このコーナーは伝説のアダルトライターである舐達磨親方に、古き良き「あの頃のアダルト」を回想していただくものです。昭和、平成、令和の「男女の愛欲」を取材し続けてきた親方は、まさに歩く伝説。中高年読者の皆様も、若かりし頃にタイムスリップした気持ちでお楽しみください。

編集長より。

【出張ヘルス嬢の待機する楽屋風景が大好きの巻】

　潜入取材というのは、要するにごく普通のスケベな客装い、体験したままを記事にする取材スタイル。体験したままを記事にするから悪口も書くけど、本当に良かった場合はその分読者からの反響がスゴイ。

　まぁ記者としてもお金を払って（取材費）遊ぶわけだから楽しい仕事でもありますな。1980年代後半はもぉフーゾクの全盛期ですから、夜の盛り場を着流しで歩いてちょいと気になった所にフラッと入り、そのお味を原稿に書くなんて、あ～良い仕事に巡り会えたなんて調子こいていたわけですよ。

　でも長くやっていると、顔を覚えられたりしちゃって、バレバレの時も増え始めてしまい、あんまり悪口が書けなないというジレンマに陥ることもあります。

　中にはフーゾク店のオーナーと顔見知りになって、楽屋というか女のコの待機している部屋に入り浸ったりすることもありました。

　でもそれがまたしみじみして面白かった。テレビを見るてゴロンしているコもいたり、中には正座して真面目に本を読んでいるコも。でも多くはマンガや女性誌を読んでいるコが多かった。

　いまだと全員スマホを見てるんだろうけど、冬はコタツに入りインスタントラーメンを食べていたり。そうそうワシにも作ってくれたコがいて嬉しかったことを覚えている。

　でも雰囲気としてはやっぱり楽屋というか、お呼びがかかるまでの待機所ですから。みんなくつろいじゃってダラシナイ感じ。化粧してたり、平気で下着に着替えたりと、男のワシの目なんてまったく気にせず仲のいい女のコ同士でくっついちゃってたり。そういうのってワシは大好き。

　時にはオーナーが鍋を作ってみんなでたべ食べたりと楽しそうでした。そこでワシはなにをやっていたんだって？　いやいや取材ですよ。新人のコの面接とか、ラブホから帰って来た女のコがオーナーにいくら渡すのとか見たりまぁ色々。要するに、こういうお仕事をする女のコたちの生態を観察させて頂いていたわけです。

　でも逆にワシは彼女たちにはどう見られていたかって？　そりゃあろくでも無い奴というか、まともな男じゃないと思われていたんでしょうな。客になる金も無さそうだしってか？

【舐達磨親方プロフィール】

1952年、山口県岩国市生まれ。夜の世界のフリーライターとして、新聞や雑誌で数多くの男女の物語を紡ぐ。中でも独特の風俗体験ルポは絶大の人気を博す。