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昭和官能エレジー第24回「夜桜凌辱の艶躍」長月猛夫

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昭和官能エレジー第24回「夜桜凌辱の艶躍」長月猛夫

この官能小説は、現在50代から60代の方々の若かりし時代を舞台背景にしています。貧しかったけれど希望に満ち溢れていたあの頃、そこには切なくも妖しい男と女の物語が今よりも数多く存在しました。人と人とが巡り合う一瞬の奇跡、そこから紡がれる摩訶不思議な性の世界をお楽しみください。 編集長

【夜桜凌辱の艶躍】長月猛夫

 その街には城下町としての歴史があり、明治、大正、昭和の初期は大阪南部の中心地として栄えていた。だが、1970年に万博が開かれると、北部を中心とした開発の波から取り残されてしまって斜陽化する。

 街がすたれれば、人はどんどん離れていく。残されたのは、酒と博打にのめりこむゴロツキばかりだ。

 女たちは、濡れた雑巾の最後の1滴まで絞り取るかのように、男たちの稼ぎを狙う。

 表通りから離れた路地裏には、小さな酒場が軒を連ねていた。つる代の経営するスナックは、そんな横丁の一角にある。

 さびれていく街と歩調を合わせるかのように客足は遠のき、しかもつる代は酒癖が悪い。酔えば客に絡み、ときには暴言も吐く。

 やがて売り上げは落ち、ホステスを雇うカネはなくなり、つる代以外で店に出ているのは娘の香織だけだった。

「1回だけていうたやん!」

 脚の高いスツールに座り、タバコをふかしながらカウンターにひろげたスポーツ新聞を読むつる代に、香織は声を荒らげた。

 横丁はトタン屋根におおわれていて、通りの奥まで日の光は届かない。開店にはまだ早い午後。昨日の夜の残り香が充満する店の中で、つる代に呼び出された香織は仁王立ちで訴えた。

「向こうさんが気に入ったっていうんやから、しゃあないやろ」

 つる代は新聞から目を離さずにいう。

 香織は18歳。色白で愛らしい顔立ちだが、15の年から店に出ていたこともあり、年齢にそぐわない色香を兼ね備えている。

 店の経営難はもとより、ギャンブル好きのつる代は懇意にしている客からカネを借り続けた。次第に金額はふくれあがり、返済の代わりに香織を抱かせてしまったのだった。

「ウソや。ウンともスンとも声出せへん。そんな人形みたいな女抱いてよろこぶ男なんかおれへん」

「あんた……」

 つる代は新聞から目を離して香織を見る。

「もっと気ぃ入れて相手せんかいな。寝転がって股開くだけと違てやなぁ」

「ウチになにをせえていうねん」

「チ×ポ咥えてしゃぶるとか。気ぃ入れてせんと、二度と声かかれへんで」

「お母ちゃんは1回だけと違て、なんべんもウチを抱かすつもりやったん?」

 ふたたび新聞に目を落とし、吸いかけのタバコを唇にはさんだつる代はいう。

「まあエエわ。そんなアンタでも気に入ってくれたんやから。若いちゅうだけで財産や」

「なにがエエねん。お母ちゃん、ウチのことだましたん?」

「人聞きの悪いこといいなや」

「そやけど1回だけ、1回だけ我慢してくれていうたやん」

「おカネがな、いるねん」

「なにによ?」

「前の2輪のレースで負けてしもてやな……」

「またカネ借りたん?」

 つる代は答えない。

「ウチをなんやと思てるん! ウチはお母ちゃんの道具とちゃうで!」

「ほな、アンタはなにや?」

 新聞をたたんでカウンターに置き、タバコを灰皿でもみ消したつる代は、椅子から立ち上がって香織に迫った。

「アンタはなんや、なにもんや。いうてみぃや」

 つる代の険を含んだまなざしに、香織は何もいい返せない。

「男に抱いてもらえるまで育ててもろて、その恩を返すのは当たり前やろ。女手一つで18年間も、アンタ育てた苦労もわからんのか!」

 つる代の手のひらが香織のほほをぶつ。乾いた音が狭い店内に響きわたる。

「わかったらサッサと用意して駅に行き。きょうはクルマで待ってはるらしいわ。駅前の旅館は人目刺すっていうてたから、モーテルにでも行くんやろ」

 スツールの椅子を引き、腰をおろすつる代。香織はほほを押さえ、母親をにらみつけた。

「あ、アリやね」

 数日後、旅館の前でうずくまり、アリの行列をながめていた武弘に香織は声をかけた。

 日曜日の遅い午後。温気をふくんだ空気が、かぐわしい甘さで街を包みこむ。空は水彩絵の具を水で溶いたように青く、日光が水晶の結晶をまき散らすかのように降りそそいでいた。

 武弘は駅前にある旅館の息子だ。病弱で友だちもいない11歳の少年は、いつも一人で過ごす。ただ成績はよく、とくに文章が得意で、作文のコンクールで賞をもらったこともある。

 そんな武弘を、香織はいつも気にかけていた。その感情は、年の離れた弟をいつくしむのに似ている。

 武弘も香織を慕っていた。それは香織のやさしさだけでなく、女性としても惹かれていたからだ。

 旅館の客はさまざまだが、男を連れ込んで春をひさぐ女もいた。

 駅前に並ぶパチンコ屋や裏通りの雀荘、近くの競馬場、競輪場で小銭を稼いだ男に女は声をかける。

 そんな環境で育った武弘は、性的にも早熟だった。大人の女性にあこがれを持ち、その対象として、香織は十分すぎるほどの魅力をたたえていた。

 だが、その日の武弘は香織をまともに見ることができなかった。

 香織が母親に命じられて、初めて男に身体を呈したとき、しけこんだのが武弘の実家だ。

 猥雑な笑みを浮かべる男に肩を抱かれ、旅館の玄関に入る香織の姿を武弘は見てしまう。それどころか、安普請のドアの隙間から部屋の中をのぞき、香織が辱められる姿も間近にした。

「きょうは暖かいね。お城のサクラも満開かなぁ」

 そんなことを知らない香織は、いつもと変わらない態度で武弘に話しかける。

「武坊、お花見にはいけへんの?」

「うん、お母ちゃんも忙しいし」

「旅館は休みなしやもんねぇ」

 香織は武弘の前にしゃがむ。香織のはいていたスカートはひざより少し短い程度だが、武弘はその奥が気にかかる。

「そうや、きょうはお店休みやから、お花見行けへん?」

 武弘は驚いて香織の顔を見た。

「そ、そやけど、お母ちゃん、許してくれるかな……」

「おばちゃんにはウチからいうとく。ご飯いっしょに食べてから、お城に行こ」

 香織は満面の笑みで武弘を見た。武弘はみぞおち辺りの圧迫と早くなる胸の鼓動をおぼえつつ、軽く上下に首を振った。

 かつての街の威厳を残すかのように、白亜の城郭がそびえたつ。公園として整備された城の周辺には数百本のサクラが植えられ、季節になるとぼんぼりが灯り、屋台も出る。

 武弘を家まで迎えに来た香織は、着物姿だった。髪が結いあげられ、襟足から白いうなじがかいま見えた。

「香織ちゃん、えらいヤツして」

 武弘の母親はいう。

「武坊とデートやから、張り切ってみてん」

「ウチの子にはもったいないわ」

 武弘は、長袖のシャツにジャンバーをはおって姿を見せる。

「ほな、お借りしていきます」

 香織は笑顔で旅館をあとにした。

 城に行く途中のお好み焼き屋で夕食をとり、日の暮れた街中を歩く。坂をのぼって城跡公園につくと、日曜の夜ということもあり、多くの人出でにぎわっていた。

「キレイやなぁ。お花はどれも好きやけど、やっぱりサクラが一番やわ」

 ぼんぼりの淡い光に浮かびあがったサクラの花は、満開を過ぎ、ハラハラと花弁を散らしていた。武弘は、サクラを見あげる香織を見つめる。

 和服をまとった香織は妖しく麗しい。ふくよかなほほが少女の面影を残してはいるものの、帯から下の曲線が艶美な様相を醸している。

 武弘はのぞき見してしまった香織の裸体をよみがえらせた。

 純白の肌が醜悪な筋肉に押しつぶされ、実りの浅い乳房が節くれだった指でわしづかみにされる。

 男はそそり立った肉棒を香織の股間に突き差し、最後は内部に精を吐き出した。

 その一部始終を武弘は注視した。怒りがこみあげ、何もできない自分の無力さを悔いもしたが、男子ならではの血のたぎりもおぼえてしまった。

「武坊、まだお腹になんか入る? たこ焼き食べへん」

 香織は武弘の返事も待たず、公園にならんだ屋台に向かう。屋台の裏側は芝生がひろがり、ゴザを敷いた花見客が宴会をくり広げている。

 たこ焼きを二人分買った香織は、芝生にあるベンチへ武弘を誘った。そのとき、香織の姿を認めた花見客の男が声をかける。

「おう、香織ちゃうんか。なんや、えらいたいそなカッコして」

 つる代の店の常連客の一人だった。男は車座になった数人と、宴席の真っ最中だ。

「だれや、そのガキ」

「この子? 駅前の旅館の……」

「あそこの息子か。なんで旅館の息子をお前が連れてんねん」

「なんでもエエやん」

 香織はベンチから立ち、食べかけのたこ焼きを持って場所を移動しようとする。

「待てや、どこに行くねん。せっかくやから、こっちにきて飲もや」

 男は香織に近づき手を握る。香織は振り払おうとするが、強引に男たちの輪の中に連れ込まれてしまった。

「ごめんね武坊。ちょっとだけ」

 香織は武弘に告げ、しかたなく場に加わった。

 香織の両隣の男が肩を抱き、無理やり酒を飲ませる。香織はつくり笑顔で男たちの相手をする。

 その様子を、武弘は呆然と立ち尽くしてながめていた。

 顔をどす赤く染め、人語とは思えない声を発しながら、男たちは香織に群がる。集団の周囲は猥雑な臭気でおおわれ、とらええた獲物をどう調理するか、あやかしたちが機会をうかがっているゆようにも見える。

 男の一人が香織の襟元から、手を入れる。香織は身をねじって抵抗するが、別の男が着物の裾をまくりあげようとする。

 その瞬間、武弘は輪の中に躍り込み、香織の手を握って連れ出した。

「なんじゃ、コラ!」

 男の怒声が背後にひびく。それにもかまわず、武弘は香織とともに、その場から駆け出した。

 人込みを避けて入り組んだ道に入り、武弘は足を止めた。道に面して屋敷の廃屋が建ち、いまにも崩れ落ちそうな土塀に囲まれている。

 急に走らされた香織は、うつむいて荒い息を吐いていた。武弘は香織の背中をながめ、無言でたたずむ。

「あ、ありがとう、武坊」

 前かがみのままで顔をあげ、息を弾ませながらも香織は笑顔でいった。

「どうしようかて思てたから、武坊が助けてくれてよかった」

 街灯もなく、空に浮かんだ居待ちの月の明かりだけが、幅の狭い道を照らしている。

「あ……」

 香織は土塀から顔をのぞかせるサクラの木を見つけた。

「こんなとこにもサクラ。キレイ」

 香織はうっとりとした表情で見あげた。

「この中に入られへんかなぁ」

「え?」

「この家、だれも住んでないやろ。中に入ってもかめへんと違う?」

 いたずらな笑みで香織は武弘に同意を求める。武弘は言葉をつむぐことができない。

「入ろ」

 今度は香織が武弘の手を握り、廃屋の中へ引っ張った。

 土塀の間に門がしつらわれてはいたが、扉が崩れていて、すき間から侵入することができた。庭は手入れがされておらず、雑草は伸び放題だ。

 そんななかに、サクラの巨木が1本、そびえていた。

 濃い藍色の闇の中で、月光を受けたサクラの花は鮮やかな色合いを見せつける。花びらは軽やかに舞い散り、沈黙の奏でをまとっていた。

 香織はじっとサクラを見あげる。武弘はまばたきをするのも忘れ、香織の姿を見つめ続ける。

「ウチ、どないなるんやろ」

 香織はつぶやいた。

「お母ちゃんは好きやし、大事やけど、けど……。もう言いなりになるのはいやや」

 香織の目が潤み、涙がこぼれる。武弘は見守るしかすべがない。

「武坊」

 香織は視線を武弘に移した。

「偉なってな。日本中でだれでも名前知ってるくらい偉なってな。偉なった武坊はウチのことなんか忘れてしまうやろうけど、ウチはいつまでもおぼえてる。ほんで、武坊と遊んだこととか、きょうこうやっていっしょにいてたことなんかを自慢すんねん。それだけが楽しみ」

「忘れたりせえへん!」

 武弘は叫んだ。

「香織姉ちゃんのこと、忘れたりせえへん。ほんで、ボクはボクは……」

「なんや、こんなとこに隠れてたんか」

 雑草を踏みしめる音とともに、ドスのきいた男の声が聞こえた。

「帰る途中に裏道入ったら、妙な声と香織の名前聞こえたさかい、ひょっとしたらと思てきてみたら」

 声の主は、ついさっき香織を自分たちの輪の中に連れ込んだ一人。その背後には、残りの男たちが下卑た表情を浮かべて立っていた。

 風が吹いた。薄い色合いのサクラがゆっくりと散る。月は雲に隠れてしまう。

 漆黒の闇の中で、香織の帯が解かれて引っ張られる。香織の身体が舞い、着物がはがされ白い襦袢姿になる。

 男は香織を押し倒し、おおいかぶさる。襦袢の襟がひろげられ、光沢を放つ乳房があらわとなった。

 この世の中の忌まわしさを集約したような男たちが、香織に群がっていった。

 瞬く間に全裸となった香織。

「ぶふぇぇふぇふぇふぇえ」

 劣情の権化となった連中は、生き血を吸って生肉を食らうケダモノの声をあげ、下半身をむき出しにする。

 あお向けになった男の上に置かれた香織が、背中をのけぞらせて天をあおぐ。白磁のような素肌をさらし、胸乳を揺らしながらおとがいをあげる。

 律動に躍りながら、香織は大きく口を開けて気を吐いた。

 強い風が吹く。月が雲間から顔をのぞかせる。

 桜吹雪が舞い散り、香織の上に降りそそぐ。

 男たちに実体はない。神々しいほどの肉体に染みついていく影でしかない。

 影は香織のあらゆる部分を浸食し、汚す。影の一部分が塊となり、香織の陰部や口にめり込んでいく。

 香織は自我を失った。渦を巻くサクラと同化し、空気の揺らぎにしたがうだけだ。

 夢幻の世界がくり広げられる。飛翔した現実は、もはや元には戻らない。

 影は香織の内部で暴発する。灰色の粘液が、香織の口腔や胎内にそそぎこまれる。あふれ出た淫汁がぬめっとした艶を放ってヴェールとなり、香織の全身に光沢を与えた。

「へへへ、この淫売が」

 ズボンのチャックをあげながら、凌辱を終えた男が口汚くののしった。立ち去る瞬間、最後の一人が香織にツバを吐きかけた。

 目を開けたまま、香織は四肢を伸ばして横たわっていた。一部始終を見ていた武弘は、香織のそばに寄って声をかける。

「香織姉ちゃん、姉ちゃん」

 焦点の定まらない眼差しを宙に泳がせていた香織は、武弘の言葉で意識を戻し、突然身を起こした。

「オトコ、オトコ、オトコ。アンタも男や。な、そやろ。そやろ!」

 香織の眼光は常軌を逸していた。香織は武弘の下半身にしがみつくと、性急にズボンと下着を脱がす。

「ああ、男や、男や。ふふふふ、男がおる」

 香織は幼い武弘の一物にしゃぶりついた。動揺をおぼえながらも、武弘は香織に身を任すしかなかった。

 香織は精神を病み、入院することになる。つる代は店をたたんで街を出ていった。

 武弘は初精を香織の口の中に放った。そのときの感慨を思い出すたびに、神経が打ち震え筋肉がうずく。

 その後の武弘の自涜には、香織の呪縛が常にともなった。

【長月猛夫プロフィール】
1988年官能小説誌への投稿でデビュー。1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作。主な著作『ひとみ煌きの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)/『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)/『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)ほか。

  • 昭和官能エレジー第24回「夜桜凌辱の艶躍」長月猛夫

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