Catch Up
キャッチアップ
このコーナーは官能小説家の長月タケオ氏が一般の中高年読者から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味頂ければ幸いです。編集長
【介抱しつつもてあそんでしまった先輩OL】
Y・T 59歳 埼玉県在住
まだ、いまの会社に入社して間もないころ、わたしには非常に良くしてくれる先輩がいた。しかも、5つ年上の女性で独身。仕事もできるし、だれもがあこがれをいだく美人で、スタイルも抜群だ。どうしてそんなに気にかけてくれるのかたずねたところ、わたしは事故で亡くなった弟に瓜ふたつらしい。
「ムチャばかりして、ハラハラさせられるところなんかそっくり」
彼女は長い髪をかき上げながら、笑顔でそういっていた。
ある日、所属していた部署の課長が定年となり、送別会を開くことになった。もちろん、彼女もわたしも参加した。そして、彼女と宴席で一緒になるのは、そのときが初めてだった。
「わたし、あまり飲めないから」
乾杯が済んで、わたしがビールをすすめると彼女は言う。しかし、彼女の気を惹きたい社員連中が、入れ替わり立ち代り酌をする。無下に断ることもはばかられると考えたのか、彼女は無理な笑顔を浮かべてグラスを空にした。
「大丈夫ですか?」
「え、ええ、なんとか」
そういいながらも目はうつろになり、肌も赤く紅潮しはじめる。何度かトイレに立つものの、足もとはおぼつかなく、次第にろれつもまわらなくなってくる。
わたしは不遜にも、そんな先輩を色っぽいと思いはじめていた。
平素は凛とした態度でわたしたちに指示を出し、背筋をまっすぐ伸ばして社内を闊歩する。英語が堪能で、海外からの来客があると通訳を務める。それでも常に笑顔を絶やさず、お茶くみや掃除も進んで行う。
そんな彼女に男性社員ばかりでなく、女子社員も尊敬の眼差しを向けていた。
しかし、酒の力は彼女の弱さを露呈させる。そしていつの間にか、わたしのとなりの席でウトウト居眠りをはじめたのである。
「先輩、本当に大丈夫ですか?」
「う~ん、ダメ、みたい……」
そういいながら、頭をわたしの肩にあずける。それとなく見おろせば、スーツの下に着たブラウスの胸もとから乳房の谷間やブラジャーがかいま見える。
赤い唇に長いまつ毛、甘い香水の匂い。わたしの感情は尋常でなくなり、若さも手伝って、股間にうずきをおぼえたのであった。
宴もお開きとなり、みんなは二次会へと河岸を代えた。しかし、先輩は満足に立つこともできず、わたしが体躯を支える。
「大丈夫、わたし、帰れる……」
「こんな状態で、危ないですよ」
「じゃあ、送って帰って」
潤んだひとみで彼女は言った。もちろん、わたしに異存はない。
わたしはそのまま彼女をかかえて、タクシーが見つかる場所まで歩いていく。繁華街を抜け、幹線道路へ出ようとすると、すぐ近くにホテルのネオンが見えた。
わたしは足を止め、先輩を見る。彼女は泥のように眠っている。かかえる腕や手に彼女の柔らかい感触、とくに乳房の豊満さが伝わり、すでに歩くのが困難なほど股間はふくれあがっている。
「せ、先輩、す、少し、休んで……」
「うん……」
それは、ただのうわ言だったかもしれない。けれどわたしは承諾の返事と勝手に解釈し、道路に出る方角からホテルの方へ向かったのであった。
部屋を選び、エレベーターに乗り、目的の場所へたどり着く。そのあいだも先輩はまったく目をさまさない。ドアを開け、スリッパもはかずに部屋の中に入り、わたしは彼女をベッドの上におろした。
「さて」
正体なく眠り続ける先輩を見て、わたしはしばらく考える。
「どうしたものか」
どうするもこうするもない。ここまできたら、やることはひとつだ。
しかし、彼女とは明日も会社で顔を合わせることになる。魅力的な存在であることに変わりはないが、意識のない相手を勝手にもてあそんぶというのは、許されるべきことではない。
「先輩、先輩、起きてください」
わたしは声をかける。しかし、彼女は目をさまさない。
「苦しくないですか? 水、もってきましょうか」
そういうと、かすかにうなずいてくれる。
わたしはそなえ付けのコップに水をくみ、先輩の身体を抱き起こして飲ませる。唇が濡れ、細いのどがコクリと音を立てるが、全部を飲み干すことはできない。あまった水が口からあふれ、ブラウスを濡らす。
「あ~あ」
わたしはそういって彼女を横たわらせた。
「濡れたままじゃ、な。それに、締めつけているのも……」
泥酔しているが、別段苦しそうではない。それでも身につけているものを脱がしたほうが、楽になるかもしれない。
「ですよね」
返事はない。
「じゃあ、そういうことで」
わたしは先輩の上着を脱がし、ブラウスのボタンをはずす。そして、スカートを脱がし、ストッキングを脱がす。
まったく抵抗をしめさない先輩は、下着姿であお向けになる。胸もとから腰、太ももにかけての曲線がなんともエロチックで、艶やかな肌はきめが細かく純白に近い。
「先輩、胸は苦しくないですか?」
返事がないのを知っていて、わたしはたずねる。彼女は少しうめき声をあげるだけ。
「そうですか、じゃあ、楽に……」
先輩の背中に手を回し、ブラジャーのホックをはずす。肩ひもをずらし、身体からはずすと、こんもりと盛り上がった形いい乳房があらわになる。
その瞬間、わたしのどこかにスイッチが入った。屹立を果たしている一物の先端からは、粘り気のある先走り汁がにじみ出る。血液は逆流し、顔面はほてる。
「せ、先輩、いいんですね」
「ううん……」
「いいんですね!」
わたしは大急ぎで裸になり、飛びかるようにおおいかぶさる。そして、乳房を揉み、乳首を転がし、陰部に手を伸ばして指で蜜壷をさぐる。
先輩の内部は呼吸に合わせて伸縮を繰り返し、時おり窮屈な締めつけをあたえてくれる。かき混ぜるたびに大量の蜜があふれ出し、何度かビクンビクンと身体を痙攣させはじめる。
「あああん、いや、だめ……」
「ダメ? なんですか?」
「いやん、あん……」
夢見心地でいるのか、先輩は唇をゆるく開け、切ない吐息を漏らす。それと同時に、濃厚なフェロモンが立ちのぼり、わたしの理性は飛翔してしまう。
「先輩も感じてるんだ、よろこんでるんだ」
わたしは彼女の身を起こし、壁一面の鏡に向かって脚をひろげさせた。少し濃い目の陰毛の向こうに、サーモンピンクの肉裂が口を開ける。指でこねくり回し、背後から乳房を揉むと、なんとも卑猥な姿が映し出される。
「先輩、きれいですよ、すごくきれいだ」
目を閉じたままの先輩に反応はない。それでも、子宮に達するほど指を挿入させると、ビクンと背中を反らせる。
続いて先輩をうつ伏せにし、わたしは背骨に沿って舌をはわせる。そして顔面を秘部に押しつけ、すする。
「やああん、あん……」
かすれた声がひびく。部分は十分に濡れそぼり、いまかいまかと挿入を待ち受けているようだ。
「さて、そろそろ」
わたしはコンドームをつけ、そのまま後からつらぬき通した。
「やん!」
根もとまでズブリと納まった瞬間、先輩はあごをのけ反らせた。それでも夢の世界から抜け出すことができず、完全にわたしのオモチャと化す。
わたしはズンズンと腰を振りながら、先輩のぬるみと温度を甘受する。次に先輩をあお向けにすると、脚を高く掲げさせ、内部を攪拌しながら抜き差しを続ける。
「ああ、先輩、すごい、すてきですよ、先輩」
律動のたびに乳房がタプタプと揺れる。彼女の表情は淫靡にゆがみ、唇から舌が顔をのぞかせている。
「ああ、いい、イキそうだ、先輩、イキますよ、イッてもいいですか」
答えはない。そしてわたしはそのまま、彼女の内部にほとばしりを放ったのであった。
夜明け前、眠りに落ちていたわたしは揺り起こされた。目を開けると、厳しい表情の先輩がわたしをにらんでいる。
「これはどういうこと!」
いままで見せたことのない、すごい剣幕。当たり前だ。自分が眠っている間に犯されたとあれば、怒るのも無理はない。しかし、わたしは平然と答えた。
「どういうことって、ボクは先輩の命令にしたがっただけですよ」
「命令?」
「そうですよ。やだなぁ、おぼえてないんですか」
送別会で酔って、わたしに家まで送るよう命じたこと。タクシーをひろおうとしたら、ホテルで休みたいといったこと。拒否すると、大声で泣きわめいたこと。仕方なくこの部屋に入ると、自分から服を脱ぎ捨てて迫ってきたこと。
「ホント?」
「本当ですよ。ボクは仕方なく……」
まっ赤なウソである。しかし、彼女は信じてしまった。
その後、彼女はわたしによそよそしい態度を取るようになった。それはそれで残念なことだが、たった一度でも甘美な体験ができたことに満足はおぼえる。卑怯だといわれればそれまでだが。
- 【選者紹介】
- 長月タケオ(ながつきたけお)
- 1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
- 1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
- おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
- 『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
- 『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
- 『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
- 『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)ほか
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- 誘惑する女 熟女たちの悦楽 長月タケオ短編集
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