Catch Up
キャッチアップ
このコーナーは官能小説家の長月タケオ氏が一般の中高年読者から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味頂ければ幸いです。編集長
【となりに越してきた若夫婦の痴態をのぞき見して回春】N・K・65歳・千葉県在住
「もう、あなたからも、なんとか言ってくださいよ」
去年の夏。洗濯物を干していた女房が、ベランダの上から突然言った。なんでも、最近越してきた新婚夫婦に文句があるらしい。
「いったい、なんだって言うんだ」
わたしはたずねる。
「なにって。新婚さんで仲がいいのはわかるけど、朝のはやくから……」
若夫婦は人の目もはばからず、いちゃいちゃしているらしい。しかも、出勤前の一発とでもいうのだろうか、目ざめに痴戯を繰りひろげる。
「他人さまのことだ、ほっておけ。それよりも、となりの家をのぞき見するお前のほうが悪いんじゃないか」
「なんですか、人を出歯亀みたいに。ベランダに出れば自然と目に入ります。ホント、カーテンぐらい閉めればいいのに」
女房はプンプン怒りながら、洗濯カゴを持って部屋に入る。わたしは新聞をひろげ、茶をすすり、引っ越しのあいさつに来たときの、となりの若奥さんを思い浮かべた。
歳のころなら20代半ばだろうか。いや、もっと若いかもしれない。背は低く、面立ちに幼さを残し、女子校生のような雰囲気を持っている。声も舌足らずの鼻にかかったもので、白い肌とムッチリとした身体つきが印象的だった。
「あの子がねぇ」
わたしも興味を持ったが、わざわざベランダによじのぼって見るべきものでもない。それに、自宅の中で何をしようがとなりの勝手だ。気にするこっちのほうが悪い。
わたしはそう考え、新聞を折りたたみ、ダイニングがある1階におりた。
ある日、息子夫婦が孫をつれて遊びに来た。わたしはタバコを喫するほうだが、幼い孫がいるとなると同じ部屋で吸うことができない。仕方なくベランダにあがり、夜空をながめながら一服を楽しんでいた。
そのときである。隣家の主人が戻ってきたのだろう、部屋の明かりがともされ二人の姿が見えた。奥さんはダンナのネクタイをはずし、背広をハンガーにかける。ここまではよくある光景だ。しかし、なんと若奥さんはその場にしゃがみ込み、ズボンを脱いだダンナの股間に顔をうずめるではないか。
わたしのいた位置からは、何をしているのかはっきりと見ることはできなかったが、前後に揺らぐ身体の動きといい、頭の揺さぶりといい、奥さんがダンナのモノをしゃぶっているのは明らかだ。
ダンナは奥さんの頭を押さえ、腰を前後させている。奥さんの髪の毛が乱れていく。
やがてその動きは止まり、顔は離れる。普段着に着替えたダンナはその場から立ち去り、あとを追うように奥さんの姿も消えた。
その夜、わたしは悶々としてなかなか寝つけなかった。奥さんのいやらしい姿を妄想してしまったからだ。小さいがはっきりした目に、少し上を向いた鼻。花びらのように可憐な唇は締まりがなく、白い歯が顔をのぞかせている。その唇にダンナの男根がめり込み、あろうことか精液までそそがれる。
還暦を過ぎて70も近くなると、めっきり性欲もおとろえる。春情はまったくおぼえなくなり、女房もわたしを求めない。
このまま一生を終えるつもりだった。それでいいと考えていた。しかし、この夜、わたしの一物はビクビクと反応を示し、勃起にはいたらなくともうずきをおぼえ、先がヌルリとした液で少し濡れた。
次の朝、ベランダからおりてきた女房がいつもどおりの剣幕でいう。
「まったく、もう! ホント、サカリのついたネコかイヌみたい」
今朝も、となりの夫婦は見せつけるように、はげんでいるらしい。わたしは昨夜のこともあって、心中がおだやかでなくなる。
「今日こそ言ってきてくださいよ。お願いしますから。定年してからこっち、家でブラブラしてるだけなんですから、ちょっとはわたしのいうことも聞いてください」
女房は言う。
「わかった」
わたしはしぶしぶ引き受けた。
午後近くになって、わたしはとなりを訪れた。そして、あらわれた奥さんを見て、度肝を抜かれてしまう。
下着のような服にホットパンツ姿。へそが丸出しになり、アソコの毛がはみ出るんじゃないかと危惧するくらい股上は短い。ムチムチッとした太ももがむき出しで、小さな尻にピッチリ張りつき、乳房もその形がはっきりわかるほどはみ出している。
「あら、おとなりの……」
愛らしい目を向け、小首をかしげて奥さんはいう。
「い、いや、ちょっと話があって」
「そうですか。どうぞ」
「い、いや、ここで……」
「遠慮なさらずに、散らかってますけど」
年寄りだからと安心しているのだろうか、奥さんはわたしを招き入れてくれた。通されたリビングのソファーに座っていると、昨夜、ここでダンナの一物をくわえていた光景がよみがえり緊張が走る。
「どうぞ」
奥さんは麦茶を出してくれた。
「で、なんのご用事ですか?」
屈託のない表情。わたしは頭に血がのぼるのを知る。
「い、いや……、越してきてしばらくになりますが、どうですか、この街の住み心地は」
「はい、みなさんよくしてくれますし、本当にいいところだと」
「そうですか、それはよかった。なにか困ったこととか不便なことは」
「今のところ……」
「ほう、それはなによりで」
他愛のない話を終え、わたしは家に戻ろうとする。
「え、もうお帰りですか?」
「はい」
「わざわざご親切に、ありがとうございました」
奥さんは深々と頭を下げる。背中が丸出しになり、尻の切れ込みが見えそうになる。
「で、では……」
わたしは興奮をおぼえつつ、早々に立ち去った。
その夜、孫もいないのに、わたしはベランダでタバコを吸っていた。タバコが目的じゃない、もしかしたら今夜も、あの奥さんのいやらしい姿が見られるんじゃないか、と期待していたからだ。
しばらくしてダンナが戻ってきた。奥さんは昨日と同じくネクタイをはずし、背広をかける。そしてひざまずき……。
「あ……!」
わたしは次の光景を見て息を呑んだ。なんと、この日のダンナは口での愛撫だけでは満足できず、その場に奥さんを押し倒し、服を脱がしはじめたのだった。
いやがるそぶりも見せず、奥さんはまたたく間に全裸となった。豊満に実った乳房があらわになり、かすかにふくらんだ恥丘の薄い茂みも、はっきりと見て取れる。
ダンナは奥さんの両脚をひろげ、陰部にしゃぶりつく。奥さんは身悶えしながら、ダンナの頭を押さえつける。
「はあ、はあ……」
わたしはいつの間にか、股間をまさぐっていた。モノはビクビクと脈打ち、何年かぶりに大きく怒張する。
ダンナが身体を入れ替え、奥さんの顔をまたいだ。奥さんは、目の前に露呈されているであろう男根を咥え込む。そのまましばらく相舐めの状態が続き、今度はダンナがあお向けになると、奥さんがその股間をまたいだ。
奥さんは自分でダンナのモノをつかみ、中へめり込ませていった。ダンナは奥さんの乳房をわしづかみにして揉んでいる。奥さんは、腰を揺らしながら光悦とした表情を浮かべる。
「ホント、ケダモノといっしょね」
いつの間にか女房がわたしのとなりに立ち、言った。
「でも、うらやましい。わたしなんかもう、何年も」
「お前……」
女房も興奮していたのだろうか、顔が赤らみ息も荒くなっている。
となりの夫婦はますます激しさを増し、ダンナは身体を起こして奥さんを抱きしめ、下から突きあげる。そして今度は奥さんを四つんばいにし、うしろから攻め立てる。
「ホントにもう……」
女房が潤んだ目でわたしを見た。身体からは、メスの匂いが立ち上っている。わたしは女房を抱きしめ唇を重ねた。そして、そのまま部屋につれ込み、荒々しく服を脱がす。
「い、いやですよ、あん、お父さん……」
口ではそう言ってみても、身体はすなおだ、秘部に手を伸ばすと、じゅんわりとした潤いが感じられる。
わたしは女房の内部をかき混ぜ、乳房を吸う。
「ああん、お父さん、お父さん」
そのまま脚を開かせて接合。根もとまで突き入れ、抽送を繰り返す。
女房は若返ったように喘ぎ、悶え、わたしにしがみついてくる。わたしも女房の身体を堪能し、10数年ぶりに濃い精液をそそぎ込んだのだった。
次の日から、女房はとなりの様子を見ても、何も言わなくなった。そのかわり、朝からわたしを求めてくる。
「なんだ、日の高いうちから」
「だってぇ」
媚びを売る目つきで迫ってくる女房。最近では、となりの若奥さんとも仲良く会話を楽しんでいるらしい。
「あの子、本当にいい子ね。カワイイし、あいさつもきちんとできるし、敬語もしっかりしてる」
すごい変わりようだとわたしは思ったが、女房のわたしへの態度が少しずつ変化しはじめているのも確かだ。
定年を迎えてから粗大ゴミのようにあつかわれてきたのに、最近は丁寧にもてなしてくれる。もちろん、毎日のように媾合いを求められるのだが。
おかげでお互い少し若返ったようだ。わたしたち夫婦に久しぶりの春をよみがえらせてくれたとなりの夫婦に、感謝しなくてはなるまい。そう思っている今日この頃だ。
【選者紹介】
長月タケオ(ながつきたけお)
1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)
ほか
長月タケオ『誘惑する女 熟女たちの悦楽』
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