このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。

編集長

【子どものものは私のもの！？「じゃがポルタの戦い」の巻】

今、私は怒りに震えている。

先日東京出張があり、仲の良い編集さんからあるお土産をいただいた。それは先日アメリカンリーグMVPに輝いた、あの大谷翔平選手が

「人生で食べたポテトチップスで一番おいしかった」

と言っていたというCalbee+×東京ばな奈の「じゃがボルダ」！

4袋入りの小さな箱だが、いかにもおいしそうだ。よし、これは新幹線で食べず、大阪に帰って、オカンと分けて食べよう。なんといっても旬の男、大谷翔平の大好物。ミーハーな彼女はウハウハ喜ぶであろう。なんて私は親孝行……。

しかし、大阪に帰った日は夜遅く、母はもう寝ていた。しょうがない、お披露目は明日にするか……。とりあえず「じゃがポルタ」は父の仏壇に供えておいた。

ところが。事件は翌朝起こった。仏壇に供えたはずの「じゃがポルタ」がない！　慌ててキョロキョロと仏壇近くを探すと、４つの手提げ袋が並んでいる。その中を見ると、龍角散のど飴の袋１つずつと、箱に入っていたはずの「じゃがポルタ」がバラして1袋ずつ入っていたのだ！

明らかにオカンがババ友にプレゼントしようとしている。私に断りもなく！

すると、トイレから出てきたオカン、私にケロッとこう言った。

「仏壇に供えてあったお菓子、お友達に分けてええやんな」

は？　「ええやんな」？　聞く前にもうバラして準備しているではないか。それって、もうほぼほぼ事後報告ではないか！　私はカッとなってこう言った。

「いやいや待ちいな。それ、大谷翔平さんの大好物やねん！」

「ほんなら余計にええやんか！ お友達に自慢できるやん」

「いやいやいや、私もまだ食べてないねん！！」

「ほんまかいな！ なんで早くそれを言わんの」

「いつ言う暇があったんやー！！」

朝から怒鳴り合いである。

よくよく考えたら５０のオバハンと８０の婆さんがポテトチップ如きでケンカなど醜いことこの上ないが、本当に油断も隙も無い。土産を持って帰ってきた私に一袋残しておく気遣いも無いのか。

親は絶対「子どものものは自分のもの」という気持ちが残っている。腹立つ。

みなさんも気を付けて。どうしても食べられたくないものは、自分の部屋に隠しておくのが一番だ！

【法善寺灯子さんのプロフィール】

関西在住ライター。性別：女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。