このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。

編集長

【作戦遂行「コロナを吹き飛ばせ！　関西シニアのおねだり作戦」】

大阪のコロナ感染者数がとんでもないことになっている今日この頃。　

関西シニアたちを心配してくださっている方も多いのではないだろうか。

外に出れないうっ憤をどう晴らしているのか。

私の周辺情報ばかりになって申し訳ないが、少しでも関西シニアの強さを伝えたい。

　感染者数が１０００人を超えてから、スーパーで買い物以外、カフェでお茶したりランチしたりは控えているようで、人出はかなり減っている。が、オバチャンの生き甲斐はお喋り。それこそ「お喋りできなければ、コロナ以前にストレスで死ぬ」という人が多い。そこでババたちは、とにかく電話している。その一回がこれまた長い。

　先日、オカンも「はいはーい。いやーねえコロナ。本当に怖いわねえ」とスマホ片手に部屋にこもって、延々３時間話していた。

　いったい何をそれだけ話すことがあるのか。コロナの情報交換なのだろうか。

　オカンに聞いてみると

「コロナが怖い、早く収まらないかという同じ内容を５回くらい繰り返し、このままボケてしまうんじゃないだろうかという同じ内容をこれまた５回くらい繰り返している」

というまさかの返事が。

　げげげ嫌すぎるルーティン！

同じ話を繰り返して、よく飽きないね！

「話したそばから忘れて、『これ、さっき話したやんな？』とジワジワ思い出していっての繰り返し」

なるほど。50歳の私でもよく出る現象だ。

「で、このまま家に閉じこもりっきりじゃ、ホンマにボケてしまうわー言うてなあ」

と暗い顔をするので

「大丈夫大丈夫。手指を動かしておけばボケないって言うから。ほら、オカンは家事してるから！」

と励ますと。

「さっきの電話で、○○さんの知り合いの刺繍の先生がボケたって」

ししし刺繍の先生が！　 むちゃくちゃ細かい手仕事してる人ではないか！

　そりゃ困った……。なかなかディープな情報である。

「じゃあストレスを溜めなきゃいいんだよ。ストレスが一番アカンよ！ 上手に解消しよ！」

　困ったときは全部「ストレスのせい」にしてしまえ！　私はアワアワと母を励ました。

するとその瞬間、オカンが

「そうやねん。だからストレス解消したいねん。通販で買ってほしい服があるねーん」

と言ってにんまり笑いやがったのである！

その上がった口角からは「まんまとかかった……。うちの娘チョロイわ」という心の声がダダ漏れていた。

くっそー！　ハメられた……（泣）。

そういえば先々月もこのコロナで落ち込んだ作戦でオシャレメガネを買わされ、先月はＩＫＫＯ監修のオールインワンジェルを買わされた。３回目じゃないか！

ボケてるのは私だーッ！！

　関西シニアを侮ってはいけませんぞ。彼女たちはしたたかである！

【法善寺灯子さんのプロフィール】

関西在住ライター。性別：女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。