このコーナーは伝説のアダルトライターである舐達磨親方に、古き良き「あの頃のアダルト」を回想していただくものです。昭和、平成、令和の「男女の愛欲」を取材し続けてきた親方は、まさに歩く伝説。中高年読者の皆様も、若かりし頃にタイムスリップした気持ちでお楽しみください。

編集長より。

【くれない族の反乱ってドラマが影響しちゃっての巻】

　大原麗子主演の「くれない族の反乱」って覚えてます？　ＴＢＳで１９８４年頃話題となったドラマ。けっこう主婦に人気があったんですよ。このドラマって要するに旦那が仕事にかまけてて、かまってくれないから“くれない族”って、寂しい奥さんたちのことで、もぉ主婦たちはテレビにかじりついていましたね。

　大半が経済的にも余裕のある専業主婦たちで、みんな大原麗子に共感しておりました。でもねぇ、仕事に疲れてる旦那さんにしてみりゃ困ったものでしたよ。

　ところがそんな奥さんたちの中には、寂しさのあまりなんとまぁホテトル（本番有りのラブホ出張フーゾク嬢）になっちゃう人も出て来ました。ごく普通の奥様が趣味と実益を兼ねてのアルバイトってわけです。

　でも奥さんたちってみんないわゆる熟女でした。大げさな言い方をすると、このこの当時の社会現象って感じに思えましたね。料金はだいたい90分で２万5000円。当時の相場でした。

　とはいえ、お金が欲しいから始めたんじゃなくて、寂しさを紛らわすためだから、気に入った客だと逆に連絡先を聞いてデートしたり店に内緒でタダでお相手したりと、楽しんでいる奥様もおりましたな。

　90分という時間も、割といい加減で延長しても追加料金無しでサービスしちゃったりなんて人も。ハッキリ言ってプロ意識なんて全然無いんです。客にしてみりゃ喜んでいいのか悲しんでいいのか。とはいえ、そういう奥様はやっぱりけっこうな年配の人が多くて、若くても40代後半。中には60代から70代前半って人も。

　確か場所的には大塚とか巣鴨とか、今現在の熟女ブームの走りっての？　そこから都内全域に広がっていったみたいですな。それと時間帯が旦那のいない昼間が多かったのを覚えている。とは言っても平気で夜も遅くまでバイトしている主婦もいましたから、それぞれの家庭の事情があるんでしょう。

　どうせ旦那もコソコソとフーゾクで遊んでいるんでしょうし、どっちもどっちと言うかまさかのご対面！ってのは、ドラマだけの話でもなかなか聞いたことがありませんけどね。

【舐達磨親方プロフィール】

1952年、山口県岩国市生まれ。夜の世界のフリーライターとして、新聞や雑誌で数多くの男女の物語を紡ぐ。中でも独特の風俗体験ルポは絶大の人気を博す。