Catch Up
キャッチアップ

このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【妻が初めてフェラしてくれた思い出】愛知県在住Y・Kさん(62歳)
結婚して30年以上になるが女房が最高の女だと思っている。そりゃ歳も歳だから、きらめくようなきれいさとか、しっとりとした色気なんてものは、とうのむかしになくなっているが、いまでも時々見せる小娘のような愛らしさだとか、もしくは、いままでわしの放蕩に付き合ってくれたことへの恩というか……。
自分でいうのもなんだが、若いころのわしはそこそこもてた。結婚する前は、それこそ毎日のように違う女を連れて歩いていたものだ。
けれど、わしにまとわりついてきたのはズベ公ばかり。その中で唯一、清楚で品のあったのが女房だ。
わしも遊びまわる歳でもなくなったし、このへんで落ち着くか、と結婚を決めた。それからは心を入れ替え、家族のために身を粉にして働いた。
わしが40を越えたころ、子どもたちも大きくなったし、それこそ平凡で退屈な毎日を送っていた。女房は相変わらず、わしのためにつくしてくれる貞淑な女だったが、なにかが物足りないと思うようになった。
それは夜の営みにもいえた。
女房は色も白く、顔立ちも端正で、乳の張りもよかった。ただ、わしが上に乗っかって腰を振っても、うんうん、アンアンいうだけで、自分で何かをしようというタイプではなかった。
体位も正常位のみ。後ろからとか、馬乗りになってとかは、恥ずかしくてできないという。
仕事も退屈、生活も退屈、オ×ンコも退屈ではやってられない。しかたがないので刺激を求め、ほかの女にちょっかいを出しはじめた。
むかし取った杵柄というか、浮気の方法は心得ている。なんといっても若いころは数人の女と同時に付き合っていたんだから、女房一人ごまかすくらいお手のものだ。
絶対にばれない自信があったので、わしは女房以外のオ×ンコを堪能し、家ではよき父親、よき夫をこなしていた。
そんなある日のこと。わしは若い女とさんざん楽しんで家に戻った。もちろん、香水やホテルの石鹸、シャンプーの匂いを全部消し、いかにも仕事で疲れたというふうを演じる。
「ただいま」
玄関にあがってリビングにはいると、女房は何か慌てている様子だ。
「なんだ?」
「い、いいえ……」
「ビデオ、観てたのか」
「ええ、むかしの映画を」
「ふ~ん」
若干の不審をおぼえたものの、こちらも正々堂々と追及できる立場ではない。
「あなた、お食事は?」
「ああ、軽く食べただけだ」
「すぐに用意しますね」
「すまんな」
本当はホテルにはいる前に、女と食事はすませた。けれど、何があっても、少しでもいいから家で飯を食う。それが、浮気のばれない方法のひとつだ。
もちろん、すぐに風呂に入るなんてもってのほか。浮気の痕跡は家に入る前、いや、ことを終えた時点で、すべて消し去っておかなければならない。
わしは女房のつくってくれた料理を、いかにも空腹というそぶりで平らげた。
「きょうはもう、お休みに?」
「ああ、疲れたからな」
「お風呂は?」
「もちろん、入ってから寝る」
ついさっき、丹念にぬぐった身体をふたたび洗う。そして、寝間着代わりのジャージに着替えると、わしは寝室に入ってベッドにもぐり込んだ。
ウトウトとしはじめたころ、片づけの終わった女房が入ってきた。わしは、きょうも一日無事に終わった、という安心感に包まれていた。しかし、普段なら絶対に自分から誘わない女房が、何を思ったのか、わしのベッドに入ってきた。
「な、なんだ……!」
「なんだか、さびしくて」
「そ、そうか……」
「なにもしなくていいから、いっしょに寝てください」
うわ目づかいに見る女房に、わしはとてつもない愛しさをおぼえた。けれど、いましがた、よその女と3発も楽しんだあとだ。40代の男ざかりとはいえ、一物を元気にさせる自信がない。
わしはしかたなく、女房を抱きしめてキスをした。すると、あろうことか女房はわしの股間をまさぐってくるではないか。
「お、おい……」
「こんなとするの、はしたないかしら」
「いや、夫婦だから、それは……」
「あなた、むかしおっしゃったわよね」
「え?」
「お前は器量もいいし、家事も完璧な女だけど、もう少しスケベになれないかって」
「そう、だったかな?」
「わたしはちゃんとおぼえてますよ。だから、きょうは」
ジャージのズボンに手を入れ、下着の中に忍ばせてくる。そして、しなびた一物をつまみ、上下にこすって刺激をあたえる。
「どうですか? 気持ちいいですか?」
「あ、ああ……」
「こうやるといいんですか? それともこう……」
心地よさは伝わるものの、モノはいっこうに固くならない。それに、こんなに積極的な女房は初めてなので、驚きのほうが性欲に勝っている。
「大きくなりませんね」
「疲れてるからだ」
「本当にそれだけですか?」
女房の目に疑いの色が浮かぶ。わしは不安に思いながらも、答えることができない。
「しかたないですね。じゃあ、こうすれば」
女房はいきなり布団をめくりあげ、わしのズボンと下着を脱がせた。驚いたが、なぜか何をどうすることもできない。女房はそんなわしに艶然とした笑みを見せ、いきなり股ぐらに顔を押し当ててきた。
「お、おおお……!」
うなだれた一物を手にした女房は、舌を伸ばして丹念に舐めはじめた。
サオを探り、カリ首をなぞり、尖端を吸う。ねっとりとした感触にわしはより驚き、そして興奮をおぼえる。
「だんだん固くなってきた」
女房はうれしそうに笑って、今度はいきなり頬張ってきた。
「あ……」
先をくわえて舌で螺旋を描き、にじみ出る我慢汁をぬぐい取る。それから、根元近くまで呑み込むと、内頬の粘膜で包みながら舌を絡みつかせてくる。
「お、お前……」
「ふぅううん、あう、ど、どうですか、気持ちいいですか?」
「いい、気持ちいいけど……」
「こうやればいいんですか? それともこう?」
愛撫の技を確認するかのように、ひとつひとつ確認を取りながらしゃぶりついてくる。頭を振り、クチュクチュと音を鳴らし、ほほをすぼめて吸いつきながら、わしの芯を唇でしごく。
ほかの女に口でしてもらったことはあるが、この時はだれよりも気持ちいいと思った。たしかに、遊んでる女や玄人とくらべてテクニックはない。けれど、へたながらに一生懸命つくしてくれる態度に情があふれで出る。
わしはたまらなくなって女房を押し倒し、着ていたものをすべてはがし、オ×ンコにしゃぶりついた。
「むううん、うううん、あぅん!」
それでも女房はわしを口から放さない。わしは女房の口に納めたまま、トロトロこぼれ落ちる女汁を吸い、淫核をなぞって肉ビラを舐った。
女房は信じられないほどわしを奥までほお張り、首を振りながら吸いついてくる。
「ああ、そこまですると出るぞ」
「ううん、うんうん、い、いいですよ。出しても」
「本当にいいのか?」
「は、はい、わたしも、あ……、いいんです、気持ちいいんです。あなたがよろこんでくれたらそれで幸せ、気持ちいいんです」
感激したわしは、身体を起こして女房から抜き取り、抱きしめながら唇を重ねた。
乳房は若干垂れているが、むかしからのやわらかさときめ細やかさは失われていない。二人の子どもにさんざん吸われた乳首は紫に色づいているが、コリコリした感触が甘く感じられる。
わしは乳房にしゃぶりつきながら、対面座位で女房をつらぬいた。
「あああん、こんなの、恥ずかしい!」
そういいながらも、女房は自分から腰を振ってくる。わしは下から突きあげ、抜き差しをくり返す。
「やああん、あなた、好き、大好き」
「お、オレもだ」
「いやん、気持ちいい、あああん、もう、ダメ、イク、イッちゃう!」
女房は達し、わしもドクドクと精液を放った。浮気のあととはいえ、大満足だった。
それからわしら夫婦の媾合は、いままでの正常位だけでなく、色んなバリエーションで楽しむようになった。
あとから聞いた話だが、女房はアダルトビデオで研究し、技をおぼえたらしい。けれど、そのきっかけを聞き出すことはやめておいた。浮気封じだといわれてしまえば、立つ瀬がない。
その後、女房で十分満足できるようになったわしは、浮気をきっぱりとやめた。
あれから20年。さすがに女房の見た目はかなり衰えたが、それはわしも同じこと。それよりも、かいがいしくわしにつくしてくれ、そのうえ愛撫の技も申し分ない。
わしにとっては、やはり最高の女だ。いっしょに暮らせることに満足し、充実した毎日をたんのうしている。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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