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キャッチアップ

このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。
編集長
【咬牙切歯「ギャグの濡れ衣を着せられる」の巻】
関西人は笑いにプライドを持っている。それは確かにそうである。渾身のギャグを思いついたら、一大発明をしたかのように、人に言いたがる。
しかも関西のオッサンの思考は基本的に「自分を中心に世界が回っている」なので、すでにどこかで聞いた事のあるギャグやダジャレでも
「ソレ、ワシが大昔考えたヤツや。最初に思いついたのワシやねん!」
と全く疑わない。そして著作権は我にあり、とばかりに
「パクリや。一言挨拶してもらわな困るわ」
と本気で怒ったりもする。
ただ、それは売れたギャグに限る。ダダ滑りの失敗作に関しては、早々に記憶から抹消するのだ。そして私はこの間、その巻き込まれ事故に遭った。
近所に住む叔父とスーパーで出くわした時のこと。
「おお、灯子、もうコロナ飽きたのう。そろそろ外出しても、♪いいコロナ~♪」
と、小林旭の「自動車ショー歌」の替え歌を歌ってきたのである。
私は心の中で「ベタ過ぎる……」と呆れたが、普段お世話になっていることもあり
「はっはっは」
と笑うふりをした。
そしてその数日後。また叔父にあったので、
「叔父さん、だいぶんコロナ収まったね。本当にそろそろ外出しても、♪いいコロナ~♪」
と、例の替え歌を歌ったのである。私なりの「あのギャグ覚えてるよ」という気遣いのつもりであった。
ところが、叔父は私の歌を聞くなり、真顔でこう言ったのである。
「なんやそれ。しょうもない。小林旭に謝れ」。
ハイッ? 私はまさかの反応に、ムンクの「叫び」のポーズになった。
これ、あなたが数日前歌った替え歌ですけど?? ところが叔父は、本気で忘れているようで、心の底から「おもろない」という顔で私を見ている。
「えっ? 覚えてへんの? こっ、これはっ叔父さんが」
戸惑いのあまり舌が回らない私。叔父はへッと鼻で笑い
「ま、せいぜい修行せいや」
と馬鹿にしたように言い放ち、去っていったのだった。
私はボーゼンとその場で立ち尽くすしかなかった……。
おいおいちょっと待て。これじゃまるで私が一方的にダダ滑りしているみたいではないか。納得できない。その日私は腹が立って腹が立って眠れなかった。ギャグにも冤罪というものがある、と初めて知った。
「忘却は力なり」というが、関西シニアの忘却は暴力レベルだ! うがーっ!!
【法善寺灯子さんのプロフィール】
関西在住ライター。性別:女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。
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