Catch Up
キャッチアップ

このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【わたしを惑乱した叔母】神奈川県在住K・Kさん(51歳)
20歳のころ、大学生のわたしは叔母の家に下宿することになった。両親は、家賃も安く上がるし監視役もついているから安心、と思ったのだろう。
叔母は母の妹で、早くに叔父と死に別れ、長く未亡人生活を送っていた。たしかまだ30代半ばだったと思う。
叔父は名の売れた作曲家で、亡くなったあとも印税が入っていた。年間にするとかなりの額らしく、子どももいない叔母は悠々自適の生活を送っていた。だから、わたしの母親のような生活臭もなく、清楚で気品のある雰囲気を醸し出していた。
そんな叔母とひとつ屋根の下で暮らすことになった。高校生くらいからは法事くらいしか顔を会わせることはなかったが、叔母は美しい人だと認識していた。叔父が残した家は広大な屋敷で、造りは古いが豪奢なたたずまいを見せていた。
「いままでずっと一人でしょ。コウちゃんが来てくれてから寂しさが薄れたみたい」
叔母はそういってくれたが、わたしは夜中にトイレに行くこともはばかられる。それほどに、屋敷の中は日が暮れると静まり返り、物音ひとつしない。しかも、廊下には照明が届かなくて薄暗い部分が多くあり、壁のシミなんかは不気味な人の顔に見える。
叔母には悪いが、わたしは早く別のところに移りたいと考えていた。
ある夜中、恐る恐る用足しに赴いたわたしの耳に、奇妙なうめき声らしきものが届いた。脅えながらも声のするほうをたしかめると、それは叔母の寝室からだった。
「どうしたんだろ」
わたしは勇気を振り絞って部屋の前に立つ。すると、声は苦しみや痛みをこらえるものでないことがわかった。
「あああん、やん、うん……」
それは、あきらかに叔母の喘ぎ声だった。
三十路といえば、女体にもっとも脂の乗りきった時期だ。しかも、叔母は長く独り身で、欲情を受け止めてくれる相手もいない。それで仕方なく、自分で自分を慰めているのだろうか。
わたしは叔母がどのような格好でオナニーにふけっているのかが気になり、そっと扉の鍵穴から中をのぞき込んだ。
部屋の照明を煌々とたいたまま、叔母は大きく脚をひろげて部分をいじくっていた。それはまるでわたしに見せつけるかのように、大胆で淫靡な姿だった。
身につけているものは白いネグリジェだけ。純白の素肌をさらけ出し、いつもはきちんと束ねられた髪もザンバラに垂らしている。深紅の唇からは厚ぼったい舌が見え隠れし、豊満で形のいい乳房をわしづかみにしている。
「あ、あくん、ううん、やん……」
黒々とした茂みにおおわれた秘部に指が忍び込み、出し入れするたびにねめりある光沢を放って汁がにじみ出る。紅潮した頬にうっすらと汗ばむ肌。女体から放たれる淫靡な香気が、わたしのところまで届いてきそうだった。
「ううん、うううん、やああん、あ……」
叔母の指が激しく部分をこねくり回す。興奮をおぼえたわたしも、たたずみながらペニスを握りしめる。
叔母は腰をグラインドさせながら背中を反らせる。そして、あごをあげ、喉を伸ばしたかと思うと、背中を反らせて達したようだった。
わたしも叔母とほぼ同時に射精してしまった。放たれた精液がドア板にこびりつく。あわててシャツでそれをぬぐい取ると、気づかれないようにその場を去った。
次の日からわたしは、こっそりと叔母の部屋の前に立っては中の雰囲気をたしかめ、のぞき見を楽しんだ。叔母はほとんど毎日オナニーをくり返し、あられもない姿をわたしに見せてくれた。
しかし、こっそりとのぞくだけでは満足できなくなる。わたしは、どうにかして叔母のいやらしい肢体を間近で見てみたいと思うようになる。
そんなある日、叔母はいつものように清楚なワンピース姿でわたしの朝食を用意してくれた。
「きょうのご予定は?」
「え? いえ、別に……」
「そう、夕食は?」
「あ、いえ、晩ご飯は外で友だちと食べるから」
「そう」
叔母はそういって食堂から出ていった。
友人と夕食をとるなどというのはウソだった。わたしは咄嗟にひとつのことを思いついたのだ。
昼間、叔母は知り合いと一緒にランチやお茶を楽しむ。ほとんど日課となっていて、夕方まで戻らないのをわたしは知っていた。だから、早くに学校から戻ると、屋敷の中はわたし一人となる。
「どこかに忍び込むスペースはないものか」
午後、わたしは叔母の寝室に忍び込んで案を練った。
叔母の部屋は1階にあり、庭に面しているのでカーテン越しにのぞくのは可能だ。しかし、それでは息づかいや匂いまで感じ取ることはできない。このままベッドの下やクローゼットの中に隠れることも考えたが、叔母がいつ淫靡な行為にふけるのかわからない以上、待つにも我慢の限界がある。
「はたしてどうしたものか」
わたしは考えあぐねた。そのとき、普段よりも早く叔母が帰宅した。
「やばい!」
わたしは大あわてでクローゼットの奥深くに身を隠した。
パーティーやかしこまった外出用の衣裳は別室にそろえられているが、普段着は寝室にある。叔母は帰宅すると、まず寝室に入って部屋着に着替える。
わたしは隠れているのがバレないかと、ドキドキしながら身をちぢめていた。幸いにも、叔母はわたしが身を潜めていることに気づかない。そして、着ていた服を脱ぎ捨てると、そのままベッドに横たわった。
「なんだ? 身体の調子でも悪いのか?」
わたしは思った。しかし、叔母は昼日中にもかかわらず、下着姿のままで股間と乳房に手をはわしはじめたのだった。
「あ……」
クローゼットのすき間から叔母の行動を見ていたわたしは、言葉をなくした。叔母はカーテンを閉めることもなく、日の光に裸体をさらし、オナニーをはじめたのである。
「うん、ふぅうん……」
ゆっくりと目を閉じ、眉根にしわを寄せ、唇を半開きにしながら叔母は胸に手を伸ばす。艶を放つ乳房を揉み、少し色づいた乳首をいじくる。
「ふうううん、すんすん……」
もう片方の手が陰部におろされ、細やかに指が動く。敏感な部分に達すると、ビクンと身体を震わせ背筋が伸びる。
「あん、ああん、コウちゃん」
そのとき叔母は、たしかにわたしの名をささやいた。叔母はわたしを脳裏に描いて、欲望を満たそうとしているのだ。
複雑な心境ではあったが自分も同じ穴のムジナだ。わたしは、わたしの名を口にする叔母を見つめ、股間の一物を取りだした。
「あああん、コウちゃん、コウちゃん……」
叔母の慰めは激しくなっていく。わたしも、強く早くペニスをしごく。叔母は体躯をグラインドさせながら、のぼりつめようとしている。わたしも、あと少しで達してしまいそうになる。
「あ……」
興奮がピークに達していたわたしは体勢を崩し、そのままクローゼットの中から転がり出てしまった。
「キャ!」
突然のことに驚いた叔母は、目を丸くして身を固くした。わたしはだらしない格好のまま叔母を見つめ、照れ笑いを浮かべる。
「こ、コウちゃん……」
「へへへ」
勃起した一物はそのまま。わたしは急いでズボンをはこうとあせる。
「なにしていたの?」
「お、叔母さんこそ」
驚きをあらわにしていた叔母だが、すぐに妖しくほほ笑み、半裸のままわたしににじり寄ってくる。
「わたしのいやらしい姿を見て、興奮したの?」
「え、ええ、まあ」
「こんなとこに隠れなくても、ちゃんと見せてあげたのに」
「いや、その……」
「もっと見たい?」
「え?」
「いいのよ、わたしをご馳走してあげる」
叔母はわたしをベッドに誘った。そして押し倒したわたしの全身を舐めまわす。なめらかな感触とあわい芳香で、わたしは興奮し、身体中が熱くなる。
「気持ちいい?」
「はい」
「ふふふ、コウちゃんがここにきてから、わたしもなんだか変になっちゃったの。やっぱり若い男の子っていいわね。洗濯なんかするとき、ドキドキしちゃう」
「そうですか……」
「挿れたい?」
「え?」
「わたしの中に入って。わたしも……」
叔母はいきなり唇を重ねてくる。そのままわたしにまたがり、オナニーで濡らした部分にめり込ませたのであった。
叔母の身体を堪能したわたしだが、溺れてしまうことには危機感をいだいた。叔母はたしかに美麗で部分の感触も申し分なかったが、このままでは忌まわしい関係から抜け出せなくなってしまう。
そう考えたわたしは別の下宿を探し、叔母の家を出た。叔母は寂しそうな顔をして理由をたずねたが、わたしは先輩の紹介だといって適当にごまかした。
その後も叔母とは何度か顔を会わせたが、会釈をする程度で特別な態度をとることはなかった。ただ、叔母に誘惑された甘美な記憶は、いまでも心の隅に残っている。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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