【山之上彼方プロフィール】

陰謀説・オカルトライター。木曜スペシャルやUFO、1999年終末予言などに心震わせ青春を過ごしたオカルト世代。あの世とこの世は本当に地続きかもしれないと思っている。ましてや宇宙人がいないわけがないと断言する情熱家でもある。

「やってはいけないゲシュタルト崩壊実験」

長時間のデスクワークに追われている方、「ゲシュタルト崩壊」を起こすことはないでしょうか。「ゲシュタルト崩壊」、それは同じ情報を繰り返し見たり聞いたりすることで、受け取る側が混乱し起こる現象です。

　例えば、延々字を眺めているうちに「この字って、こんな形だったかな？」と、急に意味のない線の集合に思えてきたり。「ひ」というひらがなが蛇に見えたり、漢字の「夢」という字がヘンな形の虫に見えたり……。

え？　ノイローゼ？　う、うーむ、それに近いものかもしれません。ただ、多くのものは点や線が集まり形を作っています。あまりにも集中力が高まると、全体像が急にわからなくなって、それを構成している個々ばかりに目が行くようになってしまう……。よくあることです。しかしなぜそうなるのか、メカニズムはいまだに解明されていないのだとか。脳の仕組みとは、まだまだ未知の世界なのですね。

文字が違う形に見えるくらいならまだセーフです。危険なのは、分からなくなる対象が「自分自身」になってしまったとき。

例えば、ナチスの人体実験で、ユダヤ人捕虜を鏡の前に立たせ「お前は誰だ？」と延々鏡に向かって言わせるというものがあったそうです。するとなんと、3ヶ月経った頃にはすっかり自分が誰だか分からなくなったといいます。

「鏡」は視覚的に自分を簡単に増やせる恐ろしいアイテム。江戸川乱歩の小説「鏡地獄」は、鏡の球体の中に自ら入った男が「たくさんの自分」に混乱し、発狂するという物語です。

「深夜に三面鏡を見ると、いくつも映る自分の顔の中に、死んだ顔が映る」という言い伝えもあります。これは、鏡の見過ぎによる自我の崩壊を警告しているのかもしれませんね。

本当の自分など、ぼんやりと見えるくらいがちょうどなのかもしれません。

ちなみに、閉ざされた場所で同じ言葉を言い続ける、同じものを読ませ続けるなどは、ゲシュタルト崩壊の思考停止を利用した、洗脳のスタンダードな手口です。

これから忙しい年末。働き過ぎや巻き込まれ事故など、様々な「ゲシュタルト崩壊」にお気を付けください。

鏡やＳＮＳなどを、覗き込みすぎないように。