このコーナーは週刊大衆ベテラン記者の柚月怜氏が、街のタクシー運転手さんに乗客の破廉恥な行状をお伺いしたものです。タクシー運転手さんといえば、世の中で一番「街の事情に詳しい方々」といっても過言ではありません。新聞やテレビでは決して報じられない一般人たちの「ハシタナイ素顔」に腰を抜かしていただければ幸いです。なぜなら、この報告書には「真実」しかないのですから。

編集長

【被害ドライバー】

小高英二さん（45歳＝仮名）。練馬区在住。39歳の時に某メーカーから中堅のタクシー会社に転職。主に西武池袋線沿線の駅前を流している。バツイチ独身で、現在彼女なし。趣味は映画鑑賞、好きな女優は蒼井優。

『アイドルの裏バイト？』

「アイドルみたいでしたよ。まあ、地下アイドル？　そんな感じだと思いますけど」

西武池袋線の「豊島園」駅近くの路上で、20歳前半の女性客を乗せたのは昨年の秋口。時刻は午後9時を過ぎていた。

「それまで友達と飲んでいたのか、結構酔っぱらっていましたね。お酒の匂いもプンプンさせていました」

アイドルかどうかは不明だが、ロリ系の愛らしいルックスだったそうで、

「声もなんていうか、アニメ声っぽい、甘えたような感じでね。行先は埼玉のほうでしたね。それ以外の会話はほとんどしていません。彼女はタクシーに乗るなり、電話をし始めてしまったので」

最初はマネージャーらしき相手と仕事の話をしていたという。

「仕事のスケジュールを確認したり、あとは気持ち悪いファンがいるみたいで、そのことを相談したりしていましたね」

その電話を終えると、彼女は続けて、別のところに電話をかけたという。

「おい、なんですぐに出ねえんだよ！」

運転中の小高さんが咄嗟にルームミラーを凝視するほど、驚いたのは言うまでもない。

つい先ほどまで可愛いアニメ声を出していたアイドルっぽいロリ娘が、ヤンキー女のような口調になっていたからだ。

「はあ？　言い訳してんじゃねえよ。しつこくラインしてきやがって。やってやるから、早くビデオ通話に変えろ」

ロリ娘はそう凄みながら、スマホを耳から外すと液晶画面を見る姿勢となった。同時に、音声もスピーカーに変えて、会話が筒抜けになった。

「ごめんなさい。〇〇様。いまはお帰りの途中ですか？」

聞こえてきた男の声は、それなりの年配のように思えた。

「ああ。いまタクシー。早くして。見てやっから」

「はい。すぐに……ああ、嬉しいです」

一体、何が始まるのか。小高さんも妙にドキドキしてしまったという。

「アハハ、バカ」

ロリ娘はスマホを見ながら、嘲笑していた。

「アァ、〇〇様……」

漏れ聞こえる男の声は明らかにヨガっていた。

小高さんは何度も息を飲みながら、だんだんと何をしているのか分かってきたという。

「女王様と奴隷みたいな関係というか。多分、男のほうは自分のオナニーを見てもらって、喜んでいるんです。もしかしたら、例の気持ち悪いファンだったのかも？」

一方、アイドルっぽいロリ娘はわざとらしく嫌な顔をして、

「気持ち悪っ。変態。早く終わって。ほら、もっと頑張って、早く動かして」

罵倒しながらも、男のオナニーを楽しんでいるようだった。

「ううっ！　あぁ、ありがとうございます。もう果てそうです」

「果てるって（笑）本当に気持ち悪っ。いいよ、果てて。早く終わってくんない？」

「ああああっ！」

タクシーの車内に、男の野太い声が響き渡った。

おそらく果ててしまったのだろう。

すると、ロリ娘は途端にまた声色がアニメ風に変わって、

「気持ちよかった？　えっとね、今回で8回目だから。また、8回分振り込んでおいてもらっていいかなぁ……ほんと？　ありがとう！　じゃあ、明日には振り込んでおいてね。こっちで確認したら、またラインしますね」

なんともはや……どうやらそういう個人的なアルバイトをしているようだった。

小高さんが言う。

「もうこっちは目的地にたどり着くまで、一言も話しかけられなかったですよ。怖すぎて（笑）　彼女のほうもそのあとは何事もなかったかのように、イヤホンをして、音楽を聴いていましたね」

むろん、彼女を下ろすや、すぐさまスマホで最近の地下アイドルを検索してしまったのは言うまでもない。

取材＆記事：柚月怜（ゆづきれい）

20代の頃より「週刊大衆」の記者として、街の妖しい噂やエロスポットを中心に取材。官能作家として、著書『惑わせ天使』（双葉社刊）もある。