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不安な時代に流行するもの、なーんだ。
ズバリ「スピリチュアル」である。今も、占いが大流行なのだそうだ。
思い出してみれば、細木数子さんが「地獄に落ちるわよ!」「アンタ死ぬわよ!」という恐ろしい決めゼリフで一世を風靡していた2003年も、米英軍のイラク攻撃やSARS流行など、それはもう不安な時代だった。
形あるものが破滅していくさまを見ると、精神的なものに手を伸ばしたくなり、未来を断言してくれる人の言葉を求める。それはある意味、自然な感情の流れかもしれない。
が、私の周りのオジジオババに、占いに興味を持っている人を見たことが無い。
ためしに、近所に住む親戚の叔父を呼び、占いについてどう思っているか聞いてみた。
「どんだけ儲かるんやろうなあ」
興味はそっちなんかい! しかも
「ワシもできそうな気がする」
とほざくのである。これに対してオカンの返しが
「なに言うてんの、ムリムリ。アンタ座敷童も見たことないくせに」。
無邪気に笑う2人を見て、私はため息をついた。
占いを信じる信じない以前に、妖怪との区別すらついていない。
「不思議系」でザックリまとめているのだろう。お話にならん!
「でも2人とも、自分の星座くらい知ってるやんな?」
オカンは頷いて「射手座」と即答。叔父は「ぎょうざ」と一ミリも面白くないボケをかましてきたので、スルーをした。
隙を見ればギャグを入れてくる関西シニア。面倒臭いこのうえなしである。
叔父は何度か占ってもらってことはあるものの、当たったためしがないのだそうだ。
考えてみれば、私もけっこう高いお金を出し「前世占い」をしてもらったことがある。
「前世はエジプトに住む子だくさんで貧乏な女性」と言われ、金返せよと思った。
別の占いでは「海外と縁がある、世界を飛び回る」と断言されたが、51才の今まで、行った海外は韓国とシンガポールのみである。当たっているとは言い難い。
それでも私は今でも占いを信じている。うむう、おめでたいのは私の方なのか。
ちなみにオカンは買い物の途中、強引な勧誘に遭い、無理やり占いの館に引っ張られていったことがあるそうだ。
ところが、オカンを占ったとたんその占い師は「怖い。人の運を食って生きる恐ろしいタイプ。あなたに印鑑を売ったら私が破滅する」とおびえ出したそう。印鑑を売るつもりやったんかい! 結局占い師にサッサと帰ってくれと追い出されたというが、危ない危ない。
しかし、そんな強欲な占い師に怖がられるオカンの運気って……。長年同居している私、確かに運が食われている実感も、なくは、ない。
【法善寺灯子さんのプロフィール】
関西在住ライター。性別:女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。
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