つい先日、生まれて初めて「SM」というものを体験しました。

　しかも私、女王様をやっちゃったんです（白目）。

　まあ、そうは言っても実際に誰かに会って縛ったり鞭で叩いたりしたわけではなくて、あくまでも「電話」でのSMなんですが、これがかなり刺激的。なにしろ、どんなに罵詈雑言を並べ立てても相手は喜んでくれるんですから、楽しいことこの上ありません。

　ちなみにお相手は78歳のおじいちゃん。

　なんでも「半世紀以上もドMをまっとうしてきた」という筋金入りのM男性で、「コロナで女王様が会ってくれなくなったから、せめて電話だけでもMを楽しみたい」とマッチングテレホンにアクセスしてきたんですって（笑）。

　しかも、よくよく話を聞いてみたら「馴染みの女王様」も、とうに還暦を超えているっていうんですよ。私、びっくりしちゃいました。SMって奥が深いんですね。

　ともあれ、このおじいちゃんを相手に私は「にわか女王様」を演じたわけですが、最初から、かなり様子がおかしいことになっておりました。

　まず第一に電話口でセミが大音量で鳴いていたんですよ。それが、いったいどこで電話をかけているのかを聞いても、セミがうるさくてなかなか聞き取れないほど（困）。相手も相手で終始「ええっ？　あんだって？」の繰り返しで、まるでドリフのコントみたいになってしまいました。

　さらにおじいちゃんときたら「最近、耳が遠くてね」なんていうもんですから、こちらも、あらんかぎりの大声で話すわけです。

「おじいちゃん！　聞こえますかー」

（ミーン、ミンミン）

「はい、はい、もっと口汚く罵ってください」

（ミーン、ミンミン）

「いい年してまだ欲しいのか、この犬野郎！」

（ミーン、ミンミン）

「ふがっ！　ふがっ！」

（ジジジジジジ……）

　とまあ、こんな具合に、その後も私は思いつく最上級の罵声をおじいちゃんに大声で浴びせ続けたわけですが、よくよく考えてみると、先方はセミが絶賛、大合唱中ですが、こちらは静かな住宅街。もし窓を開けていたら大変なことになっていました。

　でも気持ち良かったですね。もしかしたら、今まで気づかなかっただけで私は女王様に向いているのかもしれません。だから現在、電話口にM男性が来た時のためにAVで「言葉責め」を勉強してます（笑）。

【今週の怪人さん出没ダイヤル】

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