Catch Up
キャッチアップ

このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【妹に手を出してしまった夏の日】神奈川県在住Y・Mさん(51歳)
わたしには3つ年下の妹がいる。今はお互いに結婚して子どももいるが、幼いころから近所でも仲のいい兄妹で有名だった。
兄の口からいうのもなんだが、妹の美樹はなかなかの美人だ。色が白く、目鼻立ちは端正で品がある。真っすぐな黒髪を背中まで伸ばし、スリムな体型ながら乳房はほどよくみのっている。
対照的に、わたしは背も低く、成績も悪く、スポーツもさっぱりで、女の子とはまったく縁がなかった。
しかし、異性と縁のないのは妹も同じだった。
彼女は女子校にかよっていたせいもあってか出会うきっかけが少なく、あこがれをいだく他校の男子生徒がいても「どうせ彼氏がいるはずだよ」と早合点したのだろう。
「裕子とか小百合とかさ、みんな彼氏がいるのに、美樹だけどうしてなんだろ」
妹はそういって、わたしにいつも愚痴をこぼす。わたしは先の理由を述べて、彼女をなぐさめていた。
それは30年前の夏の日だった。わたしは21歳、美樹は18歳。
その日、法事か何かで両親は出かけ、次の日まで2人きりの留守番を任されていた。
夕食も終え、風呂に入り、わたしはリビングのソファーでテレビを見ていた。美樹は交代で風呂に入り、ほどなくしてバスタオルで髪をふきながら部屋に入ってきた。
「お兄ちゃん、ビール飲もうか」
突然、美樹はいう。
「お前、飲めるのか?」
「ちょっとだけなら」
わたしは当時大学生だった。友だちは少ないが、それでも誘われることはある。あまり飲める口ではなかったが、ビール1本くらいなら大丈夫だ。
妹はわたしの返事を待つことなく、冷蔵庫から缶ビールを2本、持ってきた。
「かんぱ~い」
わたしのとなりに座り、美樹は缶を開けかたむける。そのとき妹が身につけていたのは、ショートパンツにタンクトップ。
ビールをかかげるために腕をあげているので、脇があからさまとなり、横乳がかすかに見え隠れしている。
髪を束ねてあらわになったうなじと、短パンからむきだしになった太もも。そして、風呂あがりの甘酸っぱい香りに、初めて美樹を女として認めてしまった。
「う~ん」
そんなわたしを気にもとめず、美樹は顔をしかめてビールの缶を見つめている。
「どうした?」
「あんまりおいしくない」
「ほら見ろ」
「だって、パパがお風呂あがりに飲んでるのを見たら、すごくおいしそうじゃん。美樹もお風呂のあとならおいしいかなって」
「お前にはジュースがお似合いだよ」
「やだ、そうやって子どもあつかいする」
美樹はほほをふくらませて口をとがらせた。その様子は愛らしくもあり、肉体の曲線がはっきりと分かる出で立ちは艶美でもある。
「貸してみろ、オレが飲んでやるから」
「いや、全部飲む」
美樹はわたしの言葉に逆らい、全部飲み干した。
しばらく、わたしたちはならんでテレビを見ていた。すると、わたしの横からスースーと寝息らしきものが聞こえてくる。
美樹はほほを赤らめて眠りに落ちていた。
「こんなところで」
夏とはいえ、風邪を引くかもしれない。わたしは美樹を揺り起そうとした。その拍子に乳房に手が触れてしまう。
「あ!」
わたしはあわてて手を引っ込めた。それは、何かとてつもなく罪深い行為のような感情にさいなまれたからだ。
「う、ううん?」
その感触からか、美樹は目をさまし、わたしを見る。
「こ、こんなとこで寝ちゃ、風邪引くぞ」
わたしは動揺をおぼえながらいう。
「うん、大丈夫」
美樹は酔っているのか、立ちあがろうとしても足もとがおぼつかない。わたしは手を貸そうと美樹の肩を抱いた。
その拍子に、今度は乳房がひじに当たる。そのやわらかな感触に、ジャージをはいていた股間は素早く反応を示した。
「あ……」
美樹はふくれあがったわたしの股間に気づき、驚きの目を向ける。
「お兄ちゃん……」
「な、なんだよ」
わたしは平静を装おうとした。けれども、肉体は正直な形を浮きあがらせている。
「お兄ちゃん、美樹で興奮したの?」
「バ、バカいえ」
「でも、大きくなってるよ」
そのとき、美樹は嫌悪の表情を浮かべるでもなく、逆に妖しくほほ笑む。わたしは背筋がゾクゾクするような感慨をおぼえながら、妹を見つめてしまう。
「お兄ちゃん、ひょっとして美樹でシテない?」
「なにをだよ」
「オナニー」
妹の口からそんな言葉が出てくることに驚き、わたしはかかえていた美樹を放す。美樹はソファーに崩れ、うわ目づかいでわたしを見る。
「痛いなぁ」
「お前が変なこというから」
「でもさ、お兄ちゃん、彼女もいないし、おカネもないし、もてるタイプじゃないし」
「大きなお世話だ」
「オナニーしかないじゃん。処理するの。でもさ、美樹も一緒だよ」
「え?」
「美樹も彼氏いないから、オナニーするんだよ」
目もとがうつろで、呂律もまわっていない。
美樹はかなり酔っていたのだろう。潤んだ目でわたしを見ながら、危うい言葉を吐き続ける。
「ねえねえ、男の人ってどうやってするの?」
「どうって……」
「女の子はねぇ、アソコをくちゅくちゅっていじくってぇ、おっぱい揉んだりしてぇ」
自分の言葉に興奮をおぼえたのか、美樹は両脚をかすかにひろげ、胸乳に手を当てた。
「やめろよ、兄貴の目の前で」
「お兄ちゃんの、大きくなったの見てたら美樹、シたくなってきちゃった」
「だから、そんなことは一人でしろ」
「お兄ちゃんもシて見せて。だったら美樹のも見せてあげる」
舌で唇をなぞりながら美樹はいう。
わたしも、このとき少し酔っていた。妹の淫靡な言葉と姿に理性のタガがゆるみ、本能が際立ってくる。
美樹はそんなわたしを誘惑するかのように、ノーブラのタンクトップをまくりあげ、ショートパンツのファスナーをおろし、陰部あらわになった乳房をまさぐりはじめる。
「うん、ねえ、お兄ちゃんも……」
わたしは立ちつくしたままズボンをおろし、屹立したペニスをしごく。
「やあん、ううん、気持ちいい」
美樹は左手で乳房を揉み、右手はパンティーの中でうごめいている。
「お兄ちゃんの、すごく大きくなってる」
「ああ」
「美樹、いやらしい? きらいになった」
「そんなことない」
「お兄ちゃん、痛くないの? そんなに握って」
「ああ」
「美樹、あああん、気持ちいい、やん、イキそう、イク、あ……」
美樹はわたしの目の前で達した。その姿を見て、わたしは極度の興奮を得る。頭の中は情欲で渦巻き、もはや理性を押しとどめることは不可能となる。
「美樹」
「うん?」
虚脱にひたる美樹は、うつろな目のままでわたしを見る。わたしは、いきなり美樹におおいかぶさった。
「やだ、お兄ちゃん、ダメ」
「どうしてだよ」
「だって、兄妹だよ」
「オレはもう、我慢できない!」
美樹は抵抗を示す。しかし、わたしは衝動をおさえきることができない。美樹を押し倒してのしかかり、下半身をむき出しにさせる。
「いやいや、お兄ちゃん、いや!」
「美樹、お前が悪いんだ、お前が」
艶やかな素肌を舐め乳首をふくむ。美樹は唇をかみ、伝わる感触にたえている。自慰で潤ったクレバスは簡単に口を開け、かき混ぜると蜜があふれ出てくる。
わたしは勃起した肉棒をあてがいめり込ませた。窮屈な内部を感じ取りながら、妹の潤いと温度、そして締めつけを味わう。
「やあん、だめぇ! ああん、お兄ちゃん!」
肉欲の赴くまま、乳房に吸いつき腰を振る。そしてわたしは、あろうことか妹の中に吐き出してしまったのだった。
射精後に冷静となったわたしは、明日から妹とは疎遠になるだろうと覚悟を決めた。内ももにザーメンをたらす美樹は、うつ伏せになって身動きしなかった。
「ごめん」
わたしはそれだけをつぶやいた。
「お兄ちゃん」
「なんだ?」
「次からは中に出さないでね」
わたしは驚いた。予想に反し、妹は顔をあげ、微笑を返してくれたのだった。
とはいえ、それからわたしは妹との行為を一切禁じた。もし2度目があれば、歯止めが利かなくなり、抜け出ることが不可能になると思われたからだ。
妹は何度かわたしを誘ったが、決して応じることはなかった。
「美樹のこと、きらいになったんだ」
「オレが好きな美樹は妹の美樹だ。これ以上してしまうと妹でなくなる」
納得したのかどうか、その言葉を伝えたときから妹はわたしを誘わなくなった。惜しい気もしたが、今ではそれでよかったと思っている。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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