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『七人の刑事』は、TBS系列で1958年から69年に渡って放映された人気ドラマ。犯人の追及にとどまらず、社会の歪みに焦点を当て、刑事たちの人間ドラマを掘り下げる重厚な内容で現在の刑事ドラマの原点となった作品。芦田伸介などが出演していたことで知られる。なぜ、七人なのかというと、1954年に公開された黒澤明監督の『七人の侍』の影響があると考えられるが、7人という人数と刑事ドラマの相性が良かったということがあるのかもしれない。
現在も「7人」と「刑事」を組み合わせたドラマが人気を集めている。2015年にスタートした『刑事7人』(テレビ朝日系)シリーズである。主演は東山紀之。主人公の天樹悠を演じる。このシリーズの特徴は、シーズンによって主人公たちの所属や取り扱う事件が変遷していくこと。現在の第七シリーズでは警視庁刑事部特別捜査係、専従捜査班となっている。脚本はかなり自由で、刑事ドラマの「大枠」さえ外さなければ、何をやってもいいと製作者が考えているとしか思えない展開が興味深い。
例えば、第6話。この回の主人公は青山新(塚本高史)。かつて、逮捕し更生していたはずの男・笹井誠(佐藤祐基)が、ある殺人事件の主犯として自首してくる。被害者は周囲から仏の尾原と呼ばれる好人物。青山は、笹井の無実を信じて動き始める。案の定、尾原には裏の顔があり、笹井はある女性を助けようとして、嘘をついていることが明らかになってくる。あくまでも、笹井を信じる青山の愚直なまでの信念が真実を明らかにしていくのだ。
第7話は一転して、おかしな屋敷の「殺人事件」が取り上げられる。ある資産家の別荘で起きた殺人事件。母を殺した(と信じる)息子と家政婦が、遺体を屋敷の外に運び出そうとしていると、専従捜査班の一人、海老沢芳樹(田辺誠一)が屋敷を訪問。二人は遺体を運び出すタイミングを失ってしまう。遺体が腐らないように氷を買い出しに行くと、専従捜査班の片桐正敏(吉田鋼太郎)が「そんな氷を何に使うんだ」と問い詰め、挙げ句の果ては、天樹悠までが屋敷にやってきて、あれこれ調べ始める。ドタバタ劇の極みのような展開だが、実は、母を殺した真犯人は息子と家政婦ではなく…というオチに持っていく。いやあ、自由な脚本だなあと感心せざるを得ない。
毎週、展開も違えばテイストも違う。このドラマがマンネリに陥ることは、しばらくないのではないかと思わせてくれる。
このドラマの紅一点・倉科カナについてもひと言触れておこう。むさ苦しい男どもの中で唯一の癒やしのような存在だが、ただの「お飾り」のかわい子ちゃんではなく、逃げる犯人を蹴り上げたり、足でコツコツ情報を集めたりする「できる女刑事」に描かれている。彼女の存在がドラマの質をアップさせていることは間違いない。
- (文)久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
- (編集)スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/
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