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このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【興奮倍増の目隠しプレイ】大阪府在住F・Yさん(67歳)
チ×ポが勃たなくなった。還暦を過ぎたころから、そろそろ元気がなくなりだしたなと思っていたら、67になってまったく使いものにならなくなった。
気づいたのは町内会の旅行で温泉に行ったとき。男連中でストリップ小屋へ繰り出したが、裸の踊り子を見てもピクリともしない。浴衣の裾から手を忍び込ませ、自分で股間をいろいろいじくってみてもビクともしない。
あせったわしは旅行から戻ると、最近流行の薬を飲んでみたり、年寄り相手でも大丈夫なソープランドへ出かけてみたりもした。けれど、若いソープ嬢がしごいても、舐めても、しゃぶっても、どうにもならない。
「ごめんなさい」
人のよさそうなソープ嬢はそういってあやまってくれたが、わしはますます落ち込むばかりだった。
そんなある日、遠い友人宅で忌事があり、わしは一人で出かけていった。その日のうちに帰る予定だったのだが、懐かしさも手伝って、ついつい長居をしてしまい、夜は町のビジネスホテルに泊まることとなった。
何もすることがなく、ビールを飲んでテレビをつけた。ちょうど、乳のデカイ芸能人が水着姿で媚びを売るポーズをとっている。
それでもやはり、何もない。
この歳になると水着ぐらいでは興奮しないものだが、それでも、少しはムズムズしたものを感じたはずだった。隆々と天を向くことなどあり得ないが、ピクリと反応くらいは示すこともあった。
それまでのわしなら「疲れているんだ」とか、「まあ、しょせん水着だし」とあきらめるところだ。しかし、この時は違う。このまま一生、何があろうとわしは女を抱くことができない。男として、人間としての機能がひとつなくなってしまう。
そう考えるとあせりをおぼえ、わしはアダルトの有料チャンネルを観た。若くてきれいな女の子がチ×ポをしゃぶったり、挿れられて悶える姿が大映しとなった。色っぽい喘ぎ声やグチュグチュとこすれ合う音も聞こえる。それでもダメ。
わしは落ち込み。死にたいとすら思ってしまった。
そのときドアの隙間から、1枚のビラが差し込まれた。何だろうと思って拾いあげると、それはホテヘルの広告だった。
『美人人妻専用。必ずあなたを満足させて見せます』
そんな広告文が書かれてあった。
わしは迷った。もしも、ここに電話をして、来てもらった女に何をされてもダメならどうしよう。けれど、それならそれであきらめがつくかも知れない。禅宗の坊主じゃないが、すべての情欲を捨て去り、生きていくのも悪くない。
「これでダメなら四国八十八ケ所でも巡るか」
わしはそう考え、ビラに書かれた連絡先に電話をした。
現れたのは40前後の、おしとやかな雰囲気を持った、端整な顔立ちの女だった。腰つきもか細く、肌の色が白い、日本的な美人といったところか。
女がシャワーを浴び、わしはパンツ1枚でベッドに潜り込んだ。バスタオル1枚姿であらわれた女は、そのままわしのとなりに寝そべる。
「ちょっと、いいかな」
「はい?」
「じつはな」
わしは自分の状況を伝えた。
突然、チ×ポが勃たなくなったこと、そして、これでもしダメなら、すべてをあきらめること。
「わかりました。わたしもがんばってみます」
女はそういってバスタオルを取った。
あらわれたのは、か細い体つきの割には大きな乳と白くきめ細やかな肌だった。しわやシミが見当たらず、服を着ていたときよりも若く見える。
「じゃあ、はじめますよ」
彼女はわしのパンツを脱がせ、いきなりほお張った。そして、吸い込みながら舌を絡ませてくる。
だが、吸引力となめらかな動きに気持ちよさは感じるが、いかんせん、肝心のモノがビクともしない。
「ん、うんん……」
小さな唇ではさみながら、首を回転させる。もしくは、いったん抜き取り、裏筋から金玉袋、そして、尻の穴まで舐める。
「ああんん、うん……」
わしは空いた手で乳を揉み、オ×ンコをいじくった。女の部分はしっとりと濡れ、指に粘汁が絡みつく。
それでもやはり、ピクリともしない。
「んん、はあ……」
女はしぼんだままのわしをもてあそびながら身体を起こした。
「ダメか?」
「そう、みたいですね」
わしはガッカリした。固く大きくなった一物で、オ×ンコをえぐる感触が二度と味わえないのかと思うと、本当に死にたくなった。
「そうだ」
女は何かを思いついたようでカバンの中から目隠しを取り出した。
「なんだ? それは」
「少し前、別のお客さんから教えてもらったんです。これで目を隠して」
女はわしの目を覆う。
「何も見えないですか?」
「あ、ああ」
「じゃあ、そのまま横になってください」
わしは真っ裸でベッドの上に寝転がる。明かりはほのかにつけられたままだが、何も見えない。
「動かないでくださいね」
そういって女はわしの身体中を舐めはじめる。ほっぺた、唇、あご、首筋に耳もと。そして乳首にみぞおち、へそのまわり。
「どうですか?」
「うむ、気持ちいい」
感触だけが伝わってくる。しかも、次に何をされるのかがわからない。不安でもあるが期待もする。
女は股間に向かって顔をおろしているはずなのに、肩に歯を立てたり、いきなり足の指を舐めたりする。
次はどうなるんだ、次はどこを攻めてくるんだ、と考えても、意外な場所に愛撫が加えられる。
そのもどかしさが次第にわしの神経を過敏にし、見えない女の様子が頭に浮かび、なんだか妙な気分におちいる。
「お……」
女はいきなりチ×ポを咥えた。けれど、すぐに別の場所をなぞる。ふくらはぎから内股。そしてまた股間に戻る。
「おおお、おお……」
わしの部分にムズムズと血の流れ込むのがわかった。
目でたしかめることができないとなると、感覚だけが頼りとなる。とぎすまされた触覚が興奮を倍増させる。
「おお、おおおおお……!」
女はわしをつまんで舐め始めた。その、触るか触らないかの感触で、チ×ポがどんどんふくらんでくる。
「おおおおおお!」
頭をもたげはじめたであろうチ×ポを女は咥える。そして、ぢゅぽぢゅぽと音を立てながら首を上下させる。
温かでなめらかな感触に、わしのチ×ポは、とうとうむかしのように勃起する。
「すごい……、大きい……」
女はそうつぶやいて、しごき始めた。
「もういい、もう、目隠しを取ってくれ」
「ダメ、まだよ」
女はわしの手を乳房に押し当て、またがったようだ。チ×ポがオ×ンコにあてがわれ、ヌルリとした感触とともに中に入る。
「あん……」
わしが女の中で暴れまわる。女の中のじめじめした肉襞をかき分け、奥へ奥へと突き進む。
それが頭の中ではっきりと見える。何も見ることができないからこそ、目で見えるわけがないところまで浮かんでくる。
「いやあん、あん、いい……。気持ちいい」
女は喘ぎながら腰を振った。わしは下から突きあげ、身体を起こし、乳房をしゃぶる。
「うん、いい、すごくいい。お客さん、どう?」
「ああ、最高だ、最高だ」
我慢ができなくなったわしは、自分で目隠しをはずした。
目の前には肌を桜色に染めた女がわしを見つめてほほ笑んでいる。その姿は、まるで女神のようだった。わしを苦界の奥底から救ってくれた天女のようだった。
「イイ、イク、ああん、ダメ」
「わしも出そうだ。もう」
「いいのよ、そのまま出しても」
「いいのか?」
女はうなずく。わしは溜まりに溜まった精液を女の中に吐き出した。彼女はそれを全部受け止め、搾りつくしてくれたのだった。
それが癖になり、わしはソープランドに行っても、目隠しをするようになった。店の女の子たちは怪訝な顔をするが、相手にもしてあげると異常な興奮を示した。
いままでセックスは、見た目や肌の感触で行うものだと思っていた。もちろんそれも大切だが、それ以上に頭で感じることが肝要だとわかった。
脳味噌をフルに使って想像力を働かせる。
思い返せば、女を抱けない若いころ、エロ本で妄想を働かせ、想像をたくましくしてセンズリをかいたものだ。歳を取ると現実ばかりに気が入ってしまい、中途半端な感触では満足できなくなる。
想像力が快楽を増幅させる決め手。
もしもわしと同じ悩みをかかえている人がいれば、もう一度、頭の中だけでスケベなことを考え、コトにおよぶときは目隠しをすることをおすすめする。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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