夕やけ大衆の読者の皆さん、スケベ漫画家・成田アキラでございます。

　今回は世の中にあるスケベスポットについて話をしよう。

　このコラムでも、ワシは混浴しながら裸を見せ合うような温泉や、変態が集うスケベパーティーのこを書かせてもらった。よくワシは「こういう性的欲求が強めの人が集まる場所はどうやって行ったり参加したりすればいいのでしょうか？」という質問をされることがある。

　確かに、世の中にはマニアだけが知っている場所やお店ってのはあるけれど、なかなかそんな情報は一般の人の耳には入らないし、耳に入ったとしてもいきなり行ってみるには敷居が高いだろう。ハプニングバーやカップル喫茶も、そういう類の場所と言える。

　しかし、日常の中に存在するスケベスポットというものもある。いや、あったたと言った方がいいだろう。いまはすぐにネットに情報が流れて、この手の場所はほぼ絶滅してしまったからだ。今回、お話しするのは、昭和から平成初期の時代だからこそ存在しえた、思い出に残っているスケベスポットのことだ。

　ワシがその場所のことを知ったのは、変態仲間のSくんからの情報だった。

　あるとき「先生！　すごい場所を発見したんです!!」とSくんがワシのところにやって来た。彼によれば“変態女性に自分のオナニーを見てもらえる場所”というのだ。

　ワシは最初はマニアックな店かなんかだろうと思ったがさにあらず。ある繁華街のファストフード店だというのだ。

　ここがまさにが日常の中で自然発生的に生まれたスケベスポットだった。どんな場所だったかというと、このファストフード店にあるお手洗いは男女兼用で、洋式タイプの個室があった。実はこの個室のドアは鍵を閉めると、ドアの端の部分に少し隙間ができて中が覗ける状態になっていたのだ。

　そこまで聞いたところで、ワシはSくんに「女性がお手洗いに入って用を足すのを男性が隙間から覗くってことだろ？それじゃただの覗きで面白くもなんともないよ」と言った。

　するとSくんから予想外の答えが返ってきた。「先生、違うんです。この場所は女性が男性を覗く場所なんですよ」と。

　聞いてみれば、ここは最初にワシが予想した通り、男性が女性を覗くというケースが多かったようだ。しかし、誘蛾灯に集まる虫のように、男女ともに変態たちがやってきた結果“覗かれたい男性”と“覗きたい女性”がお互いの欲望を満たし合うスケベスポットに進化しているというのだ。

　この場所でSくんはなにをしているかというと、個室の中でオナニーをして、その姿を女性に見せつけているという。Sくん曰く「女性に、それも公共の場所で見られながらするオナニーは最高ですよ！　僕にとっては“100万ドルの夜景”ならぬ“100万ドルのヌキ場所”といっても過言ではないですね」なんだそうだ(笑)。

　ワシはSくんに頼んでその場所の映像を撮ってきてもらった。個室の中にいる男の側から、隙間に向けてカメラを仕掛けてもらったのだ。

　撮影した映像にはオナニーを覗く女性たちのリアルな顔がそこにあった。チラッと見て去っていく女性、真剣な顔で見つめる女性、モジモジしながら腰をくねらせている女性ーー。次々と女性たちがやってくるんだ。そして、それぞれ反応は違えど、みな多かれ少なかれ興奮しているのは間違いない。いや、実に面白い映像だったね。

　もちろん、ワシもこの場所を実体験するために足を運んで、覗かれてきたんだ。

　とは言ってもワシはここでオナニーをしてきたわけじゃない。ワシの知り合いで覗かれると燃えるタイプの変態女性と一緒に行って、個室の中で一戦交えてきたというわけだ。

　お手洗いの狭い個室の中で、組んずほぐれつ。前から後から。縦になったり横になったり。様々な体位で頑張ったわけだよ。隙間から覗いている人がいたら、わざと抜き差しがよく見えるように角度を調節したりしてね(笑)。いやぁ面白かったねえ。

　まあ、しかしこういう自然発生的に生まれたスケベスポットは、人が集まってくるようになれば長続きしないのが世の常。やっぱり悪目立ちしてしまうんだよね。しばらくしたら、この場所もお店側が気づいてしまって、便所のドアは金属の板でふさがれてしまったんだ。

　いまはこんな場所があったら、インターネットで拡散されたり映像が流出したりして大変なことになってしまうだろう。ネット普及前だからこそ口コミで広がった、素晴らしいスケベスポットだったというわけだ。

　もちろん、インターネットはさまざまな情報に触れることができる便利な道具だ。しかし、ワシはマニアの間の口コミで、情報がやりとりされ実際に行ってみるまでどんなスケベが待っているか分からない、そんな牧歌的な時代が懐かしくなってしまうときもあるのだ。

成田アキラ先生プロフィール

1945年生まれ。もともとは子供向けの科学漫画を描いていたが。テレクラにハマり180度の方向転換。テレクラで出会った女性との体験漫画を描き始め大ブレイクする。その後も「女と車と温泉」にのめり込み、ついには女性をイカせるテクニック「V筋攻め」まで考案。現在もブログ、ツイッターと幅広く活躍している。スケベで世界を平和にすることを目的とした「日本艶主党」の代表でもある。

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