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中高年の性告白

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【中高年の性告白】第162回「女の子たちになぶられて目ざめた倒錯の喜び」東京都在住T・Sさん(59歳)

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【中高年の性告白】第162回「女の子たちになぶられて目ざめた倒錯の喜び」東京都在住T・Sさん(59歳)

このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長

【女の子たちになぶられて目ざめた倒錯の喜び】東京都在住T・Sさん(59歳)

 背が低く、痩身で、度の強いメガネをかけているせいもあるのだろう、わたしはよく若い連中に絡まれる。見た目どおりの気弱な男なので、いい返すことや立ち向かうこともできず、いくばくかのカネをわたして許しを請うことにしている。

 つくづく情けないと思うが、身のためだから仕方ない。

 見合いで結婚した古女房も大学生の息子、高校生の娘も、わたしのことをバカにしている。いや、バカにするというよりも、存在自体を忘れているといっても過言ではない。

 あと数ヶ月で定年を迎える今日このごろ。そのあとのことを考えると、おぞましささえ感じる。

 すでに家庭には居場所がない。定年となれば、いままでのように会社へ逃げることも許されない。

 氷のように冷え切った環境の中で、わたしはどうやって生きていけばいいのだろう。それを考えると夜も眠れないことがある。

 そんなある日、わたしはいつものように1杯飲んで時間をつぶし、とぼとぼと帰宅の途についていた。

「おっさん、カネ、貸してくれよ」

 突然、路地の陰から声をかけられた。

「またか……」

 わたしはいつものことだと思い、背広の内ポケットに入れておいた財布を探った。すると、どこかに置き忘れたのか、いくら探しても見つからない。

「あれ、あれ」

 困惑するわたし。すると、路地から3人の女の子が姿を見せた。

「なんだよおっさん、さっさとしろよ」

 髪の毛を金髪に染め、派手な化粧をしているが、年齢は二十歳にも達していないであろう若いお嬢さんたち。

 わたしは男の姿がないのに安堵して、正直に話した。

「いや、財布をどっかに忘れたみたいで」

「いいかげんなこといってんじゃねぇよ。ウチらが女ばっかだからって舐めてんじゃねえよ」

「違う、違う、本当に……」

 細いまゆをつりあげ、女の子たちはわたしにつめ寄ってくる。

「どうしようか?」

「裸にひんむいちゃえばぁ」

「あ、それ、おもしろい」

 意見はまとまったようで、リーダーのような女の子がわたしにいう。

「そういうことだ。おっさん、ちょっとつき合ってもらうよ」

 わたしは、そのまま引きずられるように路地裏に連れ込まれた。

 そこは取り壊されるのを待っているような廃ビルだった。わたしはその中の1室に押し込まれ、あっという上着を脱がされた。

 彼女たちは背広のポケットを探し、カバンの中身を床にぶちまけ、金目のものがないか探していた。

「ホント、なんにもねえよ」

「スマホでもあればマシなのに」

「携帯電話は会社に置いてますから」

「時計も国産の安もんだし」

「時間がわかればいいだけですから」

「もっとほかに隠してるんじゃねえの?」

「いや、ホントにそれだけなんです」

 クレジットカードもキャッシュカードも財布の中。このときは、それが幸いしたともいえる。

「ズボンのポケットとか」

「靴下の中とか」

「いいえ、そんなとこには」

「脱がしちゃえ!」

 女の子たちは寄ってたかって、わたしを全裸にひんむいた。ブリーフ1枚を残したわたしは、恥ずかしさで身をちぢこませる。

「なんだよ、シケてんなぁ」

「しょうがねぇなあ」

「でもさ、このままじゃおもしろくないジャン」

「そうだな。どうせだから、このおっさんでちょっと楽しもうか」

 女の子たちはそういって、笑みを浮かべながらわたしを見た。

 これから何が行われるのだろう。わたしは恐怖や不安を覚える反面、期待感もいだいてしまった。そう、いままで感じたことのない期待をおぼえたのだ。

「縛るって、どうよ」

「あ、いいかも」

「ぐるぐる巻きにしてシバクってどう?」

「ちょうどいいや、最近運動不足だし」

「ダイエットにもいいかもねぇ」

 身の毛のよだつような言葉が、女の子たちの愛らしい唇からこぼれ落ちる。わたしは、どれだけ痛めつけられるのだろう。まさか命までは取られまいが、この子たちに殴られ、蹴りつけられるのか。

 戦慄をおぼえながらも、わたしは心のどこかで、早く行われないか待ち望んでいた。

 ピチピチした手や足で痛みをあたえられ、花びらのような唇からもれ出る声で侮辱される。縄で自由を奪われ、可憐なひとみで恥ずかしい姿を見つめられる。

 そう考えた途端に、わたしの股間はうずきはじめていた。

 女の子の一人が、どこかから細いロープを調達してきた。そして、わたしの身体に巻きつける。そのとき間近になった少女から立ちのぼる、甘酸っぱい匂いが鼻に伝わってくる。

 縄を身体に絡める瞬間、少女の素肌がかすかに触れる。わたしはそれだけで光悦となり、股間はますます熱く煮えたぎる。

 身動きできないダルマ状態のわたしに、少女たちは代わる代わる蹴りを入れた。その感触が、やがて痛みから快感に変わる。

「やだ、このおっさん、興奮してる」

「変態?」

「おっさん、マゾ?」

 そうだったのか。わたしは初めて認識した。

 いわれてみれば合点がいく。会社や家庭でどんなに冷たくあしらわれても我慢できたのは、そうされることで潜在的な欲望を満たしていたからなのか。

「気持ち悪い」

「でもさ、おもしろいジャン」

「せっかくだからさ、おっさん、気持ちよくしてやるよ」

 少女の一人が、わたしのブリーフを脱がした、自慢にもならない粗末なものは、固く反り返って勃起している。

「変な形のチ×ポ」

「これにさ、ロープ巻きつけてさ」

「引っ張っちゃえ!」

 一物が縛られ、両側から引っ張られる。ロープが食い込み、先が鬱血で赤紫にふくれあがる。

「ああ、ああ……」

「悶えてるよ」

「おっさん、気持ちいいの?」

「いい、すごく気持ちいい」

「なんだかさ、吐きそう」

「そうだね、気持ち悪くなってきた。もう帰ろ」

 少女たちは、わたしを転がしたまま立ち去ろうとした。

「ま、待ってくれ、やめないでくれ」

「おっさん、自分でしごきなよ」

「でも、縛られてるから無理か」

 けたたましい笑い声。少女たちはそのまま、どこかへ消えてしまうのだった。

 少し力を入れると、ロープは簡単にほどけた。わたしは悶々とした気分のまま、廃ビルをあとにした。

 その後、少女たちと出会うことはなかったが、わたしには新しい世界がひろがった。

 殴られたり、タバコの火を押しつけられたり、足蹴にされると興奮する。それが若い女の子で、しかも縛りつけられると快感は増幅する。

 だれか、わたしをいじめ、なぶってくれないか。そればかりを考え、夜の街をとぼとぼとうろつく今日このごろだ。

  • 【選者紹介】
  • 長月タケオ(ながつきたけお)
  • 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
  • 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
  • 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
  • おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
  • 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
  • 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
  • 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
  • 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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