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このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。
編集長
【シニアは魂から訴えかけねばならないらしい】
シニアは人の話を聞かない。それはもう、多くの人が痛感したことがあるだろう。私の母(82)もそうだが、最近は「聞いているふり」が上手くなり過ぎて困っている。私の言ったことをきちんと理解しているような表情と返答。すべてパーフェクトなので、こちらも
「よしよし!」
なんて満足してしまうのだ。
ところがどっこいしょ、話しなんて全然聞いておらず、テキトーに流していることを後から知り、「勘弁せいや!」とひと悶着するのである。
この間もこんなことがあった。いつもおいしいお菓子やお惣菜をお裾分けしてくれるご近所さんに、何かお返しをせねばという話になった。
そこで私は、最近話題になっている洋菓子店の限定チョコを提案した。ちょっとばかり高価ではあるが、見た目もとても美しく、女性なら必ず「まあキレイ!」となるはず。
そして、一応スマホで店の公式サイトと買おうと思っている商品の画像も見せた。すると母は
「きれいやん。これにしよう、賛成! 買ってきて」
とはっきり笑顔で言ったのである。大事なことだからもう一度言う。はっきり笑顔で言ったのである!
ところが、いざ購入して帰ってくると。
「そういえばアンタそんなこと言うとったなあ。ありがとうありがとう。でもあの人、甘いモン苦手やねんな~」
と困ったように言うではないか。
おいおいおいおいおいおい(怒)。私はチョコって言いましたよね? スマホで画像まで見せましたよね?? 私は問い詰めると
「聞いているようで聞いてへんかった。なんか買ってきてくれる、と言ってたくらいしか覚えてへんわ。だって年寄りやもん。記憶力が~」
と言うではないか。都合のいいときばかり年寄りぶりやがってー!!
そして
「アンタももっと、私の魂に訴えかけてくれんと」
とトドメの一撃!
たたた魂!? 老人には、大切なことは「魂」に訴えなければいけないそうですよ皆さんッ(腹が立ちすぎて多くの人に訴える)!!
しかも母はそれ以来この「魂」というセリフがえらく気に入ったようで、その後も何度も使ってくる。昨日もうたた寝していたのを起こしたとき、5回目くらいでやっと起き
「もっと魂から起こしてくれんと」
と言われてしまった。
しばらく言われ続ける気がする。いい加減にして―ッ!!
【法善寺灯子さんのプロフィール】
関西在住ライター。性別:女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。
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