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中高年の性告白

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【中高年の性告白】第98回「ソープで刺激されて古女房と」北海道在住T・Sさん(74歳)

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【中高年の性告白】第98回「ソープで刺激されて古女房と」北海道在住T・Sさん(74歳)

女は女房しか知らなかった。決して、もてなかったというわけではない。ほんのちょっと勇気が足らなかったのと、女房のことを愛していたからだ。

彼女とは駆け落ち同然でいっしょになった。2度も事業に失敗し、多額の借金をかかえた。それでも、3度目の正直、とばかりにはじめた商売が軌道に乗り、どうにかこうにか、この年まで生きてこられたのも女房のおかげだ。

それこそ爪に灯をともすような生活をし、不自由をさせたにもかかわらず、女房は不満を顔に出さず、いつもニコニコと笑ってくれていた。

そんな女房を裏切るわけにはいかない。だから、わしは女房一筋に生きてきた。

とはいうものの、元来わしは精力が絶倫な男だ。70を越えた年になっても、朝勃ちはするし、若い女の尻や胸を見るとムズムズしてくる。若いころは毎晩のように女房へのしかかっていったし、自分でしごきもした。女房も結構好き者で、わしが求めると拒むということがなかった。

借金取りに追われ、となりとはベニヤ1枚の安アパートでも、声を殺して媾合った。ひょっとして、それがよかったからこそ、こんな男についてきてくれたのかも知れない。とんとご無沙汰になった今になって、そんなふうに思うようになってきた。

しかし、年が離れているとはいえ、還暦をとうに過ぎた女房は、もはや枯れてしまったのか、最近は一向にそんな素振りを見せない。わしにはまだまだその気があるのに、まったく相手にしてくれない。

「そんなにしたいんなら、外でしてらっしゃい。まあ、お相手してくれる人がいるかどうかは、わからないけど」

生活に余裕ができると、心にもゆとりが生まれるのだろうか。それとも、こんなしわくちゃジジイを相手してくれる酔狂な女はいないとでも思ったのだろうか。むかしの女房なら、とても口にするはずのないことをいう。

バカにされたと感じたわしは、腹いせの気分で街に出た。

死ぬ前に1度でいいから、若いピチピチした女を抱きたい。その念願がかなう。

先に記したように、わしの精力はまだまだ衰えていない。だから、女房が相手してくれなくなると、恥ずかしながらも陰に隠れて一人で慰めていた。

わしには子どもが二人いるし孫もいる。不思議なもので、そういう年になると、若いころ感じた虚脱感や罪悪感はない。まるで、我慢していた小便を吐き出すように射精する。

人間として、男として、いやオスとして、子孫を残すという役目を無事終えたからだろうか、無駄な行為という観念がなくなってしまったのかも知れない。

話は少しそれたが、そんなわしだから、現代の風俗状況を雑誌やスポーツ新聞で熟知していた。

ソープランドでは、法の網をかいくぐり本番行為が黙認されている。カネがなければヘルスやらイメクラやらに行けばいい。そこでは、見目麗しい若い女の子が男のモノをしゃぶってくれる。裏技とでもいうのか、女陰への挿入は禁じていても肛門への挿入を許している店もあるらしい。

色々知識はあるが、やはりちゃんとしたところへきちんと納めるのが望ましい。そう考えたわしは、迷いもせずにソープランドへ足を運んだ。

歓楽街のど真ん中。わしは勇気を振り絞って店の入り口に足を踏み入れた。その店を選んだのには理由がある。あるエロ雑誌に紹介記事が載っていたからだ。

値段は高いが、その店の女の子たちは、わしのような老いぼれでもイヤな顔ひとつ見せずに親切丁寧にあつかってくれるらしい。80近いジジイのしなびた息子を、無事に勃起させた、と豪語する話も載っていた。

わしにそんな心配はないが、老いぼれあつかいされるのは気にくわない。養老院じゃあるまいし、「おジイちゃん」などと呼ばれたら腹が立つ。

「いらっしゃいませ」

店の中に入ると、店員が慇懃に迎えてくれた。わしの姿格好を見ても、普通に接してくれるのに好感を得る。

「こちらでしばらくお待ちください」

フカフカのソファーに、かかとが埋まるほどのじゅうたん。差し出された水割りを口に運びながら順番を待つ。

「お待たせしました。こちらへ」

しばらくすると、さっきの店員がわしを案内してくれる。すると、エレベーターの前にかしずく一人の女性。

「ユイといいます。よろしくお願いします」

三つ指をついて女の子はいう。短いスカートからこぼれるムッチリとした太ももと、豊満に実った乳房がまぶしい。

ユイは立ちあがると、わしの腕を取りエレベーターに乗った。そして、なんと狭い箱の中で、いきなり唇を重ねてくるではないか。

「ふふふ、ゆっくり楽しんでいってくださいね」

わしは唇の感触に骨抜きにされ、早くも息子はギンギンにふくらみはじめていた。

それを知ったユイは目を丸くしていう。

「お客さん、元気」

顔や仕草に出さなくても、わしが年寄りだと思って甘く見積もっていたのだろう。それが、若い者には負けないくらい硬調しきっているのだ。ユイが驚くのも無理はない。

けれど、やっぱりわしのほうが、降参の白旗をあげる結果となった。

ユイは部屋に入るやいなや、ひざを折ってうずくまり、わしのズボンと下着をおろしたかと思うと。いきなり息子をほお張りはじめたのだ。

湯で洗ってもいない一物を、ユイはイヤな顔ひとつ浮かべずに舌を絡ませ、吸いついてくる。わしは40、50若返ったかのように勃起し、ユイのなめらかな口戯を堪能する。

「ああん、お客さんの固くて大きい」

ユイは、じょぼじゅぼと音を立てて首を振る。わしは早くも暴発してしまいそうになる。

「ああ、いってしまう」

「いいですよ、出しても。ユイに飲ませて」

ユイの動きは早く激しくなる。わしは言葉に甘えて、そのままユイの愛らしい唇の奥に吐き出してしまったのだった。

その後、ユイとわしは裸になり湯船に浸かる。ユイの肌は水しぶきを弾き飛ばすほど張り詰めていて、胸から腰、尻に至る曲線がなんとも悩ましい。

わしは、始終夢心地だった。

ユイのやわらかで豊満な乳房を堪能し、締まりがありねっとりとした蜜壺を楽しむ。ユイは身体の隅から隅までを舐め倒し、わしを天国に導いてくれる。

もはやこのまま死んでもいい。いや、死ぬのなんかもったいない。できるだけ元気で長生きして、この快感を味わいつくしてやる。そんなことも考えた。

色んなお遊びがあった中で、わしが一番気に入ったのは、マットの上でくり広げられたローションプレイだ。名前は知っていたが、あんなに心地いいものとは思いも寄らなかった。

精力があるといっても、口で先に出している。さすがに、そうやすやすともとに戻れる年ではない。それでも、粘液のヌルヌルで中途半端に勃起していても、するりとユイの中に埋没してしまう。そうなると、中の温かさとぬめりで、わしはどんどんふくらんでくる。

「ああんん、お客さん、ステキ、こんなの初めて」

ユイは仕事を忘れたように悶え、喘いでくれた。そして、最後にベッドでコトを済ませるまで、わしは都合3回、ユイの身体に吐き出したのだった。

満足、満足、大満足だったが、何かしら心の奥にすき間があるのを知った。それは、家でわしの帰りを待つ女房のことだった。

許しを与えてくれたのは、本意でないはずだ。家に帰って、きょうのことを話そうものなら、激怒するに違いない。いや、気丈に振る舞うあの女のことだから、表面上は冷静を装い、陰で泣き崩れるかも知れない。

そんなことを思うと、残してきた女房のことが愛おしくてたまらなくなってきた。

「そうだ」

わしは帰る途中、大人のオモチャ屋に立ち寄った。そして、わしをあれだけ夢中にさせたローション液を買い求めたのだった。

「お帰りなさい」

女房はいつものように出迎えてくれた。容姿はユイとは比べものにならないが、わしが長年連れそってきた女だ。その表情に、やはり心癒されるものがある。

「お食事は? お風呂にします?」

「いや……。いや、そうだ」

わしは、久しぶりに背中を流してほしい、と女房に頼んだ。最初は嫌がった女房だが、しぶしぶ承諾してくれた。

ソープランドの匂いがばれないように、すぐさま湯船に浸かると、女房が入ってきた。わしは湯殿の椅子に腰かけ背中を向けた。

「どういう風の吹きまわしですか」

そういいながら、女房はわしの背中をこする。

「長い間、本当に苦労をかけたな」

「いやですよ。なにを今さら」

「いや……」

わたしは思い切って振り向き、女房の手を握った。そして、その場に押し倒して服をはぐ。

「な、なにを!」

「いいから、いいから」

女房を真っ裸にすると、用意していたローションをかける。そして、わしはおおいかぶさり、ヌルヌルと身体をすりつける。

「いや、やめて!」

最初は抵抗を見せていた女房だったが、なめらかな感触で次第に表情が麗しくなってきた。

若いころ、時間があると夜昼構わず交接してきた間柄だ、気が入るとむかしの感情がよみがえる。それを知ったわしは、しなびた女房の乳房を揉み、潤いの少ない部分に手を伸ばした。

「ああん」

女房は、なんとも色っぽい声をあげた。わしたちニ人は透明の粘液にまみれながら、むかしのように飽きることなく身をたしかめ合ったのだった。

それからというもの、身体に火がついたのか、女房のほうからせがんでくるようになってきた。そうなると、いくらわしでもソープへ出向く元気はなくなる。ユイとのことを夢見ながらも、女房とコトにはげんでいる。

身から出たサビとでもいうのだろうか。いや、これはこれでいい。若い肌はもちろん素晴らしいが、苦楽をともにしてきた愛妻といつまでも仲睦まじいのがいい。

死ぬまでいっしょに気持ちよく過ごせる。それが一番だと考えている。

  • 【選者紹介】
  • 長月タケオ(ながつきたけお)
  • 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
  • 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
  • 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
  • おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
  • 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
  • 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
  • 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
  • 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
  • 【中高年の性告白】第98回「ソープで刺激されて古女房と」北海道在住T・Sさん(74歳)

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