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このコーナーは関西在住の女性ライター・法善寺灯子さんに関西のシニアの皆様の魅力を語っていただくものです。関西流の笑いと人情味溢れるシニアの生き様はきっとこの世知辛い浮世に一筋の光を与えてくれるでしょう。関西のオジ様とオバ様とお爺さまとお婆さまと、おとんとおかんのパワーが皆様の健康とご長寿の活力になることを切に願います。
編集長
【「無駄過ぎる買い物」の巻】
今年は9月20日が敬老の日である。みなさん、なにかプレゼントなど予定されていますか。私ですか。私はナシです。というのも腹が立っているから!
母は年金暮らし、私の収入もトホホである。何が言いたいかというと、金がない。が、母はいまだにバブル期のように買い物がしたい。なにかあるごとに
「昔はよかった……」
「百貨店で好きなだけ買えた……」
などと戻ってこない過去に意識を飛ばす。どうあがいても、あんな生活はもう無理なのに!
70代くらいが一番ひどく、貯金がないのに高級な服を買ってくるので、一時期はカードを取り上げようと思ったくらいである。80になってようやく諦めたのか、
「安い服を高い服に見せる着こなしをする人こそ、本物のオシャレよね」
と、ファストファッション店も楽しむようになってくれた。
「ユニクロの買い物袋は持たない」
とヘンなプライドが残っているが、それでもだいぶん助かっている。
ところが、である。春頃、ババ友達が20万円のサングラスを購入したそうで、自分も欲しいと言い出した。
にににに20万円!? もう自然に口から出た! 「アホかーッ!」と! 母にも言ったが、ババ友達にも届けとばかりに叫んだ。なんでやっとこさ収まってきた母の買い物欲に火をつけるのか。
「20万じゃなくていいから、カッコいいサングラスほしい……」。
ダダをこねてくる母。年老いると人は子どもに返るというが、本当である。しかもサングラスって。コロナ禍で感染が怖いと言い近所のスーパーしか行かないくせに、いつ着用するというのか。
結果、あんまりしつこいので、メガネ屋さんに予約を取って行った。
予算はMAX、どんなに高くても2万円ね、と言ったのに、スタッフが5万円のサングラスを出し、褒めまくってきた。母もご機嫌で高らかに宣言。
「これがいい! これにする!」
スタッフ2人と母の3人対私1人。卑怯すぎる。結局「敬老の日、クリスマス、誕生日、何もナシでいい」というので、私は5万円のサングラスを買うことになってしまったーッ!
しかし話はこれで終わらなかった。家に帰って改めて買ったサングラスを鏡でつけた母、
「なんだか店でつけたときとイメージ違う」
不満そうにつぶやいたのである。
結局、ババ友に1度見せびらかしただけで、その後そのサングラスを付けているところを見たことがない。
いまだに思い出しても腹が立つ。ということで、敬老の日、私は何もしない!
【法善寺灯子さんのプロフィール】
関西在住ライター。性別:女性。好物は串カツとお好み焼きのブタ玉。兵庫、大阪、京都、奈良、三重、滋賀などフットワーク軽く駆け回り、愛すべき関西の面白ネタを探す。
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