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中高年の性告白

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長月タケオ選「中高年の性告白」第91回 東京都在住1・Aさん(64歳)の告白【甘美な匂いのする女】

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長月タケオ選「中高年の性告白」第91回 東京都在住1・Aさん(64歳)の告白【甘美な匂いのする女】

このコーナーは官能小説家の長月タケオ氏が一般の中高年読者から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味頂ければ幸いです。編集長

【甘美な匂いのする女】

I・A 64歳 東京都在住

30年ほど前のこと。通勤電車の中で、なんともいえず不思議な匂いをかいだ。香水のものではない、蠱惑的で官能的な匂いだ。

酒もタバコもたしなまず、コーヒーも飲めないわたしは嗅覚が強く、人が気づかない匂いまでわかってしまう。だから、満員電車の中で周囲のだれもが気づかなくとも、わたしにはそれが人間の体臭だということがわかった。

匂いのするほうへ目を向けると、そこには一人の女が立っていた。歳のころなら30過ぎ。特別美人というわけではないが、清楚な品のよさがただよう人妻らしき女だった。

薄いワンピースに身を包んだ女は、ときおり周囲に目配せしながら電車に揺られていた。視線はうつろで、何かを待ちかまえているようなそぶり。わたしは気になりはしたが、なんといっても出勤前。そのまま駅のホームに着くと、人ごみに押されて女の姿を見失ってしまった。

1日の仕事を終えて帰りの電車に乗ったとき、わたしはまたしても朝と同じ匂いをかいだ。しかも濃厚に、すぐ近くから匂ってくる。

視線を移すと、わたしのすぐそばに朝の女が立っていた。

愁いを帯びた表情に、半睡の眼差し。ほほが少し紅潮し、しきりに唇を自分で舐めている。

夕方の電車も、けっして空いてはいないが朝よりはマシだ。わたしは女に近づき、匂いをたしかめる。すると股間の一物が、熱くうずき始めてくるのがわかった。

彼女の体臭は、オスを求めるメスの匂いだ。

それを知ったわたしは、女の横顔をしげしげとながめる。女もそれに気づいてか、チラチラとわたしに視線を送っていた。

次の駅で電車が止まると、女はわたしを見つめながらホームに降りた。わたしの降りるべき駅はまだまだ先だが、その視線に誘われるように電車から降りた。

「あ、あのう……」

その歳になるまで、見知らぬ女に声などかけたことのなかったわたしだが、女が誘っているとわかっている以上、勇気をしぼらないわけにはいかない。

わたしは恥ずかしいのをこらえ、女の背中から声をかけた。

「はい?」

女は平静を装っていたが、目尻と口もとに薄い笑みが浮かんでいる。

「あのう、よかったらお茶でも……」

待ってました、とばかりに、女はわたしに近づいてくる。

「お茶でいいの? わたし、お酒のほうが」

しなだれかかるようにわたしの前に立ち、女はいう。

「酒? 酒、ですか」

「いやなの?」

「い、いえ」

本当は飲めないが、この好機を逃すわけにはいかない。わたしは財布の中味を確認しつつ、女とともに駅前のしゃれた店に足を運んだ。

そのまま女とは意気投合し、2軒目にも行かずホテルに入った。しかし、弱いわたしは無理して飲んだ水割りがたたり、せがれがまったく言うことを聞かなかった。

「もう、ここまできて」

シャワーを浴びた女からは、たしかにあの匂いはするが、電車の中ほど濃くはない。それに、アルコールのまわったわたしの鼻も鈍感になり、匂いだけでせがれは元気にならない。

「イヤになっちゃう、もう」

女はすねたそぶりで、わたしに言った。

バスタオルを身体に巻いた女は着やせするタイプなのか、思ったよりも胸もとが大きくふくらみ、谷間も深く切れ込んでいる。雑誌のグラビアで見る20歳前後の女のようにみずみずしい肌とは言いがたいが、それでもシミひとつなくきめも細かい。

「じゃあ、こうすればどうかしら」

どうにかして1発決めたい、と女は思っていたのだろう、腰にタオルだけを巻いた姿のまま、ベッドの上で意気消沈しているわたしを押し倒し、いきなり唇をふさいできた。

女は舌を伸ばし、口の中に入れてくる。わたしの髪の中に指を入れ、かきまわしながら舌と絡めてくる。

そのヌルリとした感触に、わたしのスケベ心は身体を熱くさせるが、どうにも股間の部分だけは元気にならない。

「まだなの? まだ?」

女はわたしの一物をまさぐりながら言う。

「いや……」

ここまでされてビクともしない自分を、わたしは恥じた。それでも女は執拗にわたしをいじくりまわし、なんとか固くしようと懸命になる。

「もう、しかたないわね」

女はバスタオルを取ると、わたしの頭を乳房に押しつけた。そのやわらかで豊満な感触に、わたしは息苦しくなりながらも肉塊を揉み、乳首を吸う。頭の中は興奮がうず巻き、熱が出たときのように身体がカッカするが、肝心な部分はダメ。

業を煮やした女はとうとう、わたしの股ぐらに顔をうずめ、しなびたせがれをしゃぶりはじめた。

男を自分で誘ってホテルへ連れ込むような女だ。その舌技は絶品だった。

舌先でペロペロと亀頭をさぐったかと思うと、パクリと大きくほお張る。そのまま動かず、しかし口の中では舌が渦を巻き、サオに絡みついてくる。一物に少し力がこもりはじめると、首を上下させ、抜き差しをくり返す。

それでも、女の中に挿れることができるほど、わたしは固くならない。

「す、すまん」

わたしは思わず、わびてしまった。

「しかたないわ。その代わり」

女は口での愛撫を諦めると、ベッドの上で股を開いてわたしに言った。

「口でイかせてちょうだい」

女のオ×ンコをしゃぶるなんて何年ぶりだろう。しかし、好きな行為ではない。わたしはしぶしぶ、パックリと口を開いた肉裂に顔をうずめ、肉ビラを舐め、舌を割れ目に入れ、淫汁をすすり、女核をなぞった。

「うん、そう、気持ちいい」

女は次第に気を入れはじめ、わたしの頭を押さえて悶えた。するとどうだろう、女の部分からは、電車の中でかいだ匂いが、より濃密にわき起こりはじめたのだ。

その匂いのなんともいやらしく、エロいこと。

わたしは頭がクラクラするのをおぼえながら興奮を禁じえず、夢中になって舐り続けた。

「そうよ、そう、ああん、いい、すごくいい」

甘い嬌声と甘美な匂い。わたしの神経は冒され、そしてそれまでまったく元気のなかったせがれがビンビンに勃起した。

「おお、これは!」

わたしは歓喜の声をあげる。

「すごい」

わたしの部分を見て女は目を丸くする。

女は我を忘れてむしゃぶりついてきた。その感触に、わたしはより固く長大になる。

「大丈夫だ、これなら」

「は、はやく、はやくちょうだい!」

ねだる女を今度はわたしが押し倒し、両ももの間に身体を入れると、濡れた陰部にブスリと突き刺したのだった。

「ああん! すごい!」

じらされ、待ちかまえていたモノが、ようやくあたえられた感触に、女は大声をあげて歓びをあらわす。わたしも久方ぶりの感慨に興奮し、思うがまま女の中を貫き、かき混ぜる。

女はわたしが抜き差しするたびに敏感な反応を示し、背中に手をまわして腰を突きあげてきた。ヌルヌルっとして、なめらかで温かなオ×ンコの感触に、わたしは感激すらおぼえてしまう。

「もっとよ、そう、もっと! ああん、もっといじめて、むちゃくちゃにして!」

わたしの下腹が濡れ、シーツも湿るほど女はマ×コ汁をしたたらせる。内部は徐々に締めつけを強め、わたしがどんなに大きく動いても、けっして抜き落ちることがない。

「いいの! イイ! ああん、もう、もうダメ! イク、イッちゃう!」

女は絶叫して果てた。しかし、わたしはまだだ。

わたしは力の抜けた女の身体を抱きあげ、ひざの上に乗せた。ズブリと音の鳴るような突きあげに、女はふたたび声をあげる。

「いやん! こわれちゃう!」

目の前で女の乳がタプタプと揺れる。わたしは乳首を吸い腰を揺らす。女も自分で腰を振り、わたしのせがれは中身をかき出すように暴れまわる。

「ああんん、また、また……!」

女はふたたび達しようとしていた。その体臭は興奮に合わせて濃度を増し、部屋中が染まってしまうほどだ。

当然、わたしは匂いと女の感触で光悦となる。

「いやん、またイク、いっちゃう!」

わたしも吐き出す機会をうかがっていた。せがれはビクビクと脈打ち、せりあがるように精虫の塊がふくらんでくる。

「いいのよ、イッていいわよ」

「このままか?」

「うん、出して、中に出して」

わたしがもうすぐ達するのを、女は膣中で感じたのだろう。きょう知り合ったばかりの女の中に吐き出すのも考えものだが、このときのわたしにそんな思いをめぐらせる余裕はない。それほどに興奮は頂点を極め、快感をむさぼっていたのだ。

「ああん、いやん! 出して、中に出して! イッて、お願い、一緒にイッてぇ!」

わたしは、そのまま女の中に吐き出した。女は背中をそらせ、わたしのほとばしりを感じ取っていた。

「熱い……」

わたしが最後の1滴までそそぎ込んだとき、女はポツリと言った。

「あなたのが、わたしの中で泳いでる」

うっとりとした目つきで女は言う。そしてわたしは女の妖しい笑みを見る。

そのまま抜き取ることを、女は許さなかった。わたしは女の匂いをかぎ、オ×ンコの感触を味わっていた。

汗をかいた女の匂いは男をより夢中にさせる。

わたしは女の中で復活し、ふたたび抽送をはじめた。

やがて朝がくるまで、わたしは女を堪能した。女も満足したのだろう、晴れやかな笑みを浮かべて朝靄の中を消えていった。

しかし、その日から二度と、あの女には会わなかった。けれど、町中や電車の中で女と同じ匂いをかぐことはあった。

メスがオスを誘う体臭。

声をかければ、ほぼ100%の確率でナンパに成功した。

しかし、年齢とともにその力も衰え、いまとなっては、もっと有意義に利用できなかったのかと悔やまれる思いではある。

  • 【選者紹介】
  • 長月タケオ(ながつきたけお)
  • 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
  • 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
  • おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
  • 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
  • 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
  • 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
  • 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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