『危険なビーナス』は、あの『半沢直樹』の後番組として、日曜日の夜9時からTBSの『日曜劇場』枠でオンエアされている連続ドラマ。大金持ちの資産家「矢神家」の当主の息子の失踪事件と遺産相続争いをめぐる東野圭吾原作のサスペンスドラマだ。

　主演は16年ぶりに日曜劇場に登場する妻夫木聡。彼が演じるのは、矢神家に嫁いで16年前に事故で死亡した母・禎子（斉藤由貴）の連れ子で獣医師の手島伯朗。彼には、矢神家当主と母の間に生まれた八神明人（染谷将太）という異父弟がいる。幼い頃、矢神家に馴染めなかった伯朗は、矢神家を離れて自由に生きている。

　そんな伯朗の元に、ある日、「明人の妻」だと言う美女・楓（吉高由里子）から連絡が入る。 「明人が失踪した。遺産相続に絡んで矢神家の誰かに攫われたのかもしれない」　 半信半疑のまま、楓と行動をともにする伯朗。

　とにかく、この矢神家の人間関係が複雑だ。矢神家の現在の当主・康治（栗原英雄）、その妹・波恵（戸田恵子）、前当主・康之介（故人）の養女・佐代（麻生祐未）、その実子で矢神家の養子になった勇磨（ディーン・フジオカ）、前当主の息子・牧雄（池内万作）、前当主の娘・支倉祥子（安蘭けい）、その夫で矢神家の介護福祉グループを切り盛りする支倉隆司（田口浩正）、隆司と祥子の娘・支倉百合華（堀田真由）。

　人間関係が複雑に入り組んでいて、何が何やらさっぱり分からない。ようやく、だいたいの人間関係の説明が終了したのが第5話ぐらい。その間にも、新たなる失踪事件やら襲撃事件やらが次々と巻き起こり、その都度、視聴者は翻弄されていく。

　伯朗と楓は「バディ」を組んで、「矢神家の闇」を暴いていくのだが、楓の正体がいまひとつわからないままなので、視聴者はどうにも居心地の悪さを感じさせられる。「この女、本当に信用してもいいのか」という疑念が常につき纏ってしまうのだ。

　この小悪魔的な美女を演じる吉高由里子は、まさにハマリ役。「ねえ、お兄様〜」と猫撫で声で伯朗に近づき、信頼を勝ち得ていくテクニックはなかなかのもの。

　そして、矢神家の闇とは無関係ということで、ニュートラルな立場だった伯朗だが、実は母・禎子も実は何者かに殺されていたと聞かされて……。ああ、続きが気になる。

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/