このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。

編集長

「コロナ陽性でもものすごく元気な親戚」の巻

　母方の叔父に、ついにオミクロンの魔の手が。６７歳、ワクチン３回目接種の日も決まっていた矢先のPCR陽性だったそうだ。

　家に電話がかかってきたのだが、母が買い物に行っていなかったので、私が出た。すると

「ついに来たわ～」

　と苦笑い。声も普通。なんならいつもより元気そうである。

「ワタクシ、陽性反応出てしまいました。１週間家から出ない生活でありますッ」

　どうしたどうした。テンションがおかしいぞ。いつもは刑事ドラマのボスレベルの渋キャラなのに！

　でも明るくてホッとした。この際だから私もいろいろ聞いてみよう。

　なになに。感染源は謎。しかしよく会う知り合いの勤め先にクラスターが出た。もう９割そこが感染源の気がするが、このご時世、確かに決めつけは良くないな。

　ふんふん。ワクチンを打っていたおかげか、ほぼ無症状。鼻がやたらと出る程度。なるほどなるほど。

「でも無症状で本当に良かったね。この機会にゆっくりしいや」

　と言うと、笑いながら、こう返ってきた。

「ゆっくりに慣れてへんから、死ぬほどヒマ」

　なるほどなるほどなるほど……。だから我が家に、ものすごく久々に電話を掛けてきたのか。

「amazonプライムの映画を端から制覇している」

　オイオイ元気やな！　そのほかにも、体力が落ちないように、youtubeを見ながらストレッチをしているそうだ。

　むっちゃアクティブやん……。まあ、元気なことに越したことはない。

　一通り話して電話を切ったが、帰ってきた母に

「アンタ様子を聞いただけかいな！ 食料とか日用品とか、送ってほしいモンないか聞いてあげんかいッ」

　とこっぴどく叱られた。

　そうだった。叔父は独り暮らしだった……。あの異様なテンションの明るさは、心細さの裏返しだったのか。

　気づいてあげられなくてゴメン。おいしいおかゆを送るよ！！

【法善寺灯子さんのプロフィール】

関西在住ライター。性別：女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。