このコーナーは伝説のアダルトライターである舐達磨親方に、古き良き「あの頃のアダルト」を回想していただくものです。昭和、平成、令和の「男女の愛欲」を取材し続けてきた親方は、まさに歩く伝説。中高年読者の皆様も、若かりし頃にタイムスリップした気持ちでお楽しみください。

編集長より。

【デブ専のホテルからなんと妊婦専門って所までの巻】

　デートクラブというフーゾクがホテトルと呼ばれるようになったのは1984～５年頃だけど、どちらもズバリ本番行為のある、いわゆる売春クラブのことで、相場は大１・５枚から２枚でした。

　それにしても玉子と一緒で当時から全然値上がりしていませんな。その後、現在はデリヘル（デリバリーヘルス）と名を変えて、ホテルで本番行為の無いヘルスサービスへと変化していったわけです。

　で、そのホテトルの頃に鶯谷で経営していた加藤さん（すでに亡くなられた方ですが）という方から、よく取材させてもらってた時に聞いた話で、「女のコを募集しても、どういうわけか太ったコしか来なくて、デブばっかりになっちゃったのよ。困っちゃってさぁ、ええいやヤケクソでおデブちゃん専門のホテトルにしちゃったの。そうしたら、世の中面白いねぇ、デブが好っていう男がけっこういるのよ。電話がよく鳴るのよマジで」

　てなことを話してくれて、それじゃあと私はこの“デブ専”というキャッチフレーズを付けて雑誌に紹介させてもらいました。そのおかげか加藤さんのホテトルはそれから大流行しちゃったわけです。確かピークを迎えたのが1989年でしたか。もぉその頃はこの『デブ専』って言葉はすっかり世間に定着しちゃいました。

　当時は他の業者も、なにかうちでも特色を打ち出そうと考えたんでしょうね。ロリロリとかガリガリに痩せたコ専門とか、女大生専門とかＯＬ専門とかね。この頃はやたらと専門店が増えていきました。

　で、現在までに残ったのはなんとオバサンというか熟女専門というわけです。いわゆる人妻熟女とか美熟女ってやつ。それにしても一番驚いたのはおなかの脹らんできた妊婦を集めた、オッパイが出る母乳専門ホテトル。でもこれはこれで大変で、常に母乳の出る妊婦を用意しなけりゃならない。臨月ギリギリまで働く妊婦さんもいたりしてビックリでした。

　それ以前は、オッパイ吸ってたら白い母乳が出てビックリしたという話をよく聞いていたから、なるほどと専門店ができてもおかしく無いと納得したんです。

　というわけでいま現在はデリバリーヘルスですけど、当初は女のコによっては店に内緒でプラス大２枚でやらせてくれるコもチラホラいました。ここだけの話でしたけど、店舗型のヘルスのコの中にもおりましたねぇ。ひょっとしていまもどこかのデリであるかもね。

【舐達磨親方プロフィール】

1952年、山口県岩国市生まれ。夜の世界のフリーライターとして、新聞や雑誌で数多くの男女の物語を紡ぐ。中でも独特の風俗体験ルポは絶大の人気を博す。