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中高年の性告白

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【中高年の性告白】第101回「俳句会での争奪戦」栃木県在住F・Oさん(62歳)

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【中高年の性告白】第101回「俳句会での争奪戦」栃木県在住F・Oさん(62歳)

このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長

【俳句会での争奪戦】栃木県在住F・Oさん(62歳)

2年前のこと。定年を迎えたわたしは、退職したらあれもしたい、これもしたいと考えていた。だが、いざそのときがくると、ぼんやりと1日を過ごすだけだった。

女房も最初のうちは、「長い間ご苦労さまでした」とか、なんとかいって甲斐甲斐しくもてなしてくれたが、日が過ぎれば邪魔ものあつかい。

「このままでは、ボケてしまう」

そう考えたわたしは、趣味を持つことにした。とはいえ、仕事一筋で生きてきて、暇ができれば、パチンコに行くか酒を飲むくらいのものだったから、いざ何かをはじめようとしてもさっぱり思い浮かばない。

そんなとき、市の広報に公民館活動の案内が載っているのに気がついた。そこでは、俳句会への入会を募っていた。

出版関係の仕事をしていたので文章は得意だ。わたしは早速申し込み、通うことにした。

初めての日、わたしは久しぶりに緊張をおぼえながら公民館へ出向いた。そこに集まっていたのは、同年輩か年上ばかり。少し安心して、気楽に基礎から教えてもらった。

週に2回、決められた時間に通い続けたわたしは、しばらくするとその句会に異様な雰囲気が漂っているのに気づいた。

たしかに、純粋に俳句を楽しんでいる人もいる。しかし、その大半は男が女を、そして女が男を求めているのだ。

60、70、そして80のジイさんバアさんが、互いに目配せをして誘い、誘われている。おぞましいとも受け取れる光景だが、いくつになっても、いや、歳を取れば取るほど人間という動物はそういうものかもしれない。

わたしは最初、驚きすら感じたが、慣れというのは不思議なもので、いつしかそんな連中の輪の中に入ってしまうことになったのだった。

10人近い会員の中で女性は4人。その中でもSという婦人が男連中のあこがれだった。歳が一番若い、といっても50代半ばだが、男たちは彼女に対して猛烈なアプローチを仕かけていく。とくに86ともなるDジイさんなんかは、はたで見ていても恥ずかしくなるくらいにS婦人に露骨なモーションをかけていた。

飲みに誘うのはもちろんのこと、占いと称しては手を握る。マッサージといっては肩を揉む。どこでおぼえたのか“ストレッチ”とかいっては身体に触れる。

「ジイさん、勃ちもしねぇのにお盛んだな」

「舐めるだけで満足するんじゃないんですか」

ほかの男連中はそういいながらも、ジイさんの行動をうらやましく感じていたのはたしかだ。

S婦人はたしかに美しい人だった。気品があって色も白く、肌艶もいい。俳句の会に合わせているのか、いつも和服に身を包んでいるが、肉づきのいいのはわかる。ときおり乱れたすそからふくらはぎがのぞいたり、襟足の項がかいま見えたりしたときなど、ドキドキするほどの興奮をおぼえてしまう。

なんでも夫に先立たれた未亡人とか。柳のような細い眉に切れ長の目。眼差しを向けられただけで、男たちは色めき立つ。まるで、したい盛りの中学生のようだった。

女性たちのほうも同じようなもので、残りの3人は、まあ普通にくたびれたババア連中だが、男たちに色目を使う。なかには真っ赤なドレスを着て、「わたしはとっくに上がってるから孕む心配がないのよ」とかいってくる人もいる。

そんなときは丁寧にお断りするのだが、一番年若い40代のTさんなんかは、その攻撃に負けてしまい、いつの間にか通ってこなくなったほどだ。

そんな連中が集まって俳句旅行に行くことになったのは、ゴールデンウイークのことだった。

山深いその温泉宿は、遅咲きの桜で有名だった。しかし訪ねた連中は、俳句好きを気取っている色狂いばかりだ。

さて、我々のマドンナであるS婦人を含んだ一行は、目的地に着くなり乱痴気騒ぎ。宿に荷物をおいて桜の下に出ても、花を愛でる気など毛頭なく、Dジイさんは相変わらずS婦人にべったりだし、ほかの男たちも何かにつけて近寄っていく。

一応、一番後発であり、それなりに遠慮をわきまえているつもりのわたしは、彼らの行動をうらやましく思いながらもながめているしかなかった。

そんなわたしに近づいてきたのが、御歳65のKさんだった。

「ホント、イヤらしい。サカリのついた犬みたい」

Kさんは、そういう。

「まあ、せっかくの旅行なんだし、そんなに堅苦しいこといわなくても」

「あら、おやさしいのね。ふふふ」

S婦人ほどではないにしろ、Kさんにも品の良い色香がそなわっている。今まで気づかなかったが、肌の色もその艶やかさも十二分に整っている。

そんなKさんは流し目をしながらわたしにいった。

「よかったら、二人でどこかに行きません? ここはなんだか息苦しくて。あれを見てると」

離れた場所では、とうとうS婦人をめぐって口論まで起きていた。うんざりした様子でKさんはいう。

「ホント、分別がないっていうのは、あのことをいうのね。その点、あなたは」

Kさんはわたしに腕を絡ませてきた。わたしは年甲斐もなく胸がドキドキし、そして誘われるままに宿に戻った。

間もなく夕方だが、連中はまだ戻ってこないだろう。それをいいことに、わたしたちは差し向かいで冷蔵庫からビールを取り出し、飲んでいた。

話していくうちに、Kさんのほほはうっすらと紅潮し、目つきもなんだか妖しくなる。

「まだ、お飲みになるでしょう?」

「あ、はい」

ビール瓶が空になり、Kさんはもう1本を取り出しに冷蔵庫へ向かう。そのとき、足がもつれ、ペタリと畳にしゃがんでしまう。

「大丈夫ですか」

わたしは駆け寄る。するとKさんはわたしの手を取り、潤んだ目で見つめながらいった。

「酔っちゃたのかしら、わたし」

「そうかもしれません」

「横になりたい」

「じゃあ、布団を」

わたしは押入からかけ布団を出そうと、きびすを返した。そんなわたしにしなだれかかり、Kさんはいう。

「わたしじゃ、ダメですか?」

「え?」

「わたしはSさんのように若くもないし、きれいじゃない。でも、わたしじゃダメですか?」

泣き出すようにか細い声だった。わたしはかすかな憐憫をおぼえ、そして多少の酔いも手伝い、こういってしまった。

「そんなことない、あなたは十分きれいですよ。色気もある」

「ホント?」

「本当です」

「じゃあ」

Kさんはわたしに抱きつき、目を閉じて唇を突きだした。わたしは躊躇しながらも、彼女を抱きしめ唇を重ねた。

そのままわたしはKさんを畳に押し倒し、着ていた上着の上から胸を揉む。盛り上がりの少ないしなびた感触だが、女房以外とは、いや女房とも長く交わしていない情感がわき起こってくる。

「わたしみたいな女でよろしいの?」

「なにをいまさら」

「ホントによろしいの、よろしいの?」

「あなたはきれいだ、とてもきれいだ」

そのときは本当にそう思った。気の迷いといわれれば、そうかもしれない。しかし、女が自らの羞恥を振り払って身を呈してくれるのだ、応えないわけにはいかない。

「うれしい」

Kさんはそういって、強くわたしに抱きついてきた。わたしは彼女の衣服をはぎ取り、乾いた肌に舌をはわせる。

山間に鳥の鳴く声がする。せせらぎが遠くに聞こえる。人の気配はまったくない。

わたしは久方ぶりに興奮したせがれを支え、彼女の中に埋没させたのであった。

その夜は大宴会となり、もちろんS婦人もDジイさんも、そしてKさんも参加した。

わたしはKさんととなり同士になり、杯を重ねていた。そのとき、S婦人がわたしの席にやってきて、酒をついでくれた。

「きょうはお見かけしなかったけれど、どちらへ?」

「え? いえ」

「なんだか寂しかった、あなたがいないと」

S婦人は確実にわたしを誘惑していた。それを見て取ったKさんは、憤怒の表情でS婦人にいった。

「あなたは、みなさんにちやほやされて気づかなかっただけよ。この人は昼から夜まで、ずっとわたしといたの。わたしといっしょに過ごしたの」

その声に周囲が静まり返る。

「ごいっしょに? それは仲のおよろしい」

「ええ、もうわたしたちは他人じゃないんだから」

どよめきが起こる。わたしは、手にしていた杯を落としそうになりながらKさんを見る。けれど、彼女は平然とした顔で料理に箸をのばしている。

「ちょっ、ちょっと失礼」

わたしはいたたまれなくなり、席を立って便所に行った。

「たまらんなぁ」

まさか女房にはバレはしまいが、これからに影響する。そんなときDジイさんが便所にきて、わたしの横に立った。

「これでお宅は脱落。いやあ、Sご婦人は、あんたが一番のお気に入りだったんだ。それも、きょうで終わり」

「え?」

「ふぇふぇふぇ」

Dジイさんは歯のない口をゆがめて笑う。わたしは自分の軽率さを恥じ、その後は大酒を飲んで泥酔した。

わたしは旅行から帰ると句会を辞めた。老いらくの色恋沙汰は、こりごりだと悟ったからだ。

あれから2年がたった。けれど、Kさんとの体験、そしてS婦人のことを忘れることができない。もし、いま別の場所で出会ったらどうなるだろうか。そんなことを考えると、なんだか顔がほころんでしまう。 

  • 【選者紹介】
  • 長月タケオ(ながつきたけお)
  • 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
  • 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
  • 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
  • おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
  • 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
  • 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
  • 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
  • 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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