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※はじめに
この連載は中高年の皆様に素晴らしき日本の性文化への憧憬をさらに深めていただくために、東京・吉原に書店を構える「カストリ書房」の店主・渡辺豪氏に毎回、お勧めの本や雑誌を紹介いただくものです。
カストリ書房は遊郭専門書店として2015年に誕生し、店主の渡辺氏は自らも遊郭、赤線、青線があった地域を巡って聴き取り調査や取材を行なっており、これまでに訪れた場所は約500箇所。現在も書店を運営する傍ら様々な日本の性文化に関する文献の考察やイベントを行なっております。
夕やけ大衆では、そんな渡辺氏が未来永劫残したい「性書」を厳選してご紹介いたします。さあ皆様、知識と誘惑の扉を開いてみましょう。
〈夕やけ大衆編集長より〉
第7回『全国版あの日の自販機探訪記』黒沢哲哉著(双葉社)
エロ本を始めとして、エロDVD、アダルトグッズなど男性の性欲解消を目的とした商品を販売する自販機を総称して「エロ本自販機」という。
本書は北海道から九州までのエロ本自販機の分布や、関係者への訊き取りなどを取材したもの。
車を走らせていて、ロードサイドにエロ本自販機を置く粗末なトタン小屋(大抵ブルーなのは謎だ)を見つけるとある種のノスタルジーを感じてしまうのは、恐らく昭和生まれの男性共通ではないだろうか。
実は私もエロ本自販機が好きで、通りすがりに見つけると嬉々として車を止めてしまう。エロ本自販機ファンの一人として、本書が発売されたときは驚喜した。
コンビニの普及、行政や地域からの忌避感はもとより、インターネットの普及により、そもそもわざわざエロ本を買う理由がなくなり、エロ本自販機の存在意義は縮む一方だ。
掌にあるスマホで検索すれば無料でエロコンテンツが溢れてくる時代にあって、わざわざロードサイドの暗がりで紙メディアを買う理由を見つけるのは難しい。
それでも生きながらえているエロ本自販機が全国には点在する。
私の勝手な経験則では、現在生き残っているエロ本自販機の立地条件には、緩いセオリーがある。
それは、「県境など跨ぐ幹線道路だが、高速道路ではなく、あくまでも一般道路で結ばれている道路上」というもの。
県境は峠を境としていることも多く、山道である。山道は道路がうねり、自販機の配置に適した視線を遮るカーブも多い。山間部の人口は少ないが、夜間も物流を担うトラックが行き交い、夜間だからこそ人目を避けて購入しやすい。また確かな統計などは見たことがないが、トラック運転手はITリテラシーが高くはなく、ネット上のエロコンテンツにも馴染みが薄いのではないか。
もちろん郊外の平地に、ぽつんと佇むエロ本自販機も何度となく見たことはあるのだが、街灯のない山道で見つけるエロ本自販機が持つ郷愁は、言葉にならない。そうした強い印象からか、上記の立地条件を想起してしまうのかも知れない。
以前、いつものように山道でエロ本自販機を見つけてトタン小屋に近づくと、地面上に商品が捨てられているのを見つけた。「折角買ったのに、なぜ勿体ないことを・・・」と近づくと、捨てられていたのはDVDだった。パッケージだけでなくDVDのディスクも捨てられていた。
購入者が運転する車には、おそらくDVD再生装置がなかった。「もしかしたら今後プレーヤーを手に入れて、観られるかも知れない」といった未来を期待することもなく、打ち捨てる行為は潔くもあった。今すぐ紙のエロが欲しかったのだ。
雑な捨て方にドライバーの無念さが宿っていた。
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『全国版あの日の自販機探訪記』黒沢哲哉著(双葉社)
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