Catch Up
キャッチアップ

このコーナーは官能小説家の長月猛夫氏が一般の中高年男性から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味いただければ幸いです。 編集長
【バイブで保険レディを玩弄】東京都在住Y・Tさん(49歳)
すでに生命保険には入っている。保障も十分だし、これ以上は必要ない。
「そうはいうけれど、まあ、一度だけ会ってやってくれ。損はないから」
固辞するわたしに専務はいう。会えというのは、もちろん保険会社の外交員だ。
「けど、先ほどもいいましたように……」
「話を聞くだけでいいんだ。もちろん気に入ったら入ってくれてもいい。いや、入れるのは、きみのほうになるかもしれないが」
専務はわけのわからないことをいって、品のない笑みを浮かべる。
「では、会うだけということで」
わたしは仕方なく、K子というセールスレディと顔を合わせることになった。
次の日、K子は早速、会社を訪れてきた。わたしは応接室に通し、ソファーに座って向かい合う。
K子が身につけていたのは黒いスーツ。はいているのはミニのタイトスカートで、ムッチリとした太ももがあらわになっている。
上着の下には胸もとが大きくU字にひろがった白いシャツ。豊満な乳房の谷間がうつむくたびに目に飛び込んでくる。
「……で、このタイプだと日帰り入院はもちろん、5年間、お健やかに過ごされると5万円の臨時給付金をお受け取りになることができます」
「はあ」
「いま、ご加入の保険は?」
「え?」
「ひょっとして奥さままかせですか?」
「ええ、まぁ」
艶のある厚い唇に、少しかすれた声。年のころなら30代後半くらいだろうか、匂い立つ色気をプンプン放っている。
「では、見直しなどもされていない?」
「ええ、まあ、そうですね」
「いけませんわねぇ」
K子は背中を伸ばし、自慢するように胸を張り、大きく脚を組んでわたしを見た。
「お支払はご主人さま。少しでもお得な商品をお選びになったほうが家計も助かるはずですわ」
「そりゃ、そうですけど」
「それに」
K子は小さくほほ笑んで、小声になる。
「私と契約していただければ、オプションが」
「え?」
「おわかりでしょ?」
K子はいきなり上着を脱ぐ。そしてシャツの襟もとに手を入れ、乳房のふくらみをわたしに見せつけた。
「見直しのご検討をいただければ、もっとご覧になってもいいんですよ。お近くで」
「ええ!」
「もちろん、この場でご契約いただければ……」
K子は潤んだひとみをわたしに見せつけ、右手の人差し指を唇にはさむ。その仕草を見て、わたしの身体は熱を持ち、股ぐらのあたりがムズムズとしはじめた。
「どうですか? それとも、私のような淫らな女はおきらいですか?」
「いえ、でも、こんなところで……」
「いやですわ、もちろん、場所は後日、別のところで」
「本当ですか」
「はい」
わたしは迷った。
K子のすすめる商品は、さほど負担のない額だ。それに、専務の紹介ということもある。そして、このときすでに、わたしは彼女の媚態に惑わされている。
「わかりました」
「見直しのご検討を?」
「いや、契約します」
「本当ですか! うれしい!」
K子は少女のように明るい声を出し、よろこびを示した。
その場で印鑑を押し、契約は終了。そしてK子は、後日の約束を交わしていった。
ただ、その後、わたしに不安が襲った。妻に黙って契約してしまったことではない。はたして彼女に太刀打ちできるかという不安だ。
K子の背丈は170センチ近くあり、バストもFからGカップくらい実っている。つまり、欧米人並みのグラマーボディということになる。しかも同じ手口で契約を取っている以上、百戦錬磨のつわものに違いない。
かえってわたしといえば、結婚してから女房以外と交わったことがない。結婚する前も素人は数えるほどで、ソープランドなどのプロといたした程度だ。
つまり、アッチのほうにまったく自信はない。
「魔が差したか」
わたしは後悔したが、あとの祭りだ。契約を取り消すことも可能だろうが、専務に告げ口でもされたら大事だ。
それに、どういう経緯であれ、あのダイナミックなボディを堪能できるのだ。みすみすこのチャンスを逃すのはもったいない。
「さて、どうしたものか」
考えあぐねた結果、わたしはひとつの方法を思いついた。
「そうか、先に彼女を満足させればいいんだ」
自分より先にイかせておき、あとからじっくりと味わいつくす。
「客なんだから、立場としてはオレのほうが上だし、多少のわがままは聞き入れてくれるだろう。では、どんな方法が……」
そのとき脳裏に浮かんだのは、むかしエロビデオで見た、とあるシーンだった。
ビデオの中で女優はヒヒジジイに責められていた。ジジイは年齢のせいもあって、なかなか勃起することもない。
そこで、男の形を模したバイブを使い、女優を責める。道具をめり込まされ、悶え喘ぐ女優を見てジジイも興奮し、ようやくセックスにおよぶというものだった。
「その方法なら」
わたしは早速、恥を忍んでバイブを購入し、約束の日を待ったのだった。
その日、駅で待ち合わせたわたしとK子は、その足でホテルに向かった。部屋に入り、K子は浴室へ。わたしはカバンの中からバイブを取り出し、スイッチを入れて動作を確認した。
「あら? なんですの、それ」
シャワーを浴びて戻ってきたK子は、わたしが手にしたバイブを見て目を丸くした。
「いやいや、せっかくだから色んなことして楽しもうと思って」
わたしは少しあせりながらいう。
「ふ~ん」
拒絶されるかと思ったが、K子は興味津々でバイブを手に取る。
「なんだかおもしろそう」
わたしはそんなK子を見た。
バスタオル1枚だけを身体に巻いたK子は、着衣のときに想像した以上にグラマラスで、しっとりと濡れた肌と髪が、よけいにわたしの劣情を駆り立てる。わたしは興奮でたまらなくなり、そのままK子をベッドに押し倒したのだった。
「やん」
K子は小さく拒絶の声をあげたが、かたくなな拒否は示さない。わたしは急いで裸になり、K子のバスタオルを取る。
姿を見せたのは、まさにダイナマイト。乳房は大きく盛りあがり、骨盤が張り出し、それでいて腰はじゅうぶんなクビレを示している。
わたしは我を忘れて乳房にむしゃぶりついた。
「いやん、やさしくして、あせらないで」
そういわれても、興奮を押しとどめることはできない。わたしはK子の秘部を乱暴にかき混ぜ、いきり立った一物をねじ込んだ。
だが久しぶりということもあって、わたしはいとも簡単に達してしまった。しかも、K子の内部に。
K子はあきれ顔でわたしを見た。そこには侮蔑の表情さえ浮かんでいた。
「もう。でも大丈夫、ピル飲んでるから」
そんな言葉は全く慰めにならない。とはいえ、再度挑戦するほど精力はない。
「どうします? これでおしまい?」
冷たい声色でK子はいう。そのときわたしは、バイブの存在を思い出す。
「いや、これで」
「ふ~ん、まあ、いいけど」
小バカにしたようなK子の態度。わたしはいきどおりをおぼえ、バイブのスイッチを入れると、ふたたびK子に挑んでいった。
最初、シラけたようなそぶりのK子だったが、わたしが彼女の乳房、そして陰部と責めると態度は一変し、あられもなく歓喜の声をあげはじめた。
「いやん、こんなの、ああん、ダメ、こんなの初めて!」
わたしも自信を取り戻し、太いバイブをめり込ませながら彼女の全身を舐り、なぞる。
「いやんいやん、こんなの、ああああん、大きい、すごい、こわれちゃう!」
蜜をしたたらせ、肌を紅潮させ、ベッドのスプリングがこわれるんじゃないかと思うほど身をバウンドさせるK子。そんなようすをながめていると、わたしも復活をはたす。
「もう1度、いいか」
「うん、うん、キテ、本物を挿れて!」
K子のねだりに応じて、わたしは奥まで貫いた。
バイブで感情がピークになっていたK子は、わたしの背中に手をまわし、身体を密着させてくる。2度目なので余裕のあるわたしは、彼女のぬるみや締めつけを存分に味わう。
「いあん、すごい、あん、ダメェ、イク、イッちゃううう!」
K子は達した。わたしもほとばしりを放つ。射精の勢いに身を痙攣させながら、K子はグッタリと身を横たえるのだった。
それだけでわたしたちの関係は終わらなかった。バイブの魅力に取り付かれたK子は、わたしとの長いつき合いを望んだのだ。
「いろんなオモチャで楽しみたいの。そのあとに挿れられるあなたのオチンチン、最高」
そういってK子は、わたしをほめてくれる。
バイブで責めてくれる男ならだれでもよさそうなものだが、なぜかK子はわたしでないとダメだという。わたしも深く追及せず、K子との関係を楽しんでいる。
ただ、会うたびにK子は新しいバイブをねだる。購入する資金は大変だが、いまのところ彼女との関係は順調だし、なんといってもK子の美肉を堪能できるので、「まあいいか」と考えている。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 官能小説家。一般人の中高年男性への取材を通して市井の赤裸々な性のエピソードを紡ぐ。
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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