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キャッチアップ
このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。
編集長
宇宙一強い生命体はなにか――。そう問われれば、私は迷いなく「関西のオバちゃん」と答える。正確には高度成長期を生き抜いてきたナニワの女。「芸のため」というあまりにもザックリとした言い訳で、大酒飲みやら女遊びやら賭け事やらをしでかす。注意すれば
「なんやそのしんき臭い顔は!」「そりゃワイはアホや」
と逆ギレして拗ねる。このような超絶面倒臭いナニワ男を相手にしてきたのだから、ちょっとやそっとじゃ折れりゃしまへん。
「さあ、遊びなはれ! 飲みなはれ!」
と、ヤケクソで支えるという生活を続けてきたので、忍耐力は鋼の如し。もし地球があと数時間で滅亡するというニュースが流れても、
「ほな最後の晩餐にうどんでも湯がきましょか」
とケラケラ台所に立つのが、ナニワの女なのである。
が、一つ念を押しておきたいのは、彼女たちは女を捨てているわけではない。それどころか「女としてどう見られるかについては、日本一気にしぃ」なのである。従って、間違っても「何を言ってもギャグにして返してくれる」と思ってはいけない。褒めて褒めて褒めまくる。これがナニワで幸せに生きるコツである。例えば80歳のシニアに
「私いくつに見える?」
と聞かれたら、80歳ドンピシャ、もしくは90くらいに見えたとて
「60後半?」
と20は下に言うのがマナー。下に言い過ぎて嘘臭いかな、などと躊躇する必要はない。
現にうちの母も80だが、この間75才くらいに見えると言われ
「そんなバアサンに見えるんか」
と不機嫌になってしまった。70歳以上など、5歳や10歳若く見られても似たり寄ったり、結局はババアに見えてるっちゅうことやね、とガッカリしてしまうのだ。褒め損。
一度、そんな母を超ご機嫌良くしたナイスな青年がいた。彼が電車で席を譲る際に放った一言が凄かった。
「お姉さん、僕次降りますから、ここどうぞ」。
おおおお姉さん!? 繰り返し言うが、母は80である。
いやはや、サラッとこの言葉が出るという素晴らしさ……。親の教育がいいのか、シニアが絡んだ案件で過去よほど痛い目に遭ったかどちらかだろう。
このように、ナニワの女はいくつになっても「おなご」なのだ。メイクや服装などを褒めると、10代のギャルも顔負けのオーバーアクションで反応する。
「うそやん! なんやの、もう照れるやん。何言ってんの、怒るよ!」。
体をくねらせ、肩や背中をバシバシ叩いてくるが、これは本当に怒りを込めての暴力行為ではなく、喜びと照れ隠しのボディタッチだ。
図々しさに包みこまれた繊細な乙女心。飴に「ちゃん」をつけて周りに配るのも、その表れじゃないかと私は踏んでいる。むっちゃカワイイやん、「飴ちゃん」呼び。
ということで、ご本人が「デブだし」「女なんて捨てたガハハ!」と言っているからといって、「ホンマやな」などと同調してはいけないぞ。
その奥底にある、「ナニワのおなご」のエターナル・ガールズマインドを読もう!
【法善寺灯子さんのプロフィール】
関西在住ライター。性別:女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。
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