このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。

編集長

【M-1グランプリ 上沼恵美子さんお疲れ様でした…！の巻】

今年のM-1グランプリは史上最高齢で錦鯉が優勝！　ボケ役の長谷川が５０歳なのだそうだ。しかし私は彼より年上。つくづく本格的にオバハンになったものだと痛感した……。

　さて、関西シニアの星、上沼恵美子さんが、オール巨人師匠とともに、今年で審査員を引退されるそうだ。ものすごい寂しい……。あの毒舌と、困ったら自分の好き嫌いで決める潔さがＭ－１を盛り上げていたといっても過言ではないのに！

　振り返ってみると、２０１７年にはマジカルラブリーの漫才に対して激怒。「一生懸命頑張ってるのは分かるけど、好みじゃない。よう決勝残ったな思って」とバッサリ。しかしこれをバネにして、マジカルラブリーは２０２０年に優勝するわけである。

真剣に向き合うほど、言葉がキツくなっていくのは、芸に厳しい大御所あるある。マジカルラブリーのように「芸でリベンジ」すればいいが、当然シンプルに嫌う人もいる。２０１８年には、Ｍ―１終了後の打ち上げのインスタライブに出場した芸人が、上沼さんに対し「クソが！」「右のオバハンにはみんなうんざりすよ。（審査で）“嫌いです”と言われたら更年期障害か？って思いますよね」などと暴言を吐いて大問題になっている。酒が入っていたせいでつい口が滑ってしまったのであろうが、全国にダダ流れる配信で酒飲んじゃダメ！

審査員は続けてほしいが、上沼さんの立場になってみたら、こんなにハードな現場はない。Ｍ－１はおおげさではなく、芸人２人の人生を変える。それだけでもかかる重圧はハンパないのに、向き合えば向き合うほど嫌われる。ＳＮＳでも言いたい放題言われる。ツラい。

　ということで、上沼さんが辞めるのはもう致し方ない。本格的に心身を崩す前に、重圧から解き放たれてほしい。後任は、ハイヒール・リンゴさんが順当だろう。

なんだかんだ、あの現場で一番度胸が据わっているのは、ケラケラと無邪気に笑っている司会の上戸彩さん。胃が痛くなるほど緊張感が漂うステージで、あの人だけがフツーの顔をしている。彼女は本当にスゴイと思う。

上沼さんは１２月１９日からYoutubeチャンネル「上沼恵美子ちゃんねる」が開設されたので、こちらを応援したい。ただ、２回目の動画の犬を撫でながら話すスタイルは、残念ながら受け付けられない！ ソファで犬を撫でる画はブルジョワ臭が一気に漂い、話が入ってこなくなるのだ。うーむ、私の心が小さいのか？？

【法善寺灯子さんのプロフィール】

関西在住ライター。性別：女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。