このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。

編集長

【関西シニア通信】第67回「シニアの確定申告」の巻

　日本全国、多くの人の眉間にしわが寄る、３月１５日までの課題。そう、個人事業主、もしくは副職でほんのり儲けてらっしゃる方に降りかかってくる超絶面倒な作業「確定申告」――。

　しかも年を取ったら免除になるなんてことはなく、いくつになっても税理士に頼むほどではない稼ぎがある方は、あのマス目に向きあわねばならない。80歳でも、90歳でも！！

　私の友人で、Ｋさんという60才過ぎの方がいる。昔大企業の経理でバリバリ働いていたスキルを活かし、「税理士に頼むほどではない稼ぎがある」シニアの方３人を集め、確定申告のやりかたを教えたのだそうだ。

　さすが意識が高い……！ しかしスムーズにいったのだろうか。エピソードを話そうとする前からＫさんは苦虫を噛み潰したような表情なので、スムーズにいかなかったのだろう。

　確定申告の書き方以前に、そもそも必要書類が集まらない人が多く、ものすごく手こずったのだそうだ。

「みんな、どこに入れたか忘れんねんて。そこからかい！ って感じやわ」

　ため息をつくＫさん。これは人ごとではない。私も毎回いろんなものが無い……。

「一度言ったこともすぐ忘れるし。同じこと何度言えばええねん」

　シニアあるあるだなあ。

「しかも集中力がないから、すぐ休みたがるし」

　はいはいはい。

「確定申告勉強会という名のお茶会になってしまったこともあったわ」

　茶を飲んで終わりか……。

　しかし面倒見のいいＫさんは、何度も何度もシニアを集め、教えていったという。頭が下がる。正直、Ｋさんはちょっとお節介なところがあり、いろいろ「そこまで頼んでへん！」というところまで口を突っ込んでくる。面倒臭いなあ、と思うこともあるのだが、やっぱり地域には、こういう人は必要なのだ。

「たまに『もう頭ボケてるし仕方ないやん』とか言って、年寄を言い訳にするし。あれはホンマに許されへんわ」

　いやもうそのあたりは許してあげて……。

　面倒見のいい人はキビシイのだ。

【法善寺灯子さんのプロフィール】

関西在住ライター。性別：女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。