Catch Up
キャッチアップ

このコーナーは官能小説家の長月タケオ氏が一般の中高年読者から寄せられた「性の告白」をご紹介するものです。そこにはシニアである我々同世代が共鳴する「あの頃」の時代背景があり、実体験ならではの生々しい「性の現実」があります。懐かしくも妖艶な古き良き官能の世界をご賞味頂ければ幸いです。編集長
【アメとムチで成績を上げてくれた家庭教師】
W・M 55歳 埼玉県在住
ウチは代々続く医者の家系で、長男であるわたしは医学部への進学を決めつけられていた。そのことに関しては、別段異議はなかったし、そのつもりでいた。だから、小学、中学、高校と成績はいつもトップクラス。教師も一流国立大医学部への進学を認めてくれたが、唯一不安要素があった。それは英語が大の苦手ということだった。
国語、数学、理科、社会。どれをとっても申し分のない成績だったが、英語だけは学内の平均を下回ってしまう。それを見かねた両親は家庭教師を雇ってくれた。
あらわれたのは、アメリカ留学の経験もあるという女子大生だった。
わたしに女兄弟はいない。親戚も男ばかりで高校も男子校。つまり身近に存在する女性というのは、母親か家事を取り仕切るお手伝いのおばさん、ヒステリックな女教師、購買部や学食の販売員くらいだった。
20代半ばという年齢はもちろん、見た目も美しく、そのうえ才女という女性を間近にするのは初めてのことだ。それに留学期間の長かった彼女は、服装もアメリカナイズされていて、身につけている服も大胆。ボタンを必要以上に多くはずしたブラウスに、太ももが半分以上見えるタイトなミニスカートを身につける。
乳房は大きく色白で、前かがみなって教科書の説明をするときなど、乳房の谷間どころか乳肉の半分くらいまでかいま見えてしまう。わたしは緊張し、時には股間を熱くし、そして彼女が来るのを毎日楽しみにしていた。
名前は慶子。彼女の教え方は、わたしがそれまで学校で習っていたのとは、まったく違う内容だった。彼女は文法や単語を暗記するのではなく、生きた英語、具体的にいえば英語でのコミュニケーションや発音を重視した。
生の発音を覚えるには、英語の音楽やラジオ放送を聴くのが一番と、FENや流行のロックやポップスを聞かせてくれた。そして二人の会話も英語重視。
しかし、そんな方法では英会話には役立つが、試験のためにはならない。彼女といる時間は楽しいものだったが、成績はいっこうに上がらなかった。
「やっぱり、わたしの教え方はダメなのかしら」
いつしか慶子先生は悩むようになっていた。
「そんなことないよ」
「でも」
「ボクのガンバリが足らないんだ。先生のせいじゃない」
その言葉に慶子先生は、目を潤ませながらわたしを見つめてくれた。
「じゃあ、がんばって。あなたの成績次第で、わたしのギャランティも変わるんだから」
「先生」
「冷たいとか打算的だとかいわないでね。結果がすべてなの、アメリカでは。だから君の成績を上げるためなら、なんだってする」
「なんだって?」
「そう、わたしにできることならなんでも。そのかわり、君は君にできること全部をしてもらう」
「ボクにできること?」
「そうよ」
次のときから、慶子先生の授業はスパルタ方式になった。
まず日本語の使用禁止、そして体罰。問題をひとつ間違えるたびに、彼女が持つ指導棒で手の甲を打たれた。
「NO!」
「イテ!」
「NO! Ouch!」
痛みをうったえる言葉さえも、英語に改められた。わたしは次第に、彼女に対して反感をいだきはじめたのであった。
成績は伸び悩んだ。そして、それまで楽しみだった先生が来る日も、苦痛に変わり始めていた。けれど、相変わらず慶子先生は、厳しくわたしに接する。不満がたまり、とうとうある日、そのうっぷんが爆発してしまったのであった。
「もういい、もういいよ!」
わたしは教科書を床に投げつけ、怒鳴った。
「ボクがおぼえたいのは、成績がよくなる英語だ。先生の教えているのとは違う!」
「What?」
「ボクは医者になりたいんだ! 英語の専門家になりたいんじゃない!」
わたしは机の上にあったノートや鉛筆、消しゴムなどを慶子先生に投げつけた。先生はそれをよける際に足もとがふらつき、床に座り込む。その瞬間、スカートがまくれあがり、太もも全部と黒いパンティが顔をのぞかせた。
わたしは思わず見つめてしまう。その視線に気づいた先生は、スカートをおろすこともなく、逆に色香をふくんだ目でわたしを見た。
「そうよね、やる気を起こさせるには、この方法が一番よね」
「え?」
「知ってるのよ、君がわたしの胸もととか脚をじっと見ていたこと」
「先生……」
「気持ちいいことしてあげる、でも条件がある」
「なにいってるの?」
「黙って、わたしのすることにしたがいなさい」
先生はいすに座ったままのわたしにすり寄り、ズボンに手をかけた。
「先生、やめてよ」
「恥ずかしがらないで」
チャックをおろし、ベルトをはずし、そして一気にズボンとブリーフをひざまでおろす。むき出しになった下半身の中央で、わたしの一物はだらしなく垂れさがっていた。しかし、先生がそっと指をそえると、勢いづいて勃起する。
「すごい、こんなになってる」
先生は艶然とほほ笑むと、いきなり大きく口を開けてわたしを根もとまで呑み込んだのだった。
「あ……」
絡まる舌と唾液や粘膜の温かさやぬるみに、わたしは思わず声をあげてしまった。先生はほほをすぼめて吸い込み、やがて頭を振って抜き差ししはじめた。女性の感触などまったく知らなかったわたしは、それだけで早くも暴発しそうになる。けれど先生は、緩急を加えてわたしをじらす。
「せ、先生……」
「ふぅう、うん、うん、気持ちいい?」
「気持ちいいです」
「もっとしてほしい?」
「は、はい」
「じゃあ約束して。絶対にクラスでトップになるって」
「え?」
「成績があがれば、そのたびにしてあげる。そしてトップになったら」
先生の動きは激しくなった。わたしは我慢の限界をおぼえ、ドクドクと勢いのあるほとばしりを放ってしまうのであった。
アメとムチとでもいうのだろうか、慶子先生の指導は厳しいままだったが、成績が上がるたびに、口での愛撫をあたえてくれた。そしてとうとう英語がクラスで1番になったとき、先生は自分を捧げてくれたのである。
わたしは全裸の先生に覆いかぶさり、夢中で腰を振った。もちろん挿入のときには、先生が導き、いざなってくれた。
「そ、そうよ、そこ、ああん、君、すてき、せ、先生も気持ちいい!」
成績は受験のときまでトップを維持し、春を迎えるころには、無事念願の第一志望大学に合格した。
「おめでとう、でも、これでお別れね」
先生は言った。
「先生はどうするの?」
「さあ、どうしようかな。でも、家庭教師はこれでおしまい」
「え?」
「だって、君との想い出は大切にしておきたいから」
その後、慶子先生はどこで何をしているのか分からない。けれど、わたしは先生のおかげで生きた英語を話せるようになっていた。それが大学生活でも役立ち、医者になってからも、海外の医師と意思の疎通ができるようになった。
地元の医師会でも、英語の必要性があると重宝される。これもすべて慶子先生のおかげだ。彼女のことは、たぶん今後も一生、忘れることはないだろう。
【選者紹介】
長月タケオ(ながつきたけお)
1962年生大阪府出身在住。1988年官能小説誌への投稿でデビュー。
1995年第1回ロリータ小説大賞(綜合図書主催)佳作受賞。
おもな著作『ひとみ煌めきの快感~美少女夢奇譚』(蒼竜社)
『病みたる性本能』(グリーンドア文庫)
『禁断の熟女』(ベストロマン文庫・共著)
『19歳に戻れない』(扶桑社・電子版)
『誘惑する女 熟女たちの悦楽』(九月堂・電子版)
ほか
長月タケオ『誘惑する女 熟女たちの悦楽』
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