このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。

編集長

【正月疲れをバーゲンで発散するシニア達】

もうすっかり世の中は通常モードだが、わが家の冷蔵庫は、まだまだ正月の余韻が……。買い過ぎた餅、黒豆、そして冷凍のカニ。

「いいじゃないか、奮発したね～！」と思ってくれる人もいるかもしれないが、母が勝手に奮発したので１月の生活費がキューキューである。

こんなに餅もカニもいらなかった。黒豆も誰もそんなに食べないって言ったのに……。いや、食べ物はまだいい。お飾り系も度を超している。しめ飾りなんてもういいと言っても買ってくる。狭いマンションで何度ほど暦を確認するねんとツッコみたくなるほどカレンダーもぶら下げる。

このシニアに見られる「正月」というイベントに対する義務感、焦燥感は恐ろしいほど強く、周りの助言など耳に入っていない。豪華にしなければ。おめでたくしなければ。家族みんなで集まってお祝いしなければ。きっと若い頃、お姑さんにやいのやいのと口うるさく怒られた経験がトラウマとして染みついているのだろう。

そのため、豪華にする本人たちも全然楽しめていない。

「お正月が一番嫌い。ダンナは家にいるし、お節料理とか面倒臭いし」

近所のスーパーに買い出しに行ったとき、ご近所に住む６０代の方は心からウンザリしていた。知り合いの７０代男性はＦＢにて

「正月が面倒。孫が来て嬉しいのは３０分くらい。早く帰ってほしい。孤独のグルメ一挙再放送をゆっくり観たいのに」

とミもフタもない本音を書いてらっしゃった。いやいや、「正月面倒臭い」は多くのジジババの本音だろう。

　そのため正月を終えれば年始初売りでストレスを発散するのだ！　母もまさに昨日、正月から解放されたことでヘンなギアが入ったとしか思えない、不思議な形のカバンと恐ろしい柄のセーターをゲット。なぜこれを買ったのかと落ち込んでいた。

　母をバカにしている私自身も、オンライン初売りでゾウの形をした置時計をゲット。

「お金がキューキューなこの時期、なんで私はこれを買ったのか」

と頭を抱えている。

　正月の反動は２月頭くらいまで決断力をおかしくし、買い物に影響を及ぼす。皆さんも、くれぐれもお気を付けください……。

【法善寺灯子さんのプロフィール】

関西在住ライター。性別：女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。