日香以外の女や男も群れ集う中で、セックスをしろということらしい。

「本当は別の人と行く予定だったんだけど、キャンセルされちゃって。しかたないから店のお客さんの中で、唯一独身のUさんを誘ったの。恋人もいなさそうだし、毎晩さびしいでしょ」

 大きなお世話だと思った。けれど、これがきっかけで、明日香といっそう仲よくなれるかもしれない。それに、正直、長い間セックスはごぶさたで、たまっていたのも事実だ。

そして、交換といったところで明日香もメンバーの一人なのだから、ねんごろになれないわけでもない。

「そうそう、同伴のパートナーとはエッチできないシステムなの。それだけは守ってね」

 クギを刺されたわたしは落胆してしまった。しかし、この断る勇気もなく、わたしは明日香に連れられて会場へ向かったのだった。

 とある高級マンションの1室が会場だった。案内の中年男に導かれ、わたしが住むアパートより数倍広いリビングに通された。

部屋にはスーツ姿の男が4人とドレスの女が4人。女たちは明日香と同じくらい若いのもいれば、わたしと同じくらい老けたのもいる。男も30代位から60代位まで。

「みなさんおそろいになったようですね。でははじめましょうか」

 案内をした男もメンバーの一人らしい。となると、男が余ってしまう。

「大丈夫。一人の女性を二人で犯すのもありだから」

 そう答える明日香の目は、早くもいやらしく潤みはじめていた。

 わたしたちはソファーに座り、ブランディーを舐め、それぞれがめぼしい相手を品定めする。

「あの子、かわいわね。でも、やっぱりおじさんのねちっこいのがいいかなぁ」

「明日香ちゃんは、こんなとこよくくるの?」

「ううん、初めて」

 それにしては度胸がすわっている。わたしも明日香に似た若い子を狙うが、とてもこちらから話しかける勇気はない。

そうこうしている初老の女が立ちあがり、若い男のそばに寄っていった。

 女の行動に釣られるように、ほかのメンバーたちもわらわらと動きはじめる。わたしが目をつけた女には40代くらいの男、そして明日香には案内の男が言い寄ってきた。

あれよあれよという間に部屋の中は乱痴気騒ぎとなった。

 ソファーの上やカーペットの上、後ろからつらぬくものもいれば、咥えさせる男もいる。壁にもたれかかって立ちバックを披露するのもいれば、明日香がいうように、一人の女に群がるのもいる。

 明日香といえば、案内の男に馬乗りになって喘いでいる。

初めて見る全裸の明日香。艶やかな肌は光沢を放ち、想像以上にふくよかな乳房がプルプル揺れている。

 わたしは嫉妬をおぼえるが、見ているだけではダメだと思い、最初に目をつけた女をさがした。すると、彼女がちょうど、コトを終えるところだった。

「ヨシ!」

 気合いを入れて立ちあがり、近づく。

「あ、あのう……」

 何かを話しかけようとした。いまさっき解放されたばかりの女は、とろんとした目でわたしを見あげる。

「お嬢さん、いいですか」

 しかし、まごまごしているうちに別の男が割り込んできて、彼女の唇を奪い、胸を揉みはじめる。

「チクショウ」

 その時、わたしの肩をたたくものがいる。振り返れば、若い男を最初にむさぼったオバサンだった。

「あんた、ダメねぇ。しかたない、わたしが相手してあげよう」

 厚化粧をしているが、荒れた肌や垂れ下がった乳房に年齢があらわれている。わたしは遠慮しようと思ったが、いきなり押し倒されてズボンをおろされ、口にふくまれてしまった。

「あ、あ、あ……」

 そのまま女は馬乗りになり、わたしを納める。内部はなめらかで気持ちよかったが、目をあけると、おぞましい形相を浮かべている。

 結局、わたしはそのオバサンとしかできなかった。帰り道、しょぼんとしているわたしに明日香は慰めの言葉をかけてくれた。

「ごめんなさい。Uさんには無理だったかな」

「ま、まあね」

 わたしは卑屈な笑みを浮かべる。

「じゃあね。おわびの印。ホテルに行こうか」

「え?」

「わたしがうんと慰めてあげる。それで許してね」

 その後、わたしは散々、明日香の肉体を堪能した。

 結果オーライといっていいのか、悪いのか。その後、明日香はわたしを誘ってくれなくなり、わたしも淫乱な明日香に対する恋心は冷めてしまった。店にもかよわなくなり、いまだに独身を通している。

  • 【選者紹介】
  • 長月タケオ(ながつきたけお)
  • 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
  • 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
  • 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
  • おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
  • 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
  • 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
  • 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
  • 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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