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【山之上彼方プロフィール】
陰謀説・オカルトライター。木曜スペシャルやUFO、1999年終末予言などに心震わせ青春を過ごしたオカルト世代。あの世とこの世は本当に地続きかもしれないと思っている。ましてや宇宙人がいないわけがないと断言する情熱家でもある。
【アブラカタブラ】
コロナ第5波が厄介です。正直、こんなにコロナ禍が長引くとは思っていませんでした。この都市伝説のコーナーで「アマビエ」の原稿を書いたのが2020年6月。当時は自粛が解除されたときで、「もしかしたらもうすぐ普通の生活が戻るのか?」なんて期待していました。もしタイムマシンがあったら、1年前に戻り、自分に教えてあげたいです。「まだまだ続くよ、覚悟しな」と。
さすがにアマビエにすがる気にはなりません。では、呪文に頼ってみるのはどうでしょう。ということで、今回は、「ハリーポッター」でもおなじみの呪文、「アブラカダブラ」に注目してみましょう。
ハリーポッターを読んでいた方は「いやいや待って。アブラカダブラって『息絶えよ』って意味でしょ? 何考えてんの?」とお怒りになるかもしれません。
しかし、起源をたどると、この言葉、「息絶えよ」どころか、命を救うための医療用の言葉だったのです。
この言葉が登場した最古の記録は、医者、クィントゥス・セレヌス・サンモニクスが記した「Liber Medicinalis」。なんと3世紀のローマのものです。
古代ローマは、マラリアによって壊滅的な打撃を受けていました。昔は注射や点滴などあるはずがなく、まじないや呪術が医療として使われていたのです。エビデンスもなにもあったもんではありません。
「アブラカダブラ」の語源は諸説ありますが、とにかく医者のセレヌスは「アブラカダブラと紙に書き、その下に1行ごとに文字を減らしながら、最後の1文字になるまで繰り返せ」と言っていたようです。この通りにすると、逆三角形になります。
さらに彼は「これを書いた紙を結んで麻布で包み、お守りとして首にかけておくこと。そして9日たったら、東方に流れる川に肩越しに投げこみなさい」と患者に伝えたそうです。そのため、マラリアを恐れる人達が、この言葉を書いて身に付けたり、玄関に貼ったり、叫んだりの大騒ぎ。
もしそれで治らなければ? という問いには「病人の体じゅうにライオンの脂を塗ればよい」。マラリアより前にライオンに食い殺されそうです。今なら炎上案件ですよ……。
しかし、この「アブラカダブラがマラリアに効く説」は意外なほど長く信じられ続けました。17世紀、ロンドンでペストが大流行したときも、病気予防のため自宅の戸口にこの呪文が貼りだされたそうです。
「アブラカダブラ」で流行り病が治るなんて……。いやいや、病は気から。科学はもちろん頼り甲斐がありますが、コロナに対しても、案外こういった呪文めいたものが必要なのかもしれません。
言えば落ち着く、そんな響き。誰か考え出してくれないでしょうか。ふう。
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