３回の離婚経験を持つ松たか子演じる女社長・大豆田とわ子と彼女の別れた３人の元夫の心温まる交流を描いた『大豆田とわ子と３人の元夫』がドラマ好きの間で好評だ。元夫を演じるのは、松田龍平、角田晃広（東京03）、岡田将生というタイプのまったく違う３人の男性。憎みあって別れたわけではないので、３人ともとわ子と別れた後も良い関係を築いている。

　第５話には、とわ子の仕事相手として、同じく３度の離婚経験を持つ門谷（谷中敦）が登場。門谷にプロポーズされるが、門谷はとわ子を下に見ていた。

「僕の離婚３回と、あなたの離婚３回は違う。僕にとって離婚３回は勲章だけど、あなたにとっては傷でしょ。人生に失敗している。僕は、そんな傷を丸ごと受け止めてあげようと思ってるんです」と言い放つ門谷に対して、「離婚に勲章も傷もないと思うんですよね。そういうふうに考えない方が門谷さんにとって幸せだと思うんです。確かにいろいろあっての結果だと思いますけど、私自身、今楽しくやってますし、なんだったらなかなか面白い人生だなあって思ってます。別れた人たちだって、幸せでいてほしい。失敗なんてないんですよ。人生に失敗はあったって、失敗した人生なんてないんですよ。門谷さんもそういうふうにお考えになった方が……」と反論するとわ子。

　しかし、とわ子の言い回しは門谷を怒らせたようで「手を差し伸べようとしてくれた人間に、お説教ですか。僕にも男としてのプライドってもんがありますからね。ショックだなあ」

　この後、門谷はとわ子と提携して進めようとしていた事業に金を出さないという嫌がらせ的な行動を取る。考えをあらためるよう、直接交渉に伺ったとわ子を強引に車に乗せて立ち去る門谷。この後、とわ子は行方不明となってしまい……。

　ドラマの確信的な話は、門谷に対してとわ子が言い放ったセリフに集約されていると思う。

「確かにいろいろあっての結果だと思いまけど、私自身、今楽しくやってますし、なんだったらなかなか面白い人生だなあって思ってます。別れた人たちだって、幸せでいてほしい。失敗なんてないんですよ。人生に失敗はあったって、失敗した人生なんてないんですよ」

　その通り。とわ子というユニークな存在を創造することができただけで、このドラマは成功しているんだと思う。

• （文）久慈修人『週刊大衆』専属記者。【Twitter】@SayEach
• （編集）スナイパー神津『週刊大衆』編集部員。【Blog】https://sniperkozu.com/